JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
「平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会」2回戦マッチレポート
2016/12/11
 12月10日(土)、2016年大学サッカー最後の大会、『平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)の2回戦が行われた。2回戦からはシード枠出場の関東、関西、九州リーグ上位校8チームが参戦。各会場、ベスト8進出を懸けた熱い戦いが繰り広げられた。



@町田市立陸上競技場

◯9年ぶりの出場ながら1回戦は大量得点で勝利を収めた法政大学(関東地区第5代表)と、堅い守備からの速攻が持ち味で、4年連続19回目の出場となる大阪体育大学(関西第3代表)との一戦。

 序盤は法大がボールを支配しペースを握る展開となった。対する大体大は自陣に守備ブロックを形成し、カウンターで得点を狙う。得点が動いたのは13分、大体大の右サイドバック6番・平田健人のクロスボールを受けた24番・大田賢生が10番・池上丈二にパスを送ると、10番・池上はダイレクトで右足を振り抜いてゴール。大体大が幸先よく先制する。さらに6分後の19分には法大9番・鈴木歩がペナルティーエリア内でファウルを犯し、ペナルティーキックを献上。これを大体大10番・池上が落ち着いて決め、リードを2点差に広げる。その後は、追いつきたい法大が果敢に攻めるものの、大体大の守備を崩すことができずに前半終了。
 後半に入ると法大は10番・永戸勝也と23番・黒柳駿を同時に投入し、攻撃の活性化を図る。この交代が功を奏し、法大は左サイドからのチャンスメイクでリズムを作りはじめる。主導権を握られる形になった大体大だが、体を張った守備でゴールを割らせない。逆に52分には、法大2番・山田将之のパスを大体大24番・大田がカット。これを26番・古城優にパスを送ると、26番・古城が難なく決めて3点目挙げ、試合を決定的なものとする。最後まで積極的に攻め続けた法大だが、結局得点を決めることはできず0-3のまま試合は終了。大体大が、準々決勝に駒を進めた。
 9年前の出場では、決勝で敗れた法大。今大会では「それ以上の結果」を目標としてきたが、3失点を喫して2回戦敗退となった。一方、狙い通りの攻撃で3得点を決め、無失点で完勝を収めた大体大はベスト8に進出した。準々決勝では関東リーグ王者の明治大学と対戦する。


○夏の総理大臣杯と関東リーグを制覇し、3冠を狙う明治大学(総理大臣杯優勝/関東地区第1代表)と、1回戦でインカレ初勝利を収め、勢いに乗る九州共立大学(九州地区第3代表)との一戦。

 試合は、序盤から明大が圧倒した。まずは7分、5番・河面旺成のパスを受けた10番・丹羽詩温が右足でネットを揺らして先制すると、16分にはゾーンディフェンスで守る共立大の隙を突き、5番・河面のコーナーキックに7番・水町政哉が詰め、早々に2点のリードを奪う。反撃に出たい共立大は、1回戦で決勝ゴールを決めた14番・角康平を中盤からFWへコンバート。GKを含めた丁寧なビルドアップで攻撃の糸口を探すが、前線からの激しいプレスをかける明大に阻まれ、前線の14番・角、11番・宮本敏弘になかなかボールが入らない。攻勢を強める明大は29分、8番・道渕諒平のコーナーキックを10番・丹羽が頭でつなぐと、最後は9番・土居柊太が左足で押し込んでゴール。3点をリードして、前半を折り返す。
迎えた後半序盤は、体を張ったディフェンスで追加点を許さなかった共立大だったが、明治の猛攻をとめることはできなかった。70分、8番・道渕のシュートの跳ね返りをルーキーの27番・中村健人が押し込んで4点目。さらに、74分にもシュートのこぼれ球を27番・中村が詰めてダメ押しの5点目を挙げる。期待のルーキー、27番・中村が久々のスタメン出場で抜群の得点嗅覚を見せ、2ゴールという結果を残した。試合終了間際の87分には、6番・柴戸海が、途中出場の18番・櫻井敬基からのパスに左足を振りぬき、6点目を挙げて勝負あり。1試合を通して相手にシュートを1本も許さず、終始共立大を圧倒した明大が、危なげなくベスト8へと駒を進めた。
 前線から激しいプレスをかけ、攻撃から守備の速さに輝きを見せた明大だが、24本ものシュートを放ちながらも6得点にとどまった決定力不足は課題の1つ。準々決勝では、2回戦で法政大学を3-0で下し、快勝を収めた関西地区第3代表の大阪体育大学と対戦。3冠を達成するためには、関西屈指のアグレッシブな大体大を退けなければならない。



