JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
『2019年度第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』2回戦レポート
2019/09/02


 1回戦から中2日となる9月3日(日)、関東・関西のシード8校が参戦して『2019年度第43回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』の2回戦が行われた。




中京大 1(1-1)5 順天堂大


 1回戦で劇的な逆転勝利を収めた東海代表の中京大と、これが大会初戦と順天堂大。先制点を挙げたのは関東代表の順大だった。17分、川崎フロンターレ内定の10番・旗手怜央が起点となり15番・大谷京平、そして最後は14番・鈴木啓太郎がシュートを放ち、ゴールネットを揺らす。しかし中京大も一歩も引かずにゴールを狙い、31分にはペナルティーキックを獲得。これを9番・西口黎央が決めて同点に追いつく。
 振り出しに戻って迎えた後半、順大は10番・旗手を下げて主将の9番・浮田健誠を投入。するとこの起用が的中。9番・浮田は61分、15番・大谷のクロスに頭で合わせて追加点を挙げると、69分には18番・大森真吾のヘディングシュートをアシストするなどして、試合の流れを一気に引き寄せる。1-3とリードを広げた順大だが、勢いは止まらず、76分には9番・浮田のパスから19番・鬼島和希が決めて4点目。その2分後の78分にも、翌日からU-18日本代表の活動を控える18番・大森がこの日2ゴール目となる5点目を挙げて勝負あり。終わってみれば1-5と、順大が大量ゴールで中京大を下した。




明治大 2(0-1)1 仙台大


 関東王者として本大会に乗り込んだ前年度優勝チームの明治大。初戦の相手は特別指定選手として横浜FCでも活躍する、10番・松尾佑介を擁する仙台大だ。試合は、その10番・松尾が23分にドリブルでゴール前まで持ち上がり、右足を一閃。仙台大が王者・明大からいきなりゴールを奪った。
 追う立場となった明大は後半頭からユニバーシアード代表の10番・小柏剛をピッチに送り出す。早い時間帯から“切り札”を投入することで攻撃のギアを上げると、51分に17番・持井響太がペナルティーキックを獲得。これを主将の11番・佐藤亮が冷静に沈め、明大が同点に追いつく。さらに明大は66分、サガン鳥栖内定、8番・森下龍矢がシュートを放つも、これはバーを直撃。その跳ね返りを10番・小柏が頭で押し込むが、今度はGKがシュートを弾く。しかし、そのこぼれを11番・佐藤が“3度目の正直”でゴールに流し込み、ついに明大が逆転に成功する。その後は、持ち前の守備力で仙台大の攻撃を封じ、2-1で試合終了。明大が連覇に向けての第一歩を踏み出した。




関西大 3(3-0)0 拓殖大


 1回戦では11-0という大勝で、37年ごしの初勝利を挙げた拓殖大。だが2回戦では、立ち上がりから関西大の的確な攻撃に後塵を拝す結果となった。まずは17分、関西大は2番・坂口貴哉のクロスに、33番・大久保優が頭で合わせて先制。さらに23分、19番・松本歩夢が相手のクリアボールを拾うと、鮮やかなミドルシュートを放ち追加点を挙げる。2点のビハインドを負った拓大は36分、17番・高橋和希と11番・増田力也の2人を同時にピッチに送り出すが、関西大の勢いは止められない。29分には、10番・牧野寛太のパスを受けた9番・高橋晃平が、ゴール右隅にシュートを突き刺してダメ押しの3点目。関西大が前半だけで3点のリードを奪った。
 後半に入り拓大もチャンスを作るが、関西大は危なげない試合運びで拓大にゴールを許さず。結局3点のリードを守りきったままタイムアップ。2年ぶり出場の関西大が、準々決勝に駒を進めた。




