JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
『2022年度 第46回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』2回戦マッチレポート
2022/08/27


 大学サッカー夏の全国大会『2022年度 第46回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』は8月21日、22日に2回戦を行い、1回戦を勝ち抜いた8チームとシード校が対戦。ベスト8入りを懸けて戦った。





国士舘大学 2(0-0/EX2-0)0 常葉大学


 シード校として初戦を迎えた関東王者・国士舘大学と、関東代表の桐蔭横浜大学を破って2回戦進出を果たした常葉大学が対戦。試合は、国士大が押し気味の展開で攻めたてるが、どうしてもゴールを決めることができない。なかでも10番・棚橋尭士は前半だけで5本ものシュートを放つがいずれも不発。一方の常葉大も、10番・小松慧を中心にチャンスを作るがゴールは遠い。ボールはよく動いたものの、結局前半は0-0で終了。後半に入っても国士大が主導権を握り、常葉大は前半以上に押し込まれる展開に。それでも両チームゴールネットを揺らすことなくついに90分が終了。試合は延長戦に突入した。

 90分間にわたりゴールの生まれなかった試合は、しかし延長戦に入ると一気に動き出す。92分、国士大はGKの1番・飯田雅浩が正確なロングキックを前線に入れる。常葉大はこれをクリアしきれず、ボールは10番・棚橋の元へ。胸トラップからのがこれに反応。胸トラップからの鮮やかなボレーシュートがGKの頭上を越え、ゴール左隅に決まる。10番・棚橋のスーパーボレーで待望の先制点を挙げた国士大は、その2分後の94分にも決定機。9番・高橋尚紀が左サイドからペナルティエリアに切り込んだところを倒されてペナルティーキックを獲得する。これを10番・棚橋が冷静にゴール右隅に沈め、国士大がリードを2点差に広げた。延長後半には常葉大もチャンスを作るが、国士大の安定した守備に阻まれてゴールならず。延長前半に挙げた2点を守りきり、関東王者の国士大がまずは初戦で勝利を収めた。




北海道教育大学岩見沢校 3(1-0)1 福岡大学


 北と南の強豪校同士の対戦。北海道教育大学岩見沢校は、1回戦に続いての九州地区代表との対決となった。立ち上がりは福岡大学が積極的に仕掛ける展開ながら、先制点を決めたのは岩教大だった。21分、岩教大は19番・石山風吹が左サイドをドリブル突破してチャンスを作る。ゴール前に入れたクロスは弾かれたものの、それを拾った22番・菅野紘希が相手DFをかいくぐり、鮮やかなスルーパスを供給。12番・小原冠嗣がこれに反応して右足を振り抜き、シュートをゴールに突き刺した。

 前半の終盤はやや膠着した展開となったが、後半開始早々の48分に岩教大が再び試合を動かす。福岡大はGKとDFの連携ミスから、岩教大にコーナーキックを与えてしまう。岩教大の7番・縄田脩平のキックは相手DFに反らされるが、こぼれ球を拾った33番・黒崎皓嗣がそのまま右足で押し込み追加点。スコアを2-0とする。岩教大はさらに65分、7番・縄田がフリーキックからチャンスを作る。相手のクリアボールに反応したのはまたもや33番・黒崎。落ち着いてシュートを決め、3-0と福岡大を突き放した。一方の福岡大も74分、11番・中山桂吾が倒され絶好の位置でフリーキックを獲得。キッカーの18番・岡田大和が低い弾道のシュートを直接決めて1点を返すが、反撃はここまで。チャンスを確実に得点に結びつけた岩教大が3点を奪取して勝利。北海道代表としては第4回大会の札幌大学以来となるベスト4を懸けて、3回戦を戦うこととなった。




中京大学 0(0-2)3 新潟医療福祉大学



 東海チャンピオン・中京大学と、1回戦で“福祉大ダービー"を制した新潟医療福祉大学の対戦。序盤は中京大が試合を優勢に進めていたが、次第に新医大に攻め込まれる回数が増えてくる。新医大は6番・野開ディランの優れた奪取力に、10番・小森飛絢のキープ力、11番・オナイウ情滋の突破力が連動。27分には、11番・オナイウが上げたクロスに、9番・田中翔太がドンピシャのタイミングで合わせてヘディングシュート。これが決まり、新医大が先制する。新医大はさらに39分、3番・沼田皇海と23番・橋爪悟のコンビネーションから攻め上がり、ゴール前に入れたクロスがオウンゴールを誘発。これが追加点となり、新医大が2点リードで前半を終えた。

