JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
第40回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 準決勝戦レポート
2016/08/13
 大学サッカーの夏の全国大会『2016年度 第40回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の決勝進出をかけた準決勝2試合が、8月12日にヤンマースタジアム長居で行われた。



■日本体育大 0 (0-1) 2 順天堂大

 19年ぶりに関東勢がベスト4を占めることとなった準決勝の第1試合は、日本体育大と順天堂大が対戦。試合は立ち上がり、3試合連続ゴールの順大の旗手怜央が強烈なシュートを放つが、これはサイドネットを揺らすに留まった。その後は両チームともにチャンスを作り一進一退の攻防を繰り広げるが、10分を過ぎたころから順天堂大が高い位置でボールをキープ。米田隼也らがサイドとコーナーをうまく使いながら攻撃の主導権を握るが、日体大も冷静に対応。23分には、順大が名古新太郎、旗手とつないで最後は室伏航がシュートを放つ決定的な場面を迎えるが、これは日体大GK・長谷川洸がファインセーブで防ぐ。

 25分すぎのクーリング・ブレイクを境に、試合の流れは日体大へ。39分には小泉将来のドリブルから川戸大樹がシュートを放つも、順大GK・中村研吾が弾きCKへ。41分、縦パスに走りこんだ渡邊龍のシュートもわずかにバーを超えるなど、惜しいシーンがありながらも決めきれない。しかし無得点のまま終わるかと思われた45分+2分に試合が動く。右サイドからカットインした旗手の、今大会4試合連続、5ゴール目となる得点で順天堂大が先制する。

 後半に入ると、序盤こそ順大が米田隼也、浮田健誠らがシュートを放つも、ポストに当たるなどしてゴールまではいたらず。逆に14分、19分には日体大の平川、渡邊らに決定的なシーンを作られるが、順大GK中村の好守もあり、こちらも得点をあげることができない。

 試合が決したのは前半同様、アディショナルタイムに突入した90分+4分。途中出場の松島奨真が左サイドを突破して中に切れこむと、ゴール前に上がっていた名古が松島からのパスを蹴りこんでゴール。そのままタイムアップとなり、順大が2-0で日体大を下した。

 20年ぶりの決勝進出で7度目の優勝を狙う順天堂大・堀池巧監督は「暑い中での試合だからこそ、攻め急がずにボールを動かそうとした」と、序盤の展開を振り返る。先制はしたものの「あれは(旗手)怜央の個人技。旗手に頼っている状態」と楽観視はしない。「ビルドアップの途中まではいくけれど決めきれなかった」と課題をあげる。
 一方、大会前には不安視されていた守備陣がここまで無失点と奮闘しているのは好材料。堀池監督は「今日の試合も後半は攻められているし、決定機は作られている」と前置きしながら「ゲームキャプテンの坂(圭祐)が出場停止のときはキャプテンの矢部純也がフォローするなど、がんばっている」と評価する。「決勝戦の相手の明治大はオフサイドをうまく利用して2列目から狙ってくるので、ラインというよりはプレッシングを意識して、もう少しチャレンジ&カバーを徹底したい」と話す。

 20年ぶりという決勝進出に、チームは沸き返っているが「我々は何ひとつ手にしたわけではない」と堀池監督。「ロッカールームでもう一度選手たちを引き締めて、順大にタイトルを持ち帰るのが使命」と、勝利に浮かれることなく気を引き締めていた。



■桐蔭横浜大 1 (1-0) 2 明治大

 第2試合は、総理大臣杯初出場ながらベスト4に進出した桐蔭横浜大と、2年連続の決勝進出を狙う明治大という、対称的なチームの対戦となった。

 試合は序盤に動きました。前半5分、桐蔭横浜大の左サイドバック、佐々木俊樹がボールを奪ってオーバーラップし、中盤の名畑典樹へとパスを送る。中央でボールを受けた名畑があげた浮き球に、今関耕平が左足で合わせ桐蔭横浜大が先制する。「序盤は理想的な展開だった」と、桐蔭大・八城修監督も認めるように、その後も試合は桐蔭大が主導権を握り、今関、佐藤碧、鈴木国友らがチャンスをつくる。しかし「そこで追加点を決めきれないところが、お人好しというか、まだ勝者のメンタルをもっていないところ」と八城監督は嘆く。

