JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
「平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会」準々決勝マッチレポート
2016/12/14
 12月12日(月)、2016年大学サッカー最後の大会、『平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)の準々決勝が行われた。4試合すべてが関東地区代表対関西地区代表の、東西対決という構図となった準々決勝。ベスト4を目指して熾烈な争いが繰り広げられた。



○初戦の専修大学戦を5-0と快勝した関西学院大学(関西地区第2代表)と、同じく初戦で静岡産業大を2-0で下した日本体育大学(関東地区第3代表)。快勝でスタートを切ったシード校同士の一戦。

 来季から横浜F・マリノス加入が内定している2番・高野遼を怪我で欠く日体大だったが、前線の選手が積極的にプレスをかけてボールを奪い、チャンスを演出。序盤からペースを握る。しかし長身DFが揃う関学大も簡単には得点を許さず、アルビレックス新潟加入内定の11番・森俊介や、昨年度大会MVPの7番・出岡大輝が中心となって日体大ゴールに迫る。だが、こちらも日体大の人数をかけた守備を崩すことがでずに、0-0のまま前半を折り返す。
 後半に入っても一進一退の攻防を繰り広げる両チーム。スコアが動いたのは73分だった。日体大10番・高井和馬がドリブルで仕掛けたところ、関学大DFがペナルティーエリア内で倒してしまい、日体大にPKを献上。これをキャプテンの6番・小泉将来がしっかりと決め、日体大が先制に成功する。しかし、そのわずか5分後の78分、カウンターから7番・出岡が決め、1-1と試合を振り出しに戻す。
 試合は90分で決着がつかず、延長戦に突入。だが両チームとも集中力を切らすことなく、スコアは依然として0-0のまま。関学大はPK戦に備えて1番・上田智輝から36番・妻鹿寛史へとGKを交代する。
 日体大の先行で始まったPK戦は、互いに1本ずつ外して迎えた5巡目に決着がついた。日体大は15番・室﨑雄斗がしっかりと決めたが、関学大の10番・徳永裕大はチップキックを選択。これを日体大GKの12番・福井光輝がしっかりキャッチして試合が終了した。
 連覇を狙う昨年度の優勝校・関学大は惜しくもPK戦で敗れ、準々決勝で姿を消すことに。一方、接戦を制した日体大は、35年ぶりのインカレ出場で準決勝へと駒を進めた。


○初戦の九州共立大学戦を6-0と快勝した明治大学(総理大臣杯優勝/関東地区第1代表)と、初戦快勝の法政大学を3-0で下した大阪体育大学(関西地区第3代表)との一戦。

 試合の序盤に主導権を握ったのは明大だった。連動した動きからゴール前までボールを運ぶが、大体大の気迫あふれる守備陣を前に、なかなか決定的な場面を作ることができない。そんな中、大体大がカウンターから先制点を挙げる。19分、8番・後藤虹介がボールをカットし、ドリブルで持ち込み鮮やかなミドルシュートを放つ。「打ったら入った」と語った8番・後藤のボールはそのままゴールに吸い込まれ、大体大がまずは1点。反撃に出たい明大だったが、22分に予想外のアクシデントが起こる。来季からヴァンフォーレ甲府加入内定の4番・小出悠太が負傷により途中交代。明大は守備の要を失うこととなってしまった。さらに前半30分、大体大は26番・古城優がボールをカットするとショートカウンターを仕掛け、10番・池上丈二のシュートにより追加点。0-2と大体大がリードして前半を折り返す。
 逆転勝利に向けてまず1点を返したい明大は後半開始早々の49分、来季から4番・小出と同じく甲府加入が内定している8番・道渕諒平の、目の覚めるようなミドルシュートがゴールネットを突き刺し、スコアを1-2とする。明大はその後もボールを支配し続け、攻勢を強めたが決定的なチャンスを決めきれず、2-1のまま試合は終了した。
 今年度の総理大臣杯の準々決勝でも顔を合わせた両チーム。そのときは3-0で明大が勝利したが、この試合では大体大が見事リベンジを果たした。総理大臣杯、関東リーグ戦に続き、インカレで3冠を目指して明大にとっては悔しい敗退。一方の大体大は、3年ぶりの優勝を目指し準決勝で日本体育大学と対戦する。「相手がどこであろうと関係なく、みんなで戦うだけ」と、8番・後藤は決勝進出、そして優勝へ向けて意気込みを語った。