@大和スポーツセンター競技場

○この試合が初戦となる昨年度優勝校・関西学院大学(関西地区第2代表)と、激戦を制して1回戦を勝ち上がった専修大学(プレーオフ枠・関東地区第7代表)の一戦。

 専大は、これまでFWとして起用していた4番・柳育崇をディフェンスラインに下げ、センターバックの26番・鹿沼直生をボランチに起用。さらに9番・下田悠哉と5番・小口大貴を前線に押し上げて3トップにするなど、関学大に対しこれまでと違うフォーメーションで臨んだが、試合は前半開始直後から関学大のペースで進んだ。関学大は11番・森俊介と25番・塩谷知哉の両サイドがドリブルで切り込み、積極的にチャンスを演出。18分に、右サイドから18番・高尾瑠が29番・山本悠樹とのワンツーで抜け出してGKと1対1になると、そのままボールを横に流す。それを受けた、7番・出岡大輝が無人のゴールに流し込んで関学大が先制する。7番・出岡は36分にもペナルティーキックを決め、さらに前半終了間際の45分には11番・森と25番・塩谷が繋いだボールを頭で押し込み3点目を挙げ、前半のうちにハットトリックを達成。3-0と専大を突き放した。
 一方的となった状況を打開したい専大は、後半から23番・岸晃司や24番・中杉雄貴を投入して反撃に出るが、関学大5番・米原祐を中心とした堅固な守備を崩すことができない。一方、後半は守りを固めた関学大だったが、カウンター攻撃で得た少ないチャンスをものにし、62分には29番・山本、82分には再び7番・出岡のゴールで5-0に。関学大が圧倒的な得点力と、ハイレベルな個人技を見せつける形で試合は終了した。
昨年度王者の実力と貫禄で完勝した関学大は、危なげなく準々決勝に進出。連覇を目指し、35年ぶりの出場となる、関東地区第3代表の日本体育大学と対戦する。


○5年ぶりの出場ながら初戦を3-0と快勝した静岡産業大学(東海地区第1代表)と、35年ぶりにインカレの初戦を迎える日本体育大学(関東地区第3代表)との一戦。

 試合は終始日体大が主導権を握った。テンポの良いパス回しから静産大のゴール前までボールを運びチャンスを演出。静産大も反撃の糸口を探るが、日体大の素早く連動したプレスを前に、なす術がなかった。試合の均衡が破れたのは32分、右サイドで日体大4番・輪笠祐士からパスを受けた25番・田宮碧人が絶妙なクロスを上げると、そのボールにFW11番・太田修介が倒れ込みながらも右足を合わせて日体大が先制する。
 後半は追いつきたい静産大と追加点のほしい日体大、互いにファールの多い展開となった。静産大はFWの大型ルーキー、21番・栗田マークの身体を張ったプレーから同点弾を狙う。しかし日体大も静産大のシュート数を前後半合わせて1に抑えるなど、集中した守備を見せ得点を許さない。さらに試合終了間際の90+5分、日体大はカウンターから7番・川戸大樹がダメ押しの2点目を決め、そのままタイムアップ。
 関東リーグでは後期に怒涛の快進撃を見せ、インカレのシード権を勝ち取った日体大が、準々決勝に進出。次戦では前回王者である関西地区第2代表の関西学院大学と対戦する。



@江東区夢の島競技場

○1回戦は東海学園大学に逆転勝ちを収めた関西大学(関西地区第4代表)と、九州地区で圧倒的な強さを見せつけインカレ初戦に臨む鹿屋体育大学(九州地区第1代表)との一戦。