 一方、いきなり先制点を奪われる形となった明治大は、前半が防戦一方に。「選手の気持ちが入りすぎて空回りしていたし、周りがまったく見えていなかった」と明治大・栗田大輔監督。ディフェンスラインがあげられず、結果「深い位置からの攻撃になってしまい、ボランチの運動量が多くなってしまった」。それでも、前半の終盤から少しずつリズムを取り戻し、後半の頭から小野雅史を投入。また「ミドルレンジのところから背後を狙うよう指示をした」(同監督)ことで中盤がコンパクトになり、明治大らしいサッカーが展開するようになる。

 その成果が出たのは61分。中盤でボールを受けた道渕諒平が、前をはしる丹羽詩温にパスを送ると、丹羽がDFをふりきりゴール左スミに流し込んでゴール。「パスがきたときにシュートモーションを入れたら、自分と並走していたDFとの間が空いて、GKの動きが一瞬止まった」と丹羽。「その次のタイミングで打てばGKは反応できないのでは思った」という狙いどおりのゴールで、明治大が桐蔭横浜大に追いつく。

 明治大はその後もショートカウンターを仕掛けるなどアグレッシブにゴール前に迫る。67分には河面旺成のコーナーキックに、木戸皓貴が左足で合わせ、強烈なダイレクトシュートを放つがバーを叩くなどの惜しいシーンも。桐蔭大もイサカ・ゼインを投入して巻き返しをはかるが、明治大からなかなかボールを奪えない。


 再び試合が動いたのは80分。左サイドバックの河面がオーバーラップして得た左コーナーキックを、ファーサイドの鳥海晃司が頭で折り返し、最後は土居柊太が押し込んで、明治おおが逆転に成功する。

 この得点が決勝点となり、試合は2-1で明治大が勝利。明治大が2年連続で決勝への進出を果たした。

 敗れた桐蔭大の今関耕平主将は「今日の試合の入りはよかった。よすぎたのかもしれない」と振り返る。「でも1-0で逃げきれる力はウチにはなかった。それがすべて」とうなだれた。それでも「(関東予選の)「アミノバイタル」カップから総理大臣杯まえ、チームの底上げとまとまりができたことは確か」と八城監督は初の全国大会出場に手応えを感じている様子。「あとは明治大のように勝ち切ることが課題」とリーグ戦での雪辱を誓った。

 勝った明治大の栗田監督は「選手たちがタフになったし、強くなった」と目を細める。前半こそ苦戦したが自分たちの力で立て直し、逆転に成功。「相手を感じることと勝ち切ること、決断力と責任をどう発信していくか」と語るテーマどおりのサッカーを見せた。

 今大会前の天皇杯東京都予選では、東京都リーグ所属の立正大に3点を先取されたうえで敗れるという屈辱的な経験もした。その影響は大きく、3試合連続の丹羽は「負けたのはFWの自分が点をとれなかったから。責任を感じたし、今大会は自分が試合を決めるつもりで臨んでいる」と意気込む。主将の服部一輝も「あの敗戦がチームにとって大きかった」という。

 2年連続の決勝進出だが、メンバーはがらりと変わった。昨年も決勝でプレーした服部主将は、「昨年はどこかで慢心があったのかもしれない」と悔しい敗戦を振り返る。「個人の力でいえば、昨年よりも劣ると思う。だからこそ、今のチームに慢心はない。チームの名前としては上かもしれないけれど、個人の実力は自分たちのほうが下だということを、みんなよくわかっている」と、気の緩みは欠片も見あたらない。


 現在、大会最多得点の旗手怜央を始めタレント豊富な順天堂大と、チーム力と対応力に磨きをかけた明治大。はたして、夏の大学日本一のタイトルを手にするのは、どちらのチームか――。
 決勝戦は8月14日(日)、ヤンマーフィールド長居で18時キックオフ!



■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)


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日本体育大対順天堂大

桐蔭横浜大対明治大