JUFA 全日本大学サッカー連盟

デンソーカップ
「DENSO CUP SOCCER 第14回大学日韓(韓日)定期戦」マッチレポート・選手コメント
2017/04/05
【マッチレポート】

 約2週間にわたる海外キャンプの総仕上げとして、『DENSO CUP SOCCER 第14回大学日韓(韓日)定期戦』に臨んだ、全日本大学選抜。本大会ではこれまで2分を挟んでホームのチームが負け無しと互いに譲らず、勝負は五分五分の状況。しかし、全日本大学選抜はドイツでの練習試合で3試合全勝と調子をあげているだけに、今年こそは「アウェーでの初勝利」に期待がかかる試合となった。

 試合は立ち上がりから全日本大学選抜が主導権を握る展開となった。16番・旗手怜央が積極的な突破を見せ、全韓國大學選抜のゴールを脅かす。6分には11番・山口一真が右サイドから切れ込んで、7番・重廣卓也にパスを送り、17分には6番・柴戸海、16番・旗手とつないで、最後は17番・三笘薫がシュート。続く18分にも、16番・旗手が鮮やかなミドルシュートを放つも、これは韓國GKがファインセーブしてゴールならず。日本がすばやいボール回しからチャンスを作る。

 試合が動いたのは27分だった。9番・ジャーメイン良がトラップしたボールを、11番・山口が拾うと、そのまま左サイドをドリブルで突破しゴール前へ。11番・山口のシュートはGKに阻まれるものの、そのこぼれ球に反応した7番・重廣が冷静にシュートを放つ。「なんとなく"ゴールに行かないと"と思って走ったらボールがこぼれてきた。ラッキーゴールだったけど、ゴール前にいたらボールは転がってくる。以前から、そう信じて走っているのでよかった」(7番・重廣)。日本が前回のアウェーの試合と同様に先制点を挙げる。

 しかし、韓國に何度かカウンターからペナルティーエリアへの侵入を許していた日本は、34分に韓國の19番・イ・ジョンニの突破を止めようとした5番・鈴木準弥が痛恨のハンドをおかし、韓國にPKを献上。韓國はこれを22番のイ・グノが決めて試合は振り出しに戻ってしまう。

 後半は日韓両チームともに選手をふたりずつ交代し、追加点を狙う。日本は11番・山口に代えて8番・名古新太郎を、9番・ジャーメインに代えて13番・中野誠也を投入。しかし後半開始早々の51分、日本は予想外のアクシデントに見舞われる。前半、何度となくチャンスをつくっていた16番・旗手が韓國の選手を倒して退場に。日本は後半のほとんどを10人で戦う状況に追い込まれてしまう。

 それでもしばらくは日本のペースで試合が進んだが、数的優位に立つ韓國が次第にゴール前へと押し込み始める。68分に13番オ・インピョに代えて9番パク・ソンブがピッチに送り込まれると、その9番パクがいきなり右サイドを崩してCKを獲得するなど、流れは一気に韓國側に。

 日本もセンターバックの4番・菊池流帆が1対1で韓國の攻撃を止めるなど奮闘。また72分には14番・脇坂泰斗、77分には23番・守田英正をピッチに送り込んで流れを変えようとする。6番の柴戸をセンターバックに下げ、23番・守田をボランチの位置に据えた日本は、23番・守田を中心に中盤でボールを奪取。さらに83分には、7番・重廣に代えて10番・松田天馬を投入。79分、84分には交代出場の3選手が中心となってチャンスをつくるが、いずれもゴールを決めるまでにはいたらない。

 結局両チーム追加点を挙げることなく90分が終了し、試合は延長戦に突入する。延長に入ると試合は韓國が主導権を握る展開に。押し込まれる中ゴールを死守していた日本だったが、97分、ついに均衡が破られる。韓國はペナルティーエリア前でのりスタートから11番ウォン・キジョンがシュートを放つが、これはGK1番・永石拓海がブロック。しかしそのこぼれ球を、再び11番・ウォンが頭で押し込み、韓國が勝ち越し点を挙げる。

 日本は延長後半に入ると15番・岩武克弥に変えて3番・鳥海晃司、13番・中野に代えて19番・米田隼也を投入するが、なかなか流れを変えることはできない。それでも114分には、10番・松田が右サイドを突破して挙げたクロスに、22番・宮大樹がヘディングで合わせる決定的なシーンが生まれるも、シュートは惜しくもバーを叩きゴールならず。22番・宮はその4分後にも、19番・米田のロングキックからのカウンターに反応。シュートを放つもこれはわずかに枠の外に。