福岡大 1(1-0)0 駒澤大


 全国大会の常連校として「互いに、やり方をよく知る相手」(福岡大・乾真寛監督)という福岡大と駒澤大の対戦は、駒大対策を徹底した福岡大がワンチャンスを活かして勝利を収めた。
 高さとロングボールを武器とする駒大に対し、福岡大は1トップに188センチの長身FW、30番・大崎舜を起用して試合に臨んだ。この“抜擢”にルーキーの30番・大崎が応えたのは14分。8番・大熊健太の右コーナーキックを、やはり今大会初スタメンの長身DF、24番・大川智己が頭でつなぎ、最後は30番・大崎が右足で合わせて先制。するとこの虎の子の1点を守るべく、福岡大はもともと5バックの守備を更に固めて駒大の攻撃を防ぐ。
 駒大は後半、モンテディオ山形内定の9番・高橋潤哉をはじめ、中盤からも積極的にシュートを放つが、「前線まで守備に回す」(乾監督)という福岡大が徹底した守りでこれを跳ね返し、駒大にゴールを許さない。後半は駒大に3倍以上のシュートを放たれるも、きっちりと守りきった福岡大が狙いどおりの戦いで勝利し、関東・関西以外の地域代表としては唯一のベスト8進出を決めた。




大阪体育大 3(0-1)1 筑波大



 7月に行われた『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』の優勝メンバー6人を擁する筑波大と、同じく2人の代表メンバーが所属する大阪体育大学。2回戦屈指の好カードは、そのユニバ代表選手が得点に絡む“ユニバ対決”となった。
 序盤は筑波大が持ち味を活かした攻撃でゴール前に迫るが、大体大の粘り強い守りを崩しきれない。しかし20分、セットプレーから混戦になったところを、筑波大の10番、コンサドーレ札幌内定の高嶺朋樹がこぼれ球を拾い、鮮やかなミドルシュートを突き刺す。
 後半序盤の57分にも、筑波大は川崎フロンターレ内定の7番・三笘薫の突破から、26番・伊東朋哉がゴールを決めるが、これはオフサイドの判定で追加点ならず。するとここから、「1点を取られるのは覚悟していた。ただ、相手が崩れる時間帯と、攻撃力ほどに守備力が高くないのもわかっていた」(松尾元太監督)という大体大が反撃に出る。まずは66分、鮮やかなカウンターから9番・アフラギマハディ、20番・岩切拳心とつなぎ、最後はサガン鳥栖内定のエース、10番・林大地が決めて大体大が同点に追いつく。さらにその5分後の71分には、相手DFのこぼれ球に詰めた9番・アフラギが追加点。大体大が逆転に成功する。大体大はその後もサイドを起点にチャンスを作り、83分にはセットプレーの流れから、14番・永吉広大がミドルシュートを決めてダメ押しの3点目をマーク。終わってみれば3-1と、後半一気に畳み掛けた大体大がスター軍団・筑波大を退けた。
 大体大・松尾監督は「関東の大学にはどこであっても負けたくないが、その中でもタレント揃いの筑波大には負けたくなかった」とコメント。「関西の意地を見せられた」と試合後は満足顔を見せた。「ボールを取ってからのカウンターなど、チャンスは作れていた」と試合を振り返り、なかでも「20番・岩切をはじめとするサイドの選手が守備をがんばり、攻撃の起点にもなってくれた」と評価。昨年は決勝戦で敗れているだけに、今年はリベンジをはたし優勝を狙う。