 後半に入ると新医大は23番・橋爪に代えて24番・坂岸寛大を投入。24番・坂岸がアクセントとなり、一気に攻勢を強める。60分には、低い位置からのロングキックに9番・田中が反応。そのままドリブルでペナルティエリア内まで攻め上がり、パスを送る。これに11番・オナイウが右足で合わせて3点目。新医大が中京大を3-0と突き放した。中京大もその後、次々と交代選手を投入して流れを変えようとするが、決定機を作るまでは至らずタイムアップ。3-0で勝利した新医大が、初のベスト8進出を決めた。






福山大学 0(0-1)2 びわこ成蹊スポーツ大学


 久々に2回戦へと駒を進めた福山大だったが、ベスト8の壁は高かったといわざるを得ないだろう。シュート数は、福山大が前後半合わせて2本なのに対し、びわこ大は12本。終始、びわこ大が試合を圧倒する展開となった。福山大は、武器である堅固な守備でびわこ大の攻撃を跳ね返し続ける。だが41分、ついにびわこ大がゴールをこじあけた。2番・藤井嵐がハーフウェーライン付近からロングボールを前線に入れると、29番・塚目憂が頭で反らしてゴール前へ。これを8番・佐々木啓太がキープし、見事なコントロールショットを決めてびわこ大が先制する。

 後半も試合の流れはびわこ大に傾いたまま。73分には、33番・南條斎が入れたロングボールを9番・清水一雅が頭でつなぎ、最後は10番・石橋克之がGKとの1対1をかわしてゴールを突き刺した。2点のリードを得たびわこ大は、その後も安定した試合運びで福山大の攻撃を寄せ付けずに試合終了。関西勢の意地を見せて、3回戦進出を決めた。




東海学園大学 1(0-1)2 大阪学院大学



 これが初戦となる東海学戦大学と、1回戦で大量6得点を挙げて2回戦に駒を進めた大阪学院大学。試合は、1回戦の勢いの残る大院大が立ち上がりからゲームを支配する展開となった。得意とするパス回しで大院大の守備ラインを崩しきれない東園大に対し、大院大は10番・國分龍司、12番・閑田隼人らが躍動して好機を演出。27分には、16番・箱﨑達也、10番・國分とつなぎ、ボールはペナルティエリア内に抜け出した8番・澤崎凌大の元へ。8番・澤崎はそのままシュートを放つかと思わせて、マイナスのパス。これに12番・閑田が左足で合わせたシュートはGKの手に。だが、勢いのあるボールはそのままゴールの中へ。12番・閑田の2試合連続の先制点を挙げてスコアを0-1とする。

 後半も大院大が優位に試合を進めるが、東園大も少しずつチャンスを窺う。すると67分、東園大はゆっくりとしたパス回しで中盤を崩すと、途中出場の29番・藤本奎詩が左サイドから仕掛け、15番・井堀二昭を経て13番・常安澪へ。13番・常安は前を向いてドリブルで仕掛けると、ペナルティエリア外からシュートを突き刺す。これが決まり、東園大が試合を振り出しに戻した。その後は同点に追いついて勢いを増す東園大と大院大が中盤で激しい競り合い、一進一退の攻防戦に。だが78分中盤でボールをキープした10番・國分龍司がドリブルでペナルティエリア近くまでボールを運び、右に開いた27番・田中太晟にパス。27番・田中が上げたクロスに合わせた7番・田中太晟がヘディングシュートを叩き込み、大院大が再び勝ち越しに成功する。
 このゴールが決勝点となり、試合は1-2で終了。大院大が3回戦に駒を進めた。一方、東海学園大と常葉大が敗れたことにより東海地区は2回戦で全代表チームが敗退することとなった。






関東学院大学 0(0-1)2 明治大学


 第40回、42回、42回の覇者であり、今大会も優勝候補筆頭に挙げられる明治大学がシード校として登場。接戦の末2回戦進出を果たした関東学院大学と対戦した。関東大は本大会唯一の2部リーグ所属チームとして奮闘をしていたが同じ関東代表同士、かつ1部の明大相手にはどうしても分が悪い。前半は明大が主導権を握り、13分にスコアを動かす。33番・林晴己が右サイドから仕掛け、10番・佐藤恵允につなぐ。10番・佐藤の狙い済ましたパスを受けた9番・中村草太が、ゴール右隅を狙う技ありのシュートで明大が先制。明大が落ち着いた試合運びでリードする。

 関東大も後半、早めの選手交代で少しずつ攻撃のリズムを作り始める。交代出場の16番・坂本順平らを中心に奮戦するが、堅守・明大のゴールをこじ開けることはできない。逆に75分、明大は中盤で関東大からボールを奪うと、18番・藤森颯太がボールを持ち上がると、19番・櫻井風我につなぎペナルティエリア内に横パス。これを33番・林が冷静にゴール左隅に決めて明大が追加点。0-2と関東大を突き放すと、安定した試合運びで関東大の攻撃を防ぎ試合終了。優勝候補の明大が危なげなく初戦に勝利し3回戦に駒を進めた。