◯初戦で5得点を挙げて大勝した筑波大学(関東地区第2代表)と、1回戦、2回戦ともに逆転勝ちで勝負強さを見せる関西大学(関西地区第4代表)の一戦。

 風が冷たく吹く中で始まった試合は、筑波大が得意のパスサッカーで相手を崩しにかかる。それに対し、関西大は縦に速いカウンターで対抗。しかし、両チームとも体を張った守備で、相手にシュートチャンスを与えない。筑波大は前半のシュート数が1本、関西大は2本と、互いに見せ場を作ることができず、拮抗した展開のままスコアレスで前半が終了。
 後半に入ると先制点を奪いたい筑波大がパスのテンポを上げ、スピーディーな攻撃を仕掛ける。だが関西大も球際で強さを発揮し、筑波大の攻撃の芽を摘むなど、前半同様に拮抗した戦いが続く。試合が動いたのは終盤、流れを変えたのは交代選手だった。筑波大は70分にルーキーの20番・三笘薫を投入し、巧みなドリブルで攻撃を活性化させる。そして82分、ついにスコアが動く。20番・三笘がドリブルで右サイドを突破し、11番・中野誠也にパスを送ると、そのままリターンパスを受け落ち着いてゴールへと流し込む。「これまで結果を出せていなかったので、絶対に決めなければならないと思っていた」(20番・三笘)という決意のゴールで、ついに筑波大が均衡を破る。この得点で勢いづいた筑波大は、88分にカウンターから右サイドを崩すと、16番・戸嶋祥郎の浮き球を受けた11番・中野が、ゴール前で相手DFを冷静にかわして追加点。「先制点を決められて、関西大がちょっと前に出ているのがわかった。それだけに2点目が大事だと思っていた」と11番・中野。「戸嶋がボールをもって前を向いた瞬間、裏に抜けようと思った。相手DFとの1対1は自信をもって臨めた」。筑波大が一気に2得点を奪い、リードを広げる。関西大も90+3分に17番・竹下玲王のヘディングシュートで1点を返すが、反撃もここまで。筑波大がリードを守り切り、準決勝へと駒を進めた。
 筑波大は次戦、関西王者の阪南大と対戦。全日本大学選抜での阪南大の選手と一緒にプレーする機会の多い11番・中野は「中盤の真ん中上手い選手が多く、崩してくるイメージある」とコメント。「タレント揃いのチームだけど、関東らしい組織的なサッカーで対応したい」と意気込んだ。
 一方、敗れた関西大は、3度目の逆転勝利はならず。今大会を通して粘り強さを見せることができたが、準々決勝敗退となった。


○2回戦では苦手とする慶應義塾大学相手に逆転勝利を収め、勢いに乗る順天堂大学(関東地区第4代表)と、昨年度大会準優勝の悔しさを胸に、初優勝を目指す阪南大学(関西地区第1代表)との一戦。

 試合開始からペースを掴んだのは順大だった。しかし、チャンスを多く作ったのは阪南大。相手の裏へと早くボールを運ぶが、得点には至らない。そんな中、前半21分に順大の7番・名古新太郎が中央を突破し、左サイドの11番・米田隼也へ。11番・米田が裏へと出したスルーパスを、14番・杉田真彦が左足で落ち着いて決め、順大が先制する。その後は阪南大ペースで試合が進むも、33分にまたもや順大がチャンスをものにする。左サイドバックの5番・毛利駿也がドリブル突破から中央へとクロスを上げると、相手GKがこぼしたボールに18番・浮田健誠が反応。得意の左足で、18番・浮田が2試合連続となるゴールを決め、順大が2-0リードで前半を折り返す。
 関西王者としてこのまま負けるわけにいかない阪南大は、後半開始早々から反撃を開始。49分に右サイドからフリーキックのチャンスを得ると10番・山口一真が中央へとクロスボールを上げる。するとクリアボールからのこぼれ球を、8番・重廣卓也が左足で落ち着いて決め、阪南大がまずは1点を返す。サイドを広く使った攻撃を見せる阪南大は、その直後の53分、左サイドの17番・山崎康太の突破から、13番・前田央樹がうまく合わせ同点に追いつく。さらに59分には、相手のミスを誘い17番・山崎が右足で冷静に決めて3点目。阪南大が逆転に成功する。追いつきたい順大は次々と交代カードを切り、2試合連続で先発を全て3年生以下で臨んでいたチームに、10番・佐野翼ら4年生を投入。反撃を試みるも、追加点を挙げられないままタイムアップ。
 前半に2点のビハインドを負った阪南大だったが、関西王者の意地を見せ後半に入るとわずか10分の間に3点を決め、逆転勝利を収めた。次戦は関東地区第2代表の筑波大学と対戦。2年連続の決勝進出を狙う。一方この試合に敗れた順大は、昨年と同じく準々決勝での敗退でベスト8に留り、総理大臣杯準優勝の悔しさを晴らすことはできなかった。



 ベスト4に残ったのは大阪体育大学、日本体育大学、筑波大学、阪南大学の4校。関東・関西のシード権を得て出場した大学のみが残る形となり、その実力を見せつける結果となった。
 12月15日(木)に行われる準決勝は、13:00より町田市立陸上競技場で大阪体育大学対日本体育大学、NACK5スタジアム大宮で筑波大学対阪南大学の試合が行われる。
大体大と日体大の"体育大学対決"や、前回大会優勝まであと一歩のところで勝利を逃した阪南大と関東リーグ2位筑波大が対戦するなど、見どころの多い準決勝。あと1試合を勝ち抜き、決勝のステージに進むのはどのチームか。18日(日)浦和駒場スタジアムの地を目指した戦いを繰り広げられる。