JUFA 全日本大学サッカー連盟

デンソーカップ
『デンソーカップサッカー2018』記者会見レポート
2018/02/15
 2月13日にJFAハウスにて、『デンソーカップサッカー2018』の記者会見が行われました。
 会見には、公益財団法人日本サッカー協会・田嶋幸三会長、一般財団法人全日本大学サッカー連盟・松本健一副会長、同連盟・中野雄二技術委員長、そして特別協賛社の株式会社デンソー 総務部社会貢献推進室長・布施浩二氏が登壇。また、参加チームを代表して全日本大学選抜の松本直也監督、オビ パウエルオビンナ選手、阿部航斗選手も登壇し、本大会に向けての抱負を語りました。

 以下、登壇者のコメントの一部と質疑応答をご紹介いたします。


■公益財団法人 日本サッカー協会 会長 田嶋幸三

 日本のサッカーにおいて、大学サッカーというのは非常に重要な勝ちを持っております。大学サッカーを経た様々な方が、現在いろいろなクラブの役員や協会、連盟の役員として日本のサッカーを支えております。そして日本代表の約8パーセントから10パーセントは、この『デンソーカップサッカー』を経てきた選手たちです。本大会は非常に大きな存在であると思いますし、改めて現場の方々の日頃の努力に感謝したいと思います。
 そして今日この場に出席しているオビ パウエルオビンナ選手、阿部航斗選手には、この大会がJリーグ、そして代表につながるという気持ちをもって臨んでほしいと思います。オビ選手も阿部選手も、各年代代表を経験している選手です。その誇りをもって、この『デンソーカップサッカー』でも活躍してほしいと思います。
 私自身も、かつて関東選抜のコーチとして、この大会に参加する機会を得ました。そこで指導者やとのつながりができ、その後のサッカー人生に大きな影響を与えたことを覚えています。選手にとっても、大学サッカーにとっても素晴らしい大会になることを願っております。
 また大学サッカーにおいては昨年のユニバーシアード競技大会で優勝しましたが、それだけではなく選手村近くの公園のゴミ拾いもしました。そのことが台湾のメディアに取り上げられ、日本のサッカーだけではなく、日本人の評価にもつながったと聞いております。改めて感謝し、これからも教育とサッカーの指導、両方に力を入れていただきたいと思います。
 最後になりましたが、株式会社デンソー様、九州サッカー協会、熊本県サッカー協会、そして現地で多大なご協力をいただくボランティアの皆様方に、ここでお礼を申し上げます。


■株式会社デンソー 総務部社会貢献推進室長 布施浩二 様

 当社が『デンソーカップサッカー』の協賛を始めてから昨年で25年を迎えました。大学サッカーの最高峰の大会に、このように長く協賛をさせていただくことをうれしく思うとともに、これまで長きにわたり、この大会を盛り上げ、育ててこられてきた関係者の皆様のご尽力に敬意を表したいと思います。また、昨年の夏にはユニバーシアード競技大会(2017/台北)で3大会ぶり6度目の優勝を飾られたことは、当社といたしましても大変喜ばしいことだと思っております。長友佑都選手や武藤嘉紀選手をはじめ、過去に本大会に出場した選手たちも、国内外で活躍されています。今大会では、次回のユニバーシアードに向けた新太な全日本大学選抜のチーム編成も始まるとのことで、これから世界で活躍するであろう選手たちのプレーを見ることができると思うと、今から楽しみであります。
 この大会では、大学サッカー界最高峰の気迫あふれるプレーが見られることも大変魅力的なことではございますが、大会期間中に選手や関係者の皆様が、サッカー教室や交流試合といった地域への貢献活動をされることも、大変素晴らしいことだと思っています。このような活動はサッカーの裾野を広げるとともに、多くの人々の共感を得るものだと思っています。当社の社会貢献活動の取り組みの柱のひとつに、青少年の育成を掲げていますが、サッカーを通じた人材育成に少しでもお役に立てることは、大変喜ばしいことでございます。また、今後も引き続き応援させていただきたいと思います。


■一般財団法人 全日本大学サッカー連盟 副会長 松本健一

 『デンソーカップサッカー』は最初愛知県の豊田市で開催し、その後、第○回から株式会社デンソー様に特別協賛をいただき、『日本電装カップサッカー』という形になりました。途中、デンソー様の社名変更により『デンソーカップサッカー』と現在の名称になりました。またそのときから、国内の大会だけではなく海外遠征が始まりました。海外遠征から日韓定期戦をはじめました。今回会場となっている熊本県の大津は、17年ぶりの開催になります。ご存知のように熊本は2016年に起こった地震で大変な被害を受けましたが、選手が一生懸命頑張っている姿が、地元の方を元気づけられれば、と思っています。