 海沿いの立地から、風が強くボールが流されるコンディションの中、追い風を味方につけた鹿体大がペースを握った。ショートパスとロングパスの長短を巧みに使い分けながら攻める鹿屋大は前半22分、14番・向高怜が16番・樋口雄太とのワンツーでゴール前に抜け出してシュート。これが決まって鹿体大が先制点を挙げる。関西大も19番・池内拓朗を中心に鹿体大ゴールに迫るものの、少ないチャンスをものにすることはできず。前半終了間際には、10番・松田天馬がペナルティーエリア前で倒され、鹿屋大がフリーキックを獲得。16番・樋口雄太のキックはゴールに吸い込まれ、鹿体大がリードを広げたかと思われたが、オフサイドのジャッジがくだりノーゴールに。結局、前半は1-0のまま鹿屋大がリードして折り返した。
 後半は風上に転じた関西大ペースとなった。球際の激しさが増す中、関西大はセカンドボールを上手く拾いチャンスを作っていく。すると52分には、関西大10番・清永丈瑠のコーナーキックが相手選手に当たりオウンゴール。関西大が思わぬ形で同点に追いついた。その後は両チームとも決めきれない展開が続いたが、84分に、関西大の17番・竹下玲王が右サイドを抜け出しクロスを上げる。一度は相手GKがはじいたものの、そのこぼれ球を途中出場の23番・平尾柊人が押し込んでゴール。関西大が2点目を挙げ、逆転に成功。試合はそのまま関西大が1点差を守りきり2回戦での勝利を収めた。
 関西大は次戦の準々決勝で、中京大学相手に5-0と快勝した関東地区第2代表の筑波大学と対戦。今大会中、唯一の中1日となる厳しい日程の中、1回戦から戦う関西大に対し筑波大はシードでの出場となる。条件的には厳しいものの、「リーグ戦から多くの選手を起用してきた。誰が出ても変わらない力がある」(前田雅文監督)というチーム力と、2試合連続で逆転勝利した勢いで準々決勝に臨む。


○今季関東リーグ1部復帰1年目で快進撃を見せた筑波大学(関東地区第2代表)と、1回戦で札幌大学を4-0の完封勝利で下した中京大学(東海地区第2代表)との一戦。

 試合は前半から筑波大ペースで進んだ。前半は風下に立った筑波大だったが、強風の影響をものともせずに細かいパスワークからサイドへボールを展開し攻撃を仕掛けると、8分には左サイドを突破した17番・野口航のクロスに11番・中野誠也が頭で合わせ先制点を挙げる。「自分にとっては初めてのインカレということで緊張していたが、あの1点でいい流れで試合に入れた」(11番・中野)。一方の中京大は9番・水野翔太にボールを集め、また11番・藤島樹騎也のドリブルで突破口をあけようと試みるも、筑波大の堅い守備陣にことごとく阻まれる結果に。逆に40分には、筑波大の3番・小笠原佳祐が11番・中野へ正確なロングフィードを送ると、これを冷静に収めた中野が、得意のドリブルでゴール前に切れ込みシュートを放つ。ペナルティーエリア外から、性格にコースを突いたシュートで筑波大が追加点を挙げ、2-0で前半を折り返した。
 後半、風上に立った筑波大は前半以上に攻勢に出る。55分に鋭いカウンターからゴール前に飛び込んだ14番・会津雄生が、GKとの1対1をかわし、落ち着いてゴールへと流し込むと、61分には16番・戸嶋祥郎が粘ってゴール前に上げたボールを押し込み、11番・中野がハットトリックを達成。また73分には、途中出場の10番・北川柊斗が得点し5-0に。立て続けにゴールを決めて、試合を決定づけた。その後は主将の9番・高柳昂平を投入。献身的なプレーで中京大ゴールを脅かした。中京大もなんとか攻めに転じたかったが、攻め手を欠き後半はシュートを1本も打たせてもらえいないまま試合終了。5-0という大差で、筑波大が勝利を収めた。
 圧倒的な強さを発揮し日本一に向けて順調なスタートを切った筑波大。次戦は2試合連続で逆転勝利を収め、勢いのある関西地区第4代表の関西大学との対戦。小井土正亮監督は「関西大は勢いがあるし、応援も含めて一体感のあるいいチーム」と認めながらも「中1日の試合なので、フィジカル・メンタル面を含めたコンディションが大事。90分トータルで、どこまで戦えるか」とコメント。「全国で見せつけたい」(11番・中野)という筑波大のサッカーをどこまで発揮できるか。



