JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 準々決勝戦レポート
2015/08/13
 盛夏の中で行われる第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントも残り3試合。12日にはベスト4をかけて準々決勝4試合が行われた結果、関西代表の阪南大と九州代表の福岡大が敗れ、関東勢3校が準決勝に進むことになりました。
 昨年度準優勝校の法政大を下して、関西勢唯一の生き残りとなったのが関西学院大。昨年度のインカレでは、逆に”関東勢唯一の生き残り”となった流通経済大に敗れて優勝を逃しているだけに、今度こそ地元・関西開催の大会で全国大会優勝を狙います。


■法政大学 1(1-1)2 関西学院大学

 2回戦では前半終盤に退場者を出し、10人で後半・延長戦を戦い抜いてPK戦で辛勝をした関西学院大。この試合でも退場者を出すなど波乱ぶくみの展開となりましたが、終盤の法政大の猛攻をきっちり抑えて、準決勝進出を決めました。

 一進一退ながら関学大がやや優勢に試合を進めていた前半。「自分たちがボールを回せている、いい時間帯にゴールできた」(関学大・呉屋大翔)という先制点が決まったのは39分のことでした。右サイドに開いた、ボランチ・徳永裕大のクロスに呉屋がダイビングヘッドでゴール前に飛び込み、幸先のいいゴールをあげます。
 しかし、その2分後の41分には法政大のディサロ・燐・シルヴァーノが「周りからも寄せられていて、コースもつぶされていたので何も考えずに思い切り打った」という豪快なミドルシュートが決まって同点に。リーグ戦では順調なデビューをはたしたものの、総理杯前には調子を崩し「大阪に連れてきてもらえるかどうかもわからなかった」というディサロの起死回生の一発で、1-1のまま前半を折り返します。
 しかし「あの失点で、逆に自分たちの中で割り切って後半を立て直せた」と関学大・呉屋。その言葉通り、後半開始早々の48分には、左サイドからゴール前に抜け出した森信太朗のパスに合わせた森俊介がゴールを叩き込み追加点。スコアを2-1とします。
 再びリードを奪った関学大は、58分に小野晃弘、64分には池田優真を送り出し「(プレーが)効かなくなってきた選手」(関学大・成山一郎監督)を下げ、早めの交代で全体の修正を図ります。その矢先のことでした。66分に、ボランチの徳永が法政大選手へのファウルで退場となり、関学大は2回戦に続いて2試合連続で10人で戦うことになりました。
 「(10人の試合は)2試合とも苦しかったが、今日の試合の30分間は1分間とも集中力を切らすことができなかった」(関学大・呉屋)。数的優位に立った法政大の猛攻を前に、1トップの呉屋までもが守備に回ってゴール前を死守。試合終盤には何度となくセットプレーからのピンチを迎えながらも決定的なシーンを作らせず「ぶさいくながらも守り抜いた」(呉屋)。結局、10人の関学大が、1点のリードを守りきって勝利を収めました。

 敗れた法政大の長山一也監督は「決して勝てない相手ではなかったが、関西No.1チームの経験と、Jリーグに進む選手の個の部分に勝ちきれなかった」とコメント。後半開始直後の失点を悔やみながらも「あれは相手の思い切りのよさを褒めるべき」と、勝利チームの攻撃力を素直に認めました。一方、2試合連続の苦しい戦いを制した関学大の成山監督は、「去年のインカレの決勝戦はどこか舞い上がっていた」と昨年のくやしい経験を引き合いに出しながら「それだけにこの大会で流経大にリベンジするという思いは強い。今年やらずにいつやる」と準決勝に向けて強い気持ちをのぞかせました。
 次戦の対戦相手は「知り合いもいないし、これまで対戦したこともない」(呉屋)という筑波大。ともに攻撃のチームを標榜しているだけに、エース呉屋は「同じ攻撃のチームでも、違いを出していきたい」と抱負を語りました。


■筑波大学 3(3-0)1 福岡大学

 九州勢唯一の生き残りとなった強豪・福岡大と、昨年初の2部降格となった筑波大の対戦は、前半に3点のリードを奪った筑波大が安定した試合運びで福岡大を下す結果となりました。

