JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 1回戦レポート
2015/08/09
 大学サッカー、夏の日本一を決める大会、第39回全日本大学サッカートーナメントが、7日にヤンマースタジアム長居、J-GREEN堺・メインフィールドにて開幕。1回戦には仙台大学、高知大学、北陸大学、大阪経済大学、北海道教育大学岩見沢校、IPU・環太平洋大学、鹿屋体育大学、常葉大学浜松キャンパスの8チームが登場しました。


■北海道教育大学岩見沢校 3-3(PK5-4) IPU・環太平洋大学

 北海道地区代表、北海道教育大岩見沢校と、中国地区代表IPU・環太平洋大学の対戦は、両チーム合わせて6ゴールという点のとりあいとなりました。

 先制点をあげたのは岩教大。序盤の12分に、中盤・小泉洋生からの浮き球に加藤大登が合わせて先制点をあげると、その5分後の17分には小泉のCKからDF高橋純平が頭で合わせて追加点。わずかな時間でリード差を2点に広げます。

 しかしIPU大もこのまままでは終わりません。失点の3分後の20分にFKのチャンスを得ると、右サイドでボールをキープした梶山勝矢のクロスに、中舛健人がヘディングシュートを叩き込んで1点を返します。さらに31分にはFKのチャンスを獲得。梶山のキックに前田匠が合わせて2点目をマーク。IPU大が岩教大に追いつき、試合を振りだしに戻して前半が終了します。

 後半に入ると、IPU大がたびたびチャンスを作り、57分には右サイドバック、甲斐慎也からのクロスがゴール前に入り、これを2得点を演出した梶山が蹴り込んでゴール。IPU大が3点目をあげ、ついに逆転に成功します。

 このままIPU大が逃げ切るかと思われましたが、72分に井端純ノ輔のゴールで今度は岩教大が追いつく展開に。その後は両チームともに追加点をあげられず、3-3のまま90分が終了。規定により延長戦は行われず、PK戦に勝敗が委ねられました。

 両チーム2人目はPKを成功させますが、3人目で先攻のIPU大・河本将太のキックを、岩教大のGK・中西健太がストップ。対する岩教大は5人全員がPKに成功し、5-4で岩教大が2回戦進出を決めました。

■仙台大学 1-1(PK3-4) 高知大学

 総理大臣杯への出場回数はともに20回を超える仙台大と高知大。全国大会の常連校、地方の雄同士の対戦は1回戦の注目カードとなりました。

 立ち上がりは高知大がボールをキープする展開ながらも、10分を過ぎた頃か仙台大がサイドにボールをつける速い展開で試合の流れを引き寄せます。14分にはセットプレーから仙台大・石川隆太のシュートがバーを叩くなど惜しいシーンも。20分にも、石川のクロスに蓮沼翔太がヘディングで合わせるなど、仙台大がアグレッシブにゴールを狙います。

 給水タイムを挟んだ30分すぎになると、高知大もようやくボールを奪う回数が増え、左サイドの曽根友祐の突破から藤川真也がシュートを放つなど、仙台大ゴールに迫ります。しかし、両チームとも決定機を作りきれずに無得点のまま試合を折り返します。

 試合が動いたのは後半でした。55分、仙台大がゴールやや左でFKのチャンスを得ます。キッカーはキャプテンの児玉昇。この児玉のキックが、ゴールの右スミに決まり仙台大が先制点をあげます。
 なかなかチャンスを作りきれない高知大は71分「スピードの選手を入れて」(野地照樹監督)試合の流れを変えるべき、後藤寛太、山崎一帆の2選手を一気に投入。対する仙台大も石川代えて青沼基貴をピッチに送り出します。

 この選手交代が、結果的には両チームの明暗を分けました。高知大は、交代直後の2選手が得点に絡む結果に。72分を山崎を起点に曽根がペナルティエリアにパスを送ると、後藤がゴール前に切れ込んでシュート。C大阪でプレー経験のある後藤が「(長居というセレッソの)ホームでいいところを見せてくれるのではないかと思っていた」という野地監督の期待に応えて、同点ゴールを決めます。

 一方の仙台大は、81分に交代出場の青沼が2枚目の警告を受けて退場に。数的不利な状況に追い込まれまれた仙台大は、残り10分はほぼ防戦一方に。それでも高知大の圧倒的な攻撃にもゴールを許すことなく90分が終了。こちらも、規定どおり延長戦を行わず、PK戦で決着をつけることとなりました。

 PK戦では先攻の仙台大、1番手・山田満夫のキックを高知大GK亀岡秀平がいきなりストップします。高知大も3番手のキャプテン・西岡大志のキックがポストに弾かれましたが、その直後に亀岡が仙台大の4番手・丹代爽弥のキックを再びセーブ。結局、2本のPKを止めた高知大が3-4で勝利し、2回戦進出となりました。
 2回戦の対戦相手は関西学院大。昨年のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)で対戦し、延長戦で敗れた相手とあって「リベンジの気持ちは十分ある」と野地監督。「守備がしっかりできれば、攻撃は変化がつけられる選手がいる。強いチームにも戦える、潜在的な力はあると思う」と、関西チャンピオンに対する自信を覗かせていました。