■一般財団法人 全日本大学サッカー連盟 技術委員長 中野雄二

 簡単に大会の展望を紹介させていただきます。全日本大学選抜は、当然、全日本の選抜ですから、当然いちばん実力はあってしかるべきなのですが、次のユニバーシアードが2019年開催ということもあり、この全日本大学選抜は現在の大学1、2年生で編成されております。ですから、必ずしも全日本大学選抜が優勝するとはいえません。逆に関東選抜Aは3年生中心の選抜チームとなっており、昨年のユニバーシアードで世界一となったメンバーも多くおります。1、2年の全日本大学選抜と、3年生中心の関東選抜Aが決勝まで残った場合、どんな戦いをするのかというのがひとつのポイントになるかと思います。ただ、どの地域も実力的にはほとんど格差がなく、全日本対関東Aという決勝になるとは限りません。以前であれば、関東Aが上位にくるのは当然のことでしたが、近年はどこの地域選抜が勝ってもおかしくない。それだけ、多くの有望な選手が各チームにいるというのが、大学サッカーの現状です。
 選手個人でいうと、U-21代表に選ばれている順天堂大の旗手怜央選手はまだ2年生で、今回は全日本選抜として出場します。今日登壇しているGKのふたりも、全日本選抜の一員として出場します。残念ながら筑波大の三苫薫る選手、法政大の上田綺世選手という有望なアタッカーふたりは、怪我のため今大会は出場ができません。
 U-21代表には産業能率大学の小松蓮選手という大型FWもおりますが、今大会の選抜からは洩れております。いろいろな考え方はあると思いますが、それくらい大学の中にも有望な選手がいるとお考えいたけえればと思います。関東Aは3年生が軸になります。すでにU-21代表では中心的な存在になっている、早稲田大の小島亨介選手、そして明治大の岩武克弥選手、流通経済大の小池裕太選手、順大の名古新太郎選手、そして関西選抜の大阪体育大・菊池流帆選手は、昨年のユニバーシアードで世界一になったメンバーです。素晴らしい経験を積んだうえで、今大会に臨みます。さらに東海選抜では、愛知学院大の安藤智哉選手が1年生ながら出場します。安藤選手はU-19代表の選手としてもピックアップされています。逆に流経大の関大和選手、東京学芸大の半谷陽介選手、法政大の中野小次郎選手、立命館大の 田中康介選手といったU-19代表に選出されていても、各地域選抜には選出されなかった選手もいます。それくらい、大学全体の中に有望な選手がいるということかとは思います。こういった選手にも注目していただきつつ、大会を見ていただければと思います。
 また2年後、2019年のユニバーシアード競技大会は、イタリアのナポリで開催されます。このナポリの大会までの2年間、全日本大学選抜の監督を桃山学院大学の松本直也監督が務めます。このデンソーカップチャレンジサッカーを経て、松本監督が3年生を含めた選手をピックアップして大学選抜を再編しセルビアで海外キャンプを実施します。そして帰国後、柏の葉公園競技場で『DENSO CUP SOCCER 日韓(韓日)定期戦』を行います。3年生を含めた全日本大学選抜はこの大会で一区切りとし、以降はユニバーシアードに向けてのチーム編成で強化をするという形になります。


■全日本大学選抜・松本直也監督

現在、平昌オリンピックで20歳前後の若い選手がメダルを獲得して日本中を沸かせています。ふだん彼らと同じ世代の選手たちを指導し、また全日本大学選抜という形での活動の場を与えられている者として、非常に勇気づけられるものでした。競技それぞれに特性が違いますから、20歳前後が競技的にベストな年齢であるとは限りませんが、本大会を経て日本代表、そしてワールドカップに出場している選手も数多くいます。そうした選手たちや、平昌オリンピックのメダリストの活躍を見ていると、この年代の選手たちを指導する、育てていくことの重要性に身につまされる思いがします。
 今回の全日本大学選抜は1、2年だけの若いチームになります。チームは1月5日にU-21代表、いわゆる森保ジャパンとトレーニングマッチを組ませていただき、2月初旬の宮崎合宿でロアッソ熊本、セレッソ大阪とトレーニングマッチを行いました。3試合ともまだ勝ててはいません。ただチームが1月に初めて集合したとき、選手たちには2019年のユニバーシアード競技大会の優勝を目指すチームだけど、選手個人としてはその先、2020年の東京オリンピックまで見据えてがんばってほしいと伝えました。選手たちからは「やってやる」という気持ちが見られましたし、U-21代表とのトレーニングマッチも、1-1の引き分けながら非常によいゲームをしたと思っています。
 それぞれの大学の中で、まだ中心選手とはいえない選手もいます。関東や関西など他地域の選抜と対戦すると、若さが出て難しい面があるかもしれません。しかしながら選抜活動という限られた期間の中で、100パーセント、いえ120パーセントを出せるように準備し、しっかりと戦って優勝を目指したいと考えています。『デンソーカップチャレンジサッカー』も『デンソーカップサッカー日韓定期戦』も非常に厳しい戦いになるとは思いますが、選手一人ひとりを伸ばしていくとともに、チームとしても成長できるような大会にしたいと思います。


■全日本大学選抜・オビ パウエルオビンナ選手(流通経済大・2年)

 僕たち全日本大学選抜は、立ち上げ当初から松本直也監督をはじめとするスタッフの方々とともにがんばってきました。選抜チームとして難しい部分もありますが、与えられた素晴らしい環境の中で、自分たちがもてる力を最大限に発揮して、この大会から飛躍できるようにチーム一丸となってがんばりたいと思います。


■全日本大学選抜・阿部航斗選手(筑波大・2年)

 松本監督もおっしゃったように、対戦相手には3年生も多くいますが、自分たちは1、2年生だけのメンバーとなります。ですからチャレンジ精神を忘れず戦いたいと思います。セルビアキャンプや来年のユニバーシアード競技大会のメンバー選出に関わる大会なので、個人のアピールが優先されがちかと思いますが、まずは今大会で結果をつかめるよう、チームのために戦って優勝したいです。


■質疑応答

――選手おふたりの、それぞれの特徴とお互いをどう思っているのか聞かせてください。

オビ 自分の特徴は積極的なビルドアップとシュートストップです。その特徴を存分に発揮して、チームを救えるようがんばります。阿部選手のことは、同じGKとして、中学・高校のころからともに戦ってきて、とても仲良くさせてもらっています。この大会でも切磋琢磨して、ともに高めあいながらチームを優勝に導けるようにがんばります。

阿部 自分の特徴は気迫あるプレーでゴールを守ることです。コーチングでチームに与えられる影響力というのは、ほかの選手に比べても強いかと思います。オビ選手は、身長の高さや手足の長さが武器だと思うので、その部分を非常にうらやましくと思います。