 2回戦から6人の選手を入れ替えて試合に臨んだ筑波大ですが、立ち上がりからボールをキープして主導権を握ると、12分には右サイド、吉川修平のパスに中野誠也が走り込み、ドリブルからそのままシュート。早々に先制点をあげます。さらに23分には、吉川のシュートからCKをゲット。村山努の右CKに、ファーサイドに詰めていた主将・早川史哉が体ごと押し込んで追加点。「とりあえずきたボールに無我夢中で触っただけ」という早川は、4月末に怪我をして以来の公式戦初スタメン。約3ケ月ぶりながら、早速結果を出しました。
 福岡大もボランチの稲葉修土を中心に、右サイドバックの山道淳司らが攻撃を仕掛けますが、なかなか前線にパスを入れられずに苦戦。逆に41分には、中盤でのこぼれ球を筑波大・中野に拾われ、そのままドリブルから突破されて失点。筑波大に前半だけで3点のリードを奪われてしまいます。
 福岡大はハーフタイムに三浦秀弥と山下敬太を投入。三浦をディフェンスラインに入れ、センターバックの木本恭生を中盤にあげて反撃の狼煙をあげます。「正直、あそこまで蹴ってくるとは思わなかった」(筑波大・小井土正亮監督)という福岡大の徹底したプレーに押し込まれる時間もあった筑波大ですが、「選手たちが賢く対応してくれた」(同監督)。
 63分には、福岡大がスローインから稲葉のミドルシュートで1点を返しますが、反撃もここまで。終盤のパワープレーを抑えきった筑波大が3-1で勝利し、準決勝進出を決めました。

 全国大会の優勝を何度も経験してきた名門校として「自分たちが2部チームとして戦っているという意識はない。むしろ優勝争いをして当たり前だと思っている」と小井土監督。その言葉どおりの快勝に「決して能力の高い選手が揃っているとは思わない。ただ、”わかっている”選手がそろっていることは確か」と決勝進出にも自信を見せました。
 昨年はポゼッションでは相手チームに上回りながらもゴールを決めきれず、2部降格の憂き目にあった筑波大。その反省から「今年は小井土監督からも”うまい”筑波から”強い”筑波になろうと言われている」と主将の早川。シュートの意識、球際の競り合いを強化して臨んだ成果は確実に現れています。「2部の自分たちがインカレの出場権を得るためには、この大会で優勝するしかない」(早川)という目標に向けて、まずは次戦でファイナリストを目指します。

■阪南大学 0(0-0)1 流通経済大学

 昨年度関西リーグ王者の阪南大と、昨年度全国2冠の流通経済大。準々決勝最注目の東西強豪対決は、三連覇を狙う流経大がしたたかな試合展開で接戦を制しました。

 「この暑い大阪での連戦を勝ち抜くために、(スタメンで)戦える選手を2セット用意してきた」との中野雄二監督の言葉どおり、この日の流経大は2回戦から前線の3枚を代えて試合に臨みました。なかでも「いま、いちばん調子がいい選手」(同監督)という中村慶太が序盤から積極的にゴールを狙いますが、なかなか得点に結びつきません。
 先に決定的なチャンスをつかんだのは阪南大でした。前半終盤の41分にPKを獲得。しかし、キッカー松下佳貴のシュートは惜しくもポストを直撃してゴールならず。結局、0-0のまま前半を折り返します。
 流経大は61分に立花歩夢に代えて渡邉新太、78分に中村に代えて西谷和希を投入。この交代が両チームの均衡を崩しました。試合も終盤に差し掛かった84分、交代出場の渡邉を起点にジャーメイン良、そして西谷へとボールが入り、西谷がこれを押し込んでゴール。
 この得点が決勝点となり、流経大が三連覇に一歩近づく勝利を収めました。

■明治大学 2(0-0)0 東洋大学

 準々決勝で唯一の関東対決となった明治大対東洋大の一戦。関東予選のアミノバイタルカップでは3回戦で対戦し、このときは明治大が2-0で勝利を収めました。東洋大にとっては雪辱を果たすチャンス。2部チームながら、アミノバイタルカップや天皇杯予選で1部チームを倒し、2回戦でも大阪体育大を下した東洋大は「いま、いちばん勢いのあるチーム」(東洋大・古川毅監督)。この試合でもその勢いのまま、仙頭啓矢ら中盤の選手を中心に積極的に明治大ゴールに迫ります。
 しかし、守備に定評のある明治大のゴールを割ることができず、逆に後半開始直後の49分には明治大が先制。右サイドからドリブルで切れ込んだ藤本佳希のパスを、小谷光毅が冷静に決めます。
 東洋大は57分、2回戦で決勝点をあげた徳市寛人と杉山丈一郎の2人を一度に投入。流れを変えようとしますが、その矢先の63分に明治大が追加点。藤本がドリブルでゴール前まで持ち上がり、そのままシュート。2-0と東洋大を突き放します。
 その後は、明治大が危なげない試合展開で2点を堅守し、タイムアップ。アミノバイタルカップと同スコアで東洋大を下し、ベスト4に名乗りをあげました。


 この結果、ベスト4は関西学院大、筑波大、流通経済大、明治大の4校に。14日の準決勝は、ヤンマースタジアム長居にて第1試合が関西学院大対筑波大の東西対決、第2試合が流通経済大対明治大の関東対決となりました。
 関西唯一の生き残りとなった関学大が関西の牙城を守るのか、それとも唯一の2部チーム・筑波大がインカレ出場に向けての一歩を踏み出すのか。三連覇を狙う流経大、悲願の総理杯初優勝を目指す明治大の対戦もまた見逃せません。


■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)



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筑波大学対福岡大学

法政大学対関西学院大学