駒澤大学 5(0-0)0 仙台大学


 昨年度王者・法政大学を下した2回戦に臨む仙台大学の相手は、昨年度インカレ王者の駒澤大学。地元代表の誇りを懸けて負けられない仙台大と、王者の意地を見せたい駒大。だが前半は両チームとも慎重に滑り出し。全般的に低調なまま、スコアレスで前半を終えた。

 仙台大はハーフタイムに10番・冨久田和真を投入。後半、勝負に出るが、先にスコアを動かしたのは駒大だった。57分、駒大のGK1番・深澤颯人が蹴り入れたロングキックが前線にまで届き、19番・松本ケンチザンガが頭で反らす。パスを受けた14番・髙橋優斗はそのままペナルティエリアに侵入すると、体勢を崩しながらも右足で押し込み、駒大が先制点を挙げる。その後は膠着状態が続いたため、両チーム積極的に選手交代で試合の活性化を狙う。すると75分、駒大は11番・ウォーモハメッドが倒されてフリーキックを獲得。7番・須田晃輝のキックに、19番・松本が頭で合わせて追加点。0-2とリードを広げる。流れを掴んだ駒大は23番・小林栞太の左サイドからのクロスに13番・小林栞太がヘディングシュートを突き刺して3点目。さらにその5分後の86分には、コーナーキックの流れから、GKがこぼしたボールを12番・細川竜征が蹴り込んで4点目を決め勝負あり。しかし駒大は最後まで攻撃の手を緩めず、終了間際の90分にも19番・松本が右サイドを崩して供給したパスに、18番・上野正騎が右足ダイレクトで押し込んでダメ押しの5点目を挙げる。序盤は攻めあぐねた両チームだったが、終わってみれば0-5と大量得点で昨年度インカレ王者・駒大が幸先のよい勝利を掴んだ。一方、地元代表・仙台大は2回戦で大会を去ることとなった。




順天堂大学 3(5PK4)3 関西大学


 関西王者・関西大学と関東の古豪・順天堂大学の対戦は、激しくゴールを奪い合う接戦となった。まずは開始早々の5分、関西大が挨拶がわりのゴールで先制点を奪取。8番・深澤佑太が右からペナルティエリアに入れたボールに、9番・西村真祈が頭で合わせてゴールネットを揺らした。だが、1点を追う順大も28分、丁寧なパスで中盤を崩すと右サイドに抜け出した5番・井上太聖の低い弾道のパスを、11番・小林里駆が蹴り込んで同点に追いつく。その後は拮抗した展開に。同点のまま折り返すかと思われたが、前半終了間際の45+1分に順大がコーナーキックを獲得。14番・石川拓磨も右コーナーキックに10番・塩浜遼が頭で合わせて追加点。10番・塩浜の2試合連続ゴールで順大がリードし、前半を終えた。

 後半は両チーム激しい競り合いとなったが、どうしてもゴールを割ることができない。このまま順大が逃げ切るかと思われた83分、関西大がついに動く。関西大は浮き玉のパスで相手をかわすと、最後は9番・西村のパスを受けた6番・松尾勇佑がゴール右隅にシュートを決めて同点に。試合は再び振り出しに戻り、両チーム追加点のないまま延長戦に突入した。

 攻めあぐねた延長前半戦から一転、後半はスコアが一気に動いた。延長後半早々の102分、関大は9番・西村のパスを受けて8番・深澤佑太がシュートを放つ。これはGKに弾かれるものの、こぼれ球を17番・百田真登が押し込んで2-3に。関西大が再びリードを奪った。しかし順大も粘り強く、108分にコーナーキックを獲得。11番・小林の左コーナーキックを16番・三輪椋平が頭でつなぎ、最後は13番・林勇太朗が頭で押し込み同点に。得点を取って取られての展開は延長戦でも決着がつかず、勝敗はペナルティーキック戦に委ねられた。

 ペナルティーキック戦では、ともに3人目までが成功。しかし関西大の4人目、12番・堤奏一郎のキックを、順大GK、1番・青木心がストップ。これが両チームの明暗を分け、5-4でペナルティーキック戦を制した順大が3回戦進出を決めた。一方、関西チャンピオンの関西大は、まさかの初戦敗退となった。






 2回戦の結果、北海道、北信越、関東4、関西2の各チームがベスト8に残った。北海道教育大学岩見沢校、新潟医療福祉大学が初のベスト8進出を果たす中、前年度チャンピオンの法政大学に続き、関西チャンピオンの関西大学も敗れ去るなど、予想外の展開が続いている。3回戦は関東・関西対決や関東同士の対戦など見どころの多い試合も。一方で、岩教大、新医大の初の準決勝進出を果たせるかも注目される。