■鹿屋体育大学 4-2 常葉大学浜松キャンパス

 九州地区代表の鹿屋体育大学と、東海地区代表・常葉大学浜松キャンパスの対戦は、第1試合同様に点を奪い合う展開となりました。途中までは、両チーム一歩もひかずにシーソーゲームを展開。しかし、最後は攻撃力に勝る鹿体大が押し切って、常葉大を下しました。

 先制点をあげたのは常葉大でした。29分、ディフェンスラインからのロングボールに遠藤維也が反応し、そのパスを受けた大野耀平がゴールを決めます。しかし、その6分後の35分には鹿体大がFKのチャンスをゲット。松田天馬からのキックに中原優生が頭で合わせ、同点に追いつき、前半は終了します。

 後半も両チームのシーソーゲームは続きます。常葉大は序盤の53分にPKをもぎとると、これを遠藤が決めて2-1に。再びリードを奪いますが、5分後の58分には鹿体大が左サイド、下坂晃成のクロスに合わせた森川和命がヘディングシュートを叩き込んで、再度追いつきます。

 その後は2-2のまま、両チームともに追加点をあげることはできませんでしたが、82分に鹿体大がこの試合で初めてのリードを奪います。松田のFKを原亮平が頭でつなぐと、最後は交代出場の片井巧が押し込んでゴール。さらにその1分後にも、同じく交代出場の福森勇太が追加点をあげて4-2に。鹿体大が終盤に2点のリードを奪って常葉大を突き放し、勝利を収めました。

■北陸大学 1-0 大阪経済大学

 3回目の出場ながら、未だ総理大臣杯未勝利の北信越地区代表・北陸大学と、同じく3回目の出場ながら34年ぶり、関西2部からの優勝を目指す大阪経済大の対戦は、前後半で真逆の展開となりました。

 前半、主導権を握ったのは北陸大でした。35分すぎに、大阪経済大・宮原直也がカウンターからシュートを放つまでは、ほぼ北陸大のワンサイドゲーム。「前半はプランどおり。手数をかけずに早い攻撃をしようと思っていた」(北陸大・西川周吾監督)という狙いどおりの展開となりました。しかし、圧倒的にボールを支配し、30分近くほぼ相手陣内でサッカーをしながらもゴールを決められません。「結果的には、あそこで1点を取れなかったことが、自分たちを苦しめることになった」と西川監督。その言葉どおり、前半の終盤には、大経大にボールを奪われるシーンが増え、その流れを変えられないまま、後半を迎えることとなりました。

 「試合全体を通してみれば、思ったより走れていたと思う」(西川監督)とはいうものの、後半に入ってしばらくすると北陸大の運動量は低下。それを待っていたかのように、大経大が逆襲を開始します。大経大はボランチ・石川玲のパスを中心に前線を走らせ、何度か決定的なチャンスを作ります。76分には石川のロングキックに寺田健が反応し、ゴール前に飛び込みますが、これは北陸大のGK谷垣大輔が、飛び出してブロック。80分にも井口俊一郎が前線でボールをキープ、圓乗健介がGKをかわしてペナルティエリアに切れ込みますが、北陸大の堅守に阻まれ、どうしてもタイミングを合わせることができません。88分、住田昌樹のFKもGKが弾きわずかに枠の外に。

 両チームともにゴールを決められないまま90分が過ぎ、試合はアディショナルタイムに突入。第1試合同様、PK戦もよぎったその矢先に試合は動きました。90分+1分、大経大の攻撃から一転、北陸大が鮮やかなカウンターを仕掛けました。GK谷垣がゴールキックを前線に飛ばすと、このボールを途中出場の磯貝誓がヘディングでゴール前へ。そこに走り込んでいたのが菅原悠平でした。菅原は、大経大DFが反応する前にシュートをゴール右に蹴り込んでゴール。「ふだん走らない選手が、あそこに走り込んでいた」と西川監督も驚く得点で、終盤間際の北陸大が劇的な得点をあげます。

 ほどなくタイムアップの笛が鳴り、タイムアップ。先制点がそのまま決勝点となり、北陸大が2回戦へと駒をすすめることとなりました。待望の総理杯初出場をあげた北陸大・西川監督は「スーパーな選手も地域選抜に選ばれるような選手もいないチーム。だからこそ、組織で戦わなければならない」とコメント。それだけに後半、押し込まれる時間が長くなったのは「予想どおりの展開」ながら「選手たちには手応えもあったと思う」。
 次戦の対戦相手は筑波大。現在は関東2部ながら、全国大会優勝経験もある名門だけに「選手にはすべてのチームが格上だと思って戦えと言っているが、だからといって萎縮する必要もないと伝えている」と西川監督。その勢いをどこまでぶつけられるか。筑波大は西川監督の母校でもあるだけに「少しでも恩返しをしたい」と、次戦を見据えていました。

 10日行われる2回戦では、1回戦に勝利した4チームと、シードの12チームが対戦します。J-GREEN・堺メインフィールドでは専修大学対福岡大学、北陸大学と筑波大学が対戦。キンチョウスタジアムでは昨年度大会準優勝の法政大学と中京大学、そして高知大学対関西学院大学。ヤンマースタジアム長居では大阪経済大学対東洋大学、明治大学対北海道教育大学岩見沢校、ヤンマーフィールド長居では阪南大学対平成国際大学、鹿屋体育大学と昨年度大会優勝校の流通経済大学が、それぞれベスト8をかけて火花を散らします。



■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)



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仙台大学対高知大学

北陸大学対大阪経済大学