JUFA 全日本大学サッカー連盟

全日本大学選抜
【第29回ユニバーシアード競技大会(2017/台北) 第3戦(vsウルグアイ)マッチレポート(監督・選手コメント)】
2017/08/25
 マレーシア戦、カナダ戦と2連勝し、早くも準々決勝進出を決めた日本。ファーストラウンド最終戦は、同じく2連勝のウルグアイ。試合は8月23日(水)に、これまで2試合とは会場を変え、長庚大学足球場にて行われた。

 「ほぼターンオーバー制ができている」と宮崎監督がいうように、この日の前の試合より2名を変更。2戦連続出場のボランチ・守田英正に変えて柴戸海、右サイドハーフの戸嶋祥郎の代わりに岩崎尚将に名を連ねた以外は、初戦・カナダ戦のメンバーで試合に臨んだ。しかし、準々決勝進出をすでに決めていたウルグアイもメンバーを一新し、「当初の試合プランからかなり予定を変更した」(宮崎監督)との誤算も。さらに「フレッシュな選手が多かったので」(鈴木準弥)と、南米選手特有のボディコンタクトの強さにも苦しめられる結果となった。

 日本は試合序盤、両サイドを起点に攻撃を展開。8分には右サイドバック、岩武克弥から柴戸にパスが通ったところを倒されてフリーキックを獲得。その後も松田天馬が何度となく抜け出すが、ウルグアイのラフプレーにあい決定機をつくれない。松田のユニフォームは開始早々に破れるなど、激しい鍔迫り合いが続いた。23分にも柴戸が引き倒され、ひやりとするシーンも。さらに26分には、ウルグアイの選手がGK・小島亨介をかわして無人のゴールにシュート。しかしこれは、センターバックの鈴木準弥がギリギリでブロック。日本は間一髪でピンチを防ぐ。

 ピンチのあとにチャンスあり。日本は、序盤最大のこのピンチのあとに決定機を迎える。29分、柴戸が「(中野)誠也はいつもああいう動きをする」との信頼関係から出した縦パスに、中野が相手の裏へと抜け出そうとする。それをウルグアイの選手が倒し、ペナルティーキックを獲得。これを中野自身が右足で沈め、日本が待望の先制点を挙げる。

 さらに33分には旗手の浮き球のパスを受けた松田がシュート。35分にも重廣、松田とつないで、岩武がペナルティエリア内に侵入するなど、攻撃のリズムをつかんだ日本。追加点こそならなかったものの、いい流れで前半を終了する。

 そんな中、試合が再び動いたのは後半開始早々の49分だった。ドリブルでゴール前にボールを運んだ旗手。しかし「思ったより相手が食いついてくれなかった」ことから、右サイドでフリーだった松田選へといったんボールを預ける。さらにニアで中野が相手を引きつけると、旗手はファーに回り込み、松田からのクロスを頭で合わせゴール。旗手の大会3得点目となるゴールで、日本が2-0とリードを広げる。

 さらに追加点を狙う日本は、52分、ハーフタイムから出場した脇坂泰斗が倒されてフリーキックを獲得。脇坂のキックは相手GKに弾かれるものの、コーナーキックからの展開に柴戸が詰め、シュートがポストを叩くなど、惜しいシーンが続く。しかし、「予想以上にファウルが悪質だった」ことに加え「正当なチャージであってもすぐに倒れる」(宮崎監督)ウルグアイのプレーに、日本は次第に攻撃のリズムを崩されることに。途中出場のジャーメイン良が何度かいい抜け出しを見せるが、ゴールまではいたらず。逆に85分には、交代直後の隙をつかれて、今大会初の失点を喫してしまう。

 しかし、その後は4分のアディショナルタイムも含めてきっちりと守りきり、1点差を守りきって2-1でタイムアップ。3戦全勝のグループ首位でファーストラウンドを突破した。

 次戦となる準々決勝は、25日(金)19:30(日本時間20:30)キックオフ。対戦相手はグループC2位で、前回大会優勝国のイタリアとなる。日本とは過去に6度対戦し、通算成績は2勝4敗。2度の勝利は決勝で対戦し、日本が優勝を勝ち取っている。逆に決勝以外では勝てておらず、4敗のうち2敗はPK戦での惜敗を喫している。双方にとって、まさに“因縁のライバル”ともいえる相手との対戦となった。

 前回大会では準決勝で対戦し、PK戦で敗れているだけに今大会でのリベンジをはたしたいところ。例年、セリエBからDに所属する選手を中心にチームを構成するイタリア。今チームでは、元U-19代表でパルマなどに在籍歴のあるAndrea Rossiniや、今チーム唯一のセリエB・パルマ所属のANDRENACCI Lorenzoら、強力なGK陣をそろえている。また元インテル所属のZONTA Lorisら若手有望選手の多いイタリアにどう立ち向かうか。この試合が、日本の正念場のひとつとなることは間違いないだろう。



