JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『平成30年度 第67回全日本大学サッカー選手権大会』決勝戦マッチレポート、選手・監督コメント
2018/12/31


 今年の大学サッカー最後の試合となる、「平成30年度 第67回全日本大学サッカー選手権大会」決勝戦が、12月22日(土)に浦和駒場スタジアムで行われた。



法政大学 1-0 駒澤大学 @浦和駒場スタジアム




 前年度準優勝校で、2年連続の決勝出場で42年ぶりの優勝を狙う法政大学(関東地区第3代表・3年連続30回目)と、12年ぶりの決勝進出で、その2006年以来の優勝を狙う駒澤大学(関東地区第4代表・8年ぶり15回目)の一戦。

 ともに関東大学リーグ所属のチーム同士の対戦。互いによく知る相手で、今シーズンの対戦はこれで4回目。これまでの対戦成績は2勝1分で法大が勝ち越している。法大にとっては、昨年の決勝を1-5で敗れた雪辱を果たす試合だが、一方の駒大にとっても今季未勝利に法大にリベンジをする最後の機会となった。




 前半は互いペースを握ることができず、一進一退の攻防が続いた。そんな中、序盤は駒大がロングボールからのサイド攻撃を展開してチャンスを作る。やや押され気味の立ち上がりとなった法大だったが、「駒大はワンタッチで背後を狙えるチーム。クリアーの場所、ルーズボールやセカンドボールの反応を意識するよう伝えていた」(法大・長山一也監督)」との注意にすぐに落ち着きを取り戻すと、次第にボールを保持して主導権を奪い返す。法大は「逆サイドやワイドの選手のスペースが空くことがあった」(同監督)とみるや、サイドの11番・森俊貴と8番・紺野和也が起点となり攻撃を仕掛ける。駒大はセンターバックの4番・伊勢渉が累積警告で出場停止という中、3番・星キョーワァンを中心とした粘り強いディフェンスで法大の攻撃をことごとく跳ね返すが、押し込まれる時間が長くなり、攻撃は最前線に残る7番・安藤翼を狙うカウンター頼みに。しかし、結局両チーム得点を挙げることなく前半が終了した。




 後半は両チームボールを動かすスピードが上がり、目まぐるしい展開となった。序盤は駒大が押し込むが、対する法大もカウンターでチャンスを演出。決め手を欠く展開に法大は60分、ついに怪我でベンチスタートだったU-21代表FW・20番・上田綺世をピッチに送り込む。すると、この交代で流れが法大にかたむき始めた。72分、ペナルティーエリア近くでこぼれ球を拾った11番・森が、鮮やかなドライブシュートを放つ。このシュートは惜しくもバーを叩くが、そのこぼれ球を9番・ディサロ燦シルヴァーノがダイレクトシュートで押し込み、法大が待望の先制点を挙げる。「(こぼれ球は)浮き玉だったし、(利き足ではない)右足のところに来たので少し焦ったが、ここで外すわけにはいかないので落ち着いてインサイドで流し込んだ」(9番・ディサロ)。9番・ディサロの今大会初得点で勢いに乗った法大は、その後も8番・紺野がたびたび好機を演出し、追加点を狙う。一方、追う立場となった駒大は早めの選手交代でチャンスを狙うが、法大も3番・前谷崇博、22番・黒崎隼人ら4年生が中心となって、ゴールを死守。駒大は交代出場の15 番・立花皓之介や、3番・星らのDFを前線に押し上げるパワープレーで法大に猛攻を仕掛けるが、攻撃陣の連携がかみ合わず得点につながらない。そのまま試合は終了し、1点を守りきった法大が昨年のリベンジを果たし勝利を収めた。




 決勝戦は関東リーグ3位の法大と4位の駒大、3年連続の関東対決となった。どちらも今季のリーグ戦では優勝を逃してはいるものの、法大は昨年に総理大臣杯優勝・インカレ準優勝、今季は「アミノバイタル」カップにも優勝している。対する駒大も総理大臣杯ベスト4と、どちらも優勝を狙えるだけの実力はあった。接戦の末、42年ぶり3度目となる優勝を果たしたのは法大。昨年、決勝戦で流通経済大学に大差で敗れ、優勝を目前に逃した悔しさを晴らし「悔しい思い出しかない浦和駒場スタジアムを、最高の思い出に塗り替えることができた」(法大・9番・ディサロ)。






長山一也監督(法政大学)コメント


 この大会は初戦も準々決勝も苦しいゲームでしたし、準決勝も延長戦まで戦って勝ちました。今日の試合も駒大のパワフルなサッカーに苦しめられ、運良く点を取って勝つことができましたが。常にギリギリの戦いを、それでも粘り強く戦ってこられたことが優勝できた原因かと思っています。また去年の大会、決勝で1-5で敗れたショックはとても大きかった。今年、チームを立ち上げたときの第一の目標は「昨年の決勝で敗れたリベンジを果たそう」ということでした。その目標を果たすことができて、本当によかったと思います。