立正大 1(1-0)0 東海学園大



 今季関東1部リーグ初昇格ながら、“台風の目”ともいえる活躍で本大会初出場を果たした立正大の相手は、4年連続の出場となる東海第2代表・東海学園大。初顔合わせとなる対戦は、早い時間にスコアが動いた。開始早々の5分、GKからのキックを中盤で受けた11番・見原慧が、そのまま思い切りのいいシュートを放つ。するとボールは相手GKの頭上を超えてゴール左隅に。「思い切りの良さが武器の、11番・見原だからこその得点。ほかの選手だったら、違う選択肢になったと思う」(杉田守監督)という、意表をつくるロングシュートで、立正大が先制点を挙げる。対する東海学園大は9分、15番・岡本杏太が負傷交代するというアクシデントもあり、なかなか状況を立て直すことができない。その後立正大は13番・武田夏輝、18番・平松昇らを中心に追加点を狙うが、30分前後には東海学園大が主導権を奪取。立正大ゴールに迫り始めた。
 後半に入ると、追う立場の東海学園大が攻勢を強め、立正大は防戦一方に。「もう少しプレスをかけて、そこから展開するイメージをもっていたが、想像以上に東海学園大さんに力があった」(杉田監督)という立正大だったが、「関東での厳しい戦いを乗り越えてきた」ことから「最後の最後で踏ん張ることができた」(同監督)。11番・榎本啓吾、名古屋グランパス内定の14番・児玉駿斗らの突破を防ぎ、先制点を守りきってタイムアップ。「ちょっとすっきりしない勝ち方」とは言うものの、粘り強い守備をいかんなく発揮し、大会初勝利を収めた。






法政大 4(1-0)1 静岡産業大


 昨年、連覇を目指しながらもまさかの初戦敗退で涙を呑んだ法政大だったが、今年は大差をつけて東海第1代表の静岡産業大を退けた。
 試合は序盤からたびたびチャンスを作る法大に対し、静産大がワンチャンスを狙う展開となった。先制点は法大。21分、23番・関口正大のクロスに20番・佐藤大樹が頭で合わせてゴールネットを揺らす。後半も法大が優勢に試合を進め、49分には再び20番・佐藤が、今度はFC東京内定の8番・紺野和也のクロスをヘディングシュートで叩き込み、追加点を挙げる。その後は静産大も交代選手をピッチに送り込んで攻撃を仕掛けるが、法大も早めの選手交代でこれに対応。74分には、交代出場の15番・服部剛大が上げたクロスを、こちらも交代出場の9番・松澤彰がダイレクトで合わせて勝負あり。静産大も80分に23番・川原由斗がドリブル突破から1点を返すも、法大は終了間際の90+1分、13番・長谷川元希がコーナーキックからのこぼれ球を押し込んで再び突き放す。
 終わってみれば4-1と大差をつけて法大が勝利。昨年は叶わなかった準々決勝へと駒を進めた。




鹿屋体育大 0(0-0,EX0-1)1 びわこ成蹊スポーツ大


 天皇杯でJ1の名古屋グランパスに快勝した鹿屋体育大と、関西予選を制した関西第1代表・びわこ成蹊スポーツ大の対戦。試合は、序盤から互いに積極的にゴールを狙う展開となったが、ともに集中した守備でゴールを許さない。結局スコアレスのまま90分が終了。勝負は延長戦へと持ち込まれた。
 試合が動いたのは延長戦前半終盤の98分。交代出場のびわこ大19番・小畑翔太郎がペナルティーキックを獲得する。これを主将の18番・井上直輝が冷静に決めて、びわこ大が待望の先制点を決める。試合終了間際には、びわこ大の29番・葉賀洸が2枚目の警告で退場となったものの、1点を守りきったびわこ大が鹿屋大を退けた。





 2回戦の結果、東海代表の3チームがすべて敗退し、ベスト8には関東4チーム、関西3チーム、そして九州1チームが残った。
 準々決勝は9月3日(火)に開催される。ヤンマースタジアム長居では関西大学対福岡大学、明治大学対順天堂大学の2試合が行われ、ヤンマーフィールド長居では立正大学と大阪体育大学、法政大学とびわこ成蹊スポーツ大学が対戦する。
 キックオフ時間はすべて、第1試合が15:30で、第2試合が18:00となる。ベスト8のうち、半分の4チームがここ4年内で決勝進出の経験をもつ“優勝候補”。そのなかで、3年前の決勝戦の再現となる明大対順大の“関東対決”は見どころのひとつとなるだろう。3年前は明大が勝利して優勝を手にしたが、今回ははたして――。また九州唯一の生き残りとなった福岡大と関西大、昨年準優勝の雪辱を狙う大阪体育大と新鋭・立正大の対戦にも注目したい。