 終了間際のセットプレーには、GKの1番・永石もゴール前に上がってボールに絡むが、チャンスにはつなげられず、そのままタイムアップ。

 後半のほとんどを10人で戦いながらも延長戦に持ち込むなど奮闘を見せた日本だったが、惜しいチャンスをゴールに結び付けられず、1-2で敗戦。「これからユニバーシアードで戦うという自覚が、自分も含めてあるのかというところを見直さなければならない」(2番・鈴木)。カウンターやセットプレーからの失点など、ユニバーシアード大会に向けての課題も明確となった。



【選手コメント】


■重廣卓也(阪南大・MF・3年)

 ミーティングで2年前の映像を見て、みんなアウェーでの厳しさもみんな把握していた。けれどいざ本番になると、うまく対応しきれなかったところがあったと思う。もっともっと国際試合というものに慣れていかないといけない。この試合がユニバーシアード大会に向けていい準備になったと思う。
 今日の試合ではひとり少ない中でも、みんなでうまくコミュニケーションをとって助け合いながら攻守にわたってプレーができた。けれど、最後のりスタートの部分でやられてしまった。ひとりひとり集中力を増しながら、チームとして何ができるかということ考えなければユニバでは勝てないと思う。


■鈴木準弥(早稲田大・DF・3年)

 去年の日韓戦と比べても、相手はそこまで強くないという印象だった。前半から後半、延長戦を合わせても結構チャンスがあったと思う。ただ、そこを決めきれなかった。問題は自分たちにあって、勝てない相手ではなかったと思う。
 まず自分のところでPKを与えてしまったし、攻撃のところではボールの失い方が悪くて、カウンターを受けることもあった。2点目も、自分たちの一瞬の隙をつかれて、リスタートからクロスをあげられて失点してしまった。隙が多いことと、決めきれなかったこと。それが試合を決めきれなかった要因かと思う。
 延長戦に入ったとき、ピッチに立っていた10人がどれだけ味方とコミュニケーションをとれていたか。疲れている中、11人の相手にあれだけ攻められていたらどこかで集中力が切れてしまうのは仕方がないことだとは思う。けれど、そのひとつのミスが勝敗を分けてくる。守備の部分について、どれだけの人が気付いて味方に発信していたのか。最初から出ていた選手に対して、途中交代の選手がどれだけ力になってあげたか。チームとして、ひとりひとりがもう少し発信していれば、あんなふうにリスタートからやられることはなかったと思うし、もしかしたら10人で勝てたかもしれない。大学の代表として国を背負って、こうして日の丸をつけたユニフォームを着て戦っている試合。これからユニバーシアードで戦うという自覚が、自分も含めてあるのかというところを見直さなければならないと思う。


■永石拓海(福岡大・GK・3年)

 ゲーム自体は自分たちのほうがいい試合をしていたと思うが、結果として負けてしまったのがすごく悔しい。韓國はボランチからサイドにどんどんふってきて、クロスからの得点を狙っていたり、ドリブルでサイドを崩してきたりという戦い方が印象的だった。自分もそれなりに対応できたとは思うが、結果的には2失点。チームとしても、セットプレーでやられているというところは改善しなければならないと思った。ただ流れの中では対応できていたし、みんな足も運べていたし、シュートに対してもしっかりボールに行けていたと思う。
 セットプレーのりスタートでやられてしまったシーンは、もう少し自分がケアしておけばやられなかった部分はあったと思う。粘り強さというか、勝負強さがまだ足りないかと感じた。


■三笘薫(筑波大・MF・1年)

 結果的に負けてしまってくやしい。日本を代表する選手として情けない。今日は攻撃の起点として、左サイドで関わっていこうと思っていたし、攻撃面では多少狙いとするところができたと思う。ただ、まだプレスバックや守備の面ができていなかった。失点シーンも、自分のファウルから始まっている。もっとチームのプラスになるような部分を増やしていかなければならないと思う。
 自分としては、まだまだ課題のほうが多く見えまし試合であり、遠征。もっと突き詰めていかないといけない。いちばんの課題は守備だが、ボールを奪う部分でもまだまだ足りないところがある。もっと積極的に守備の部分を磨いていきたい。