JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
『2026年度第50回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』決勝マッチレポート
2026/09/13


 9月12日(土)、大学サッカー夏の王座を決定する『2026年度 第50回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の決勝が、キューアンドエースタジアムみやぎで行われた。記念すべき第50回大会のフィナーレは、東北開催では初、大会としても5大会ぶりとなる久々の関東勢対決。激突したのは、関東2部リーグ所属ながら旋風を巻き起こしてきた流通経済大学(関東地区第3代表)と、関東1部リーグの首位を独走する「絶対王者」国士舘大学(関東地区第4代表)となった。



準決勝 全結果・トーナメント表







マッチレポート




【M31】流通経済大学 2(2-0)1 国士舘大学
  @キューアンドエースタジアムみやぎ

得点者:【流経大】千葉大舞(34分)、山野春太(40分) / 【国士大】本間凜(51分)




 意外にも全国大会の決勝では初対決となった流通経済大学と国士舘大学。一昨年に亡くなった大澤英雄・元国士舘大学監督と親交の深かった流通経済大学・中野雄二監督にとっても対戦を「楽しみにしていた」対戦カードだった。

 立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けたのは流通経済大学だった。山野春太、竹原伸、千葉大舞ら攻撃陣が代わる代わる国士舘大学のゴールに襲いかかるが、国士舘大学も集中した守りでこれを跳ね返す。「これまでクリーンシートが1試合もないのが課題」(前田隆司監督)という国士舘大学だったが、ここまでの守備は安定しており少しずつ反撃のチャンスを窺いつつあった。だが31分、国士舘大学DFのパスミスからボールを奪った流通経済大学・竹原が、前線へとドリブルで抜け出そうとする。たまらず国士舘大学・福原快成が竹原を引き倒し、1発レッドで退場に。国士舘大学は残る60分近くを10人で戦うこととなった。





 「決勝ということもあり、みんな少し固かったという印象。守備も攻撃もうまく噛み合わないことが続いた」(主将・畑野遼太)という流通経済大学だが、このチャンスを見逃さなかった。退場劇の3分後のなる34分、笠木優寿のミドルシュートがポストに当たったこぼれ球をゴール前で千葉が胸トラップ。冷静にGKをかわして右足で流し込んで待望の先制点を挙げる。さらに40分、ゴール前に攻め込んだ流通経済大学は石原未蘭が上げたクロスを山野が決めて2-0に。「(相手の)退場のシーンが1つのポイントだったと思うが、いいプレッシャーをかけてパスミスを誘発し、奪ったところで退場を引き寄せた。そういうシーンを作れたことが大きかったと思う」(流通経済大学・中野監督)。



 対する国士舘大学も、39分に沖村大也、後半頭からは篠﨑遥斗を投入して立て直しを図ると、51分に小西脩斗のコーナーキックを川崎フロンターレ内定・本間凜が頭で叩き込んで1点を返す。国士舘大学はこのゴールで生きを吹き返し、その3分後にはGK渡辺勇樹のロングキックに本間が抜け出しGKと一対一に。だがGKをかわして放ったシュートはサイドネットを揺らしてゴールならず。「たらればだが、あれが決まっていたらわからなかった。でもそれは流経大の選手が云々っていう前に、本間が本当にすごいし、立派だった」(流通経済大学・中野監督)。




 敵将も認める1点を返した国士舘大学だったが、その後は一進一退の攻防戦に。流通経済大学は失点直後の55分に突破力のある1年生・澤井烈士を投入。対する国士舘大学も72分に皆川春輝と村上竜規をピッチに送り出して攻勢を強めるが、次第にひとり多い流通経済大学がゲームを支配する展開に。それでも最後までゴールを狙う国士舘大学だったが、1点は遠く2-1のままタイムアップ。前半に2点を先取した流通経済大学が、1点のリードを守り切って2014年・第38回大会以来となる4度目の栄冠に輝いた。





 この優勝で、関東2部チームながら冬の全国大学サッカー選手権大会(インカレ)の決勝ラウンドへの出場権を手にした流通経済大学。主将の畑野は「(準決勝で)インカレ出場という最低条件をクリアできたのでほっとしていたが、チームとしては日本一を目指していたので、日本一に向かっていいモチベーションをもって決勝に臨めた」とコメント。6ヶ月の自粛期間からの復帰戦となった中野監督に「日本一というタイトルを届けたかったので、(監督に)日本一を届けられて非常に嬉しいです」と笑顔を見せた。その中野監督は「出来すぎですよね」と笑顔を見せたあと「誰もが流通経済大学に問題が起きたあと、今年の流通経済大学はもう勝てないと思っていたと思う」とコメント。「ただ、選手たちは勝つことで自分たちのあり方を示そうっていう準備ができていたのだと思う」。現場に復帰してわずか2週間だが、ベンチを離れて見えたこともあった。そのアドバイスを選手たちは積極的に受け入れ、この大会で大きく成長。だが「まずはインカレの前に1部リーグ昇格をしっかり決めたい。いい選手がたくさんいるので、来年は1部リーグで優勝争いをさせたい」とその視線はすでに約10日後に再開するリーグ戦へと向かっていた。

 2013年の明治大学・梅内和磨以来となる全試合ゴール(※明治大学はシード出場だったため4試合連続ゴール)を決めた国士舘大学・本間凜。5試合連続8得点を挙げ、まさに大会の"顔"となる活躍を見せたが、「もう準優勝はうんざり」と試合後は悔しさを覗かせた。昨年のリーグ戦、インカレに続き、3度目の準優勝。チームメイトの多くが早々にロッカーに引き上げる中、あえて「いちばん見たくない景色」である流通経済大学の歓喜のシーンを見届け、その悔しさを刻みつけた。「自分たちが決めるべきシーンをいくつか外したあとの退場だったから、誰も負けたのはレッドカードのせいだとは思っていない」ときっぱり。「10人でも勝てる力はあったと思うが、それができなかったのはまだまだ」とコメント。それでも「この大会で負けたのが決勝でよかった」とも。この敗戦の反省と悔しさを、すぐに再開するリーグ戦に活かすことができる。「もう十分、ドラマは作れたと思うので。あとは1位を取れるチームだということを見せたい」と前を向いた。




 第50回という節目の大会は、関東2部リーグ所属の流通経済大学が、1部リーグ首位の国士舘大学を破って頂点に立つという、歴史的な「下剋上」で幕を閉じた。とはいえ、決勝の試合展開は1部・2部の差を感じさせない好ゲーム。また惜しくも準決勝で敗れたものの、初のベスト4入りを果たした関東2部の立正大学、東海勢唯一の生き残りで同じく初のベスト4となった東海学園大学の躍進も印象的だった。いずれも大学サッカー全体の底上げを感じさせる、「第50回」の記念大会にふさわしい大会となった。