【監督、選手コメント】

■宮崎純一監督

 ある程度コンディションを重視したうえではありますが、ベースとしては決勝トーナメントに照準をあわせたメンバーで試合に臨みました。今日は(対戦相手のウルグアイの)南米らしいずる賢さの部分で相手に上回られないよう、ある程度相手を見て駆け引きをすることと、その中で得点を重ねるというところを狙いとしていました。ただ、予想以上に相手のファウルが悪質でした。言い訳にはしたくないのですが、いわゆるテクニカルなファウルではなく悪質で、逆に正当なチャージでも倒れるといったことが多かった。南米特有といえばそれまでですが、それも選手にとって刺激になれば、とは思っています。
  大会をトータルで考えると、グループ1位という結果は通過点です。選手の真価が問われることになるのはこれからですので、早速トーナメントに向けての準備をしたいと思います。


■旗手怜央(順天堂大学・FW・2年)

 自分は1年前、この台湾の地で初めて全日本選抜に加わりました(※台湾遠征・台湾代表親善試合)。宮崎監督や周囲の人のおかげで、今この舞台に立てていると思うので、まずはその恩返しをしたい。そのためには決勝で金メダルをとりたいし、それには自分が点を決めることだと思っています。国を背負って戦う責任という部分も感じているし、今はそれがいい形で表現できていると思います。
 今日のゴールについては、最初は自分で持ち込んでシュートを打とうと思っていたのですが、相手があまり食いついてくれなかった。その間に(中野)誠也くんが動いたのでパスを出そうか葛藤したのですが、自分で決めたいという気持ちもあって……。ちょうど(松田)天馬くんがフリーだったので一度出して、そしたら誠也くんがニアでひきつけてくれたので。うまくファーで合わせることができました。今大会は先輩たちが自分を自由にプレーさせてくれているのですが、このゴールも先輩たちのおかげだったな、と思っています。


■柴戸海(明治大学・MF・4年)

 今日はみんな入りが固くて、点が入るまでは難しい試合でした。ただ、点が入ってからは皆自分のプレーができるようになって、コミュニケーションもとれるようになった。チーム全体の試合運びが楽になりました。トーナメントでは、もっと点が入るまでが難しくなってくると思うので、ディフェンス中心に耐えて、攻撃がしっかり点をとれるようにしたいと思います。
 個人的に、数字という結果を残すためにもゴールやアシストにはこだわっています。このチームの選手はみんなうまいので、自分も攻撃にかかわるようなプレーができるようになってきています。周りの選手ともっとコミュニケーションをとりながら、今後も自分が攻撃にかかわるようなシーンを増やしていきたいです。
 世界を相手にするような経験はなかなかないのですが、荒いプレーをする選手や、最後の部分で足が伸びてくる相手と戦ってみて、日本人とは違う強さを感じました。ファーストラウンドでそういった部分には慣れてきたと思うのですが、トーナメントではまた強い相手と対戦することになると思うので、もっともっと自分たちがタフに試合を処理できるようにしたいと思います。


■鈴木準弥(早稲田大学・DF・4年)

 1試合目は、こちらにきて久々に90分の試合をやるということで、やはり動きの部分でキレがなかった。ただ1試合出たことで体のほうも慣れてきたし、反応の部分は上がってきたと思います。なかなか慣れなかった海外の相手に対しても、チームとして少しずつ慣れてきたのかな、と感じます。得点もしっかりできているし。ウルグアイ戦で1失点はしましたが……。けれど失点やピンチというのは、自分たちの失い方の悪さから招いているものであって、相手の質がどうこうというところではないと思います。
 マレーシアやカナダのように引いてくる相手に対しても勝てたし、ウルグアイのようにガツガツ削ってくるような相手にも対応して勝てました。ファーストラウンドで、違うタイプの相手と対戦できて、チームとしてはトーナメントに向けていい準備ができました。 守備面で安定してきた理由としては、「自分たちは守備において決して強いチームではない」ということを、ひとりひとりがしっかり理解したことが大きいのでは、と思っています。大柄な選手は前にチャレンジできる分、背後をやられてしまうことが多く、そこから失点することもありました。けれど、今はそこを自分や坂(圭祐)がきちんとチャレンジ&カバーできるようになった。バランスがとれるようになったのが大きいのかな、と思います。


■岩崎尚将(桃山学院大学・DF・4年)

 3勝で終われたので、いい形で次につなげられたと思います。個人的に、カナダ戦は久しぶりの90分出場ということもあってちょっと固く、思ったようなプレーができませんでした。けれどウルグアイ戦は体も動いて、試合を楽しめた。すごくいい経験になりました。
 ウルグアイ戦の前半、自分がサイドハーフの位置にいたときは、なるべく(左サイドバックの)小池(裕太)を高い位置にして、自分が中に入ってサイドチェンジをする、というのがチームとしての狙いでした。ウルグアイのようにガツガツくる相手はあまり得意ではないのですが、日本は全員が戦えるという雰囲気だったので、自分もそれに負けないようやれたと思います。
 この大会を経験することで、ハードワークやひとつひとつのプレーを集中してやるところが大事だと感じました。ただ、まだまだプレーの質をあげないとチームには貢献できない。自分たちがやることは、どんなチームが相手でもそう変わらないので、自分の持ち味をしっかり出せば勝利につながる。もっと自分の武器をアピールしたいと思います。


【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=675

【フォトレポート】
https://goo.gl/photos/BPpSquuSub8b7eth8