@味の素フィールド西が丘

○シード校としてインカレ初戦を迎える順天堂大学(関東地区第4代表)と、初戦の四国学院大学戦を4-0下した慶應義塾大学(関東地区第6代表)の、関東勢同士の一戦。

 試合序盤は順大が7番・名古新太郎、14番・杉田真彦、17番・旗手怜央の右サイドを中心にパスを組み立て、慶大ゴールに迫る。一方の慶大もカウンターからゴールを目指すが、どちらも決定機は作れないまま前半も終盤へ。試合が動いたのは前半終了間際の45分。左コーナーキックからキッカーの8番・加瀬澤力が中央へ浮き球を入れると、そのこぼれ球を5番・溝渕雄志が右足で押し込み、慶大が先制。前半を0-1で折り返す。
 しかし後半開始直後49分、順大は中央でフリーキックのチャンスを得ると7番・名古からの浮き球に22番・柳澤亘が反応。怪我で関東リーグ第19節以降出場がなかった22番・柳澤が、復帰後初先発で堀池巧監督の期待に応える同点ゴールを挙げる。その後は両チームとも一進一退の攻防を繰り返したが、試合終盤の85分に再び試合が動いた。順大が得意の細かいパス回しからボールをキープすると、右サイドの22番・柳澤がオーバーラップしてリブルで相手をかわし、ゴール前中央へとパスを送る。これを、フリーになっていた18番・浮田健誠が受けると、右足で冷静に決めて追加点。これが決勝点となり、関東同士となった一戦は2-1で順大の勝利となった。
リーグ戦では今季2戦2敗と苦手としている慶大相手に、総理大臣杯準優勝、そしてリーグ戦4位で勝ち取ったシード権という実力を発揮した順大。中1日で迎える準々決勝は関西地区第1代表の阪南大学と対戦する。一方慶大は昨年同様2回戦敗退。4番・宮地元貴、5番・溝渕といった2人のプロ内定者を要するもベスト8の壁を越えることはできなかった。


◯1回戦で金沢星稜大学に競り勝った仙台大学(東北地区第1代表)と、前年度の準優勝校で今年度の関西リーグ王者、優勝候補の一角と目される阪南大学(関西地区第1代表)との一戦。

 試合は開始直後から両チーム共に攻撃的なサッカーを繰り広げる展開となった。スコアが動いたのは10分、仙台大の11番・丹代爽弥が鮮やかなドリブルからゴール前にクロスをあげると、27番・齋藤雄大が頭で合わせてゴールを決める。早い時間帯に先制点を許した阪南大だったがすぐに反撃を開始。26分、阪南大は10番・山口一真が右サイドからクロスをあげ、それに13番・前田央樹がヘディングで合わせ同点に追いつく。その後も両チーム激しい攻防が繰り広げられたが、1-1のまま前半終は了。
後半は阪南大がボールを支配。しかし守備に回る形となった仙台大もカウンター攻撃から勝ち越しのチャンスを狙う。両チームなかなか得点を決めることができずに試合が終盤に差し掛かるが、81分にスコアが動いた。コーナーキックを得た阪南大は、10番・山口からくボールに、5番・甲斐健太郎がヘディングシュートを放ち、ついに仙台大ゴールをこじ開け、逆転に成功。試合は2-1のまま試合終了となり、阪南大が関西王者の勝負強さを見せつけた。
 阪南大は準々決勝で関東地区第4代表の順天堂大学と対戦。関西王者として、また総理大臣杯ではまさかの1回戦敗退した悔しさを胸に、インカレ初優勝を目指して総理大臣杯準優勝校に挑む。




 白熱した2回戦を勝ち抜いたベスト8チームが出揃った。準々決勝は12月12日(月)に行われ、町田市立陸上競技場では関西地区第2代表・関西学院大学と関東地区第3代表・日本体育大学、総理大臣杯優勝/関東地区第1代表・明治大学と関西地区第3代表・大阪体育大学の2試合が開催。浦安市運動公園陸上競技場では関東地区第2代表・筑波大学と関西地区第4代表・関西大学との試合が、味の素スタジアム西競技場では順天堂大学と阪南大学の1試合が行われる。
 準々決勝は関東・関西リーグ上位4校がベスト8への駒を進める形となった。厳しい戦いを勝ち抜き準決勝へ進むのはどのチームか。