秋田浩一監督(駒澤大学)コメント


 今日の試合は、すべてにおいて力負け。法政大学のほうが、速さもテクニックもすべての面で上でした。ただ一流の選手もいない中で、選手たちはよくがんばったと思います。みんなが力をあわせて、学生らしいサッカーをしてくれた。チームを引っ張ってくれた、4年生たちに感謝しています。



黒崎隼人(法政大学・主将・DF・4年)コメント


 昨年のインカレでは非常に悔しい思いをし、その悔しさを抱えてこの1年間サッカーをしてきました。今年のインカレはチームメイト、監督、スタッフ、マネージャーを含め、全員が同じ気持ちをもって大会に臨めたことがよかったと思います。今年は初戦から先制されるなど、非常に難しい試合となりました。それでも全員で粘り強く戦えた。これは大会を通してできたことで、今日の決勝も、全員が粘り強く守備や攻撃に徹底できたからこそ、このような結果に結びついたのだと思っています。



大塲淳矢(駒澤大学・主将・MF・4年)コメント


 1試合でも多くこのチームで試合をしたいと考えていましたが、大会を通じて楽な試合はひとつもありませんでした。自分たちよりも、確実に実力が上だと思われるチーム、プロ入りが決まっている選手がたくさんいるチーム……そういったチームとも対戦しなければならない中、自分たちはチームワークという武器、130人もの部員の力に支えられていたからこそ、ここまでこられたと思います。チームメイトには本当に感謝していますし、心から、このチームで戦えてよかったと思います。
 今日の試合については、法大さんのほうが実力的には上だと思いますが、ウチもセカンドボール(を奪う)の部分で足りないところがあった。それが、この結果になったと思います。今日の試合勝って、秋田監督においしいお酒を飲まそうと言って戦ってきたので、それができなかったことだけは悔いが残ります。4年間、指導していただいた秋田監督には本当に感謝しています。心からこの大学で戦えてよかったと思います。



ディサロ燦シルヴァーノ(最優秀選手/法政大学・FW・4年)コメント


 (森)俊貴がシュートモーションに入った瞬間「そのままゴールに入ればいい」とは思ったのですが、自分も点が取りたすぎて、勝手に体が前に走り出していました。そうしたらいい具合にボールが目の前にこぼれてきた。ボールは浮いていたし、利き足ではない右足だったので緊張しましたが、落ち着いてインサイドで流し込みました。ボールを一度収めて、ということはまったく考えておらず、とにかく右足で打つことしか考えていませんでした。今年、いちばんうれしいゴールです。
 駒大はこの全国大会で勝ち続けたことで、かなり自信をつけてきたと思います。いわゆる"駒大サッカー"が徹底されていて、最初の10分、15分で「いつもの駒大とは違う」と感じました。ただ、自分は相手のストロングポイントである高さで絶対に負けてはいけないと思っていたし、下で音つかせることができれば、絶対に駒大に勝てると思っていました。



星キョーワァン(ベストDF/駒澤大学・DF・3年)コメント


今日はいつもどおりやろうということで、緊張感はなく試合に入れたと思います。(準決勝までセンターバックを組んでいた)伊勢(渉)くんはいないけれど、伊勢くんのためにも今いるメンバーの中での自分のベストを出そうと思って試合に臨みました。ただ、勝てなかったので何かが足りなかったというのは、すごく感じます。そこはもう一度、考えて来年以降につなげていきたいと思います。ただ、決勝戦まで進んだことで自分たちのやっているサッカーに自信がもていたし、それは応援している仲間を含め、駒大のみんなも感じたと思います。個人的には、自分の長所である競り合いの部分で、勝って自分でボールを奪うところと、相手に勝たせてGKにとらせるところを使い分けつつ、絶対に弾かないといけないところでは前にはじけていたので、自分の長所は出せていたのかな、と思います。



紺野和也(ベストMF/法政大学・MF・3年)コメント


 だいたい、相手がどこであってもマークはついてくるので慣れてはいますが、今日もドリブルのところではほとんど取られていないと思います。誰が相手でも1対1は負ける気はないし、そこは積極的に仕掛けていきたいと思います。ただ(準決勝のゴールに続いて)今日もゴールを狙っていたのに、とれなかった。そこは課題だと思います。悪い流れのときは、どうしても自分や(上田)綺世頼みになってしまう部分があるのですが、ほかにもいい選手はたくさんいるので、コンビネーションや攻撃のバリエーションが増えれば、勝てる回数が増える。去年、総理大臣杯を獲って、今年はインカレに優勝できました。あとはリーグ戦だけなので、来年はリーグ優勝を狙いたい。個人的には早めにプロ入りを決めて、相馬(勇紀・早稲田大学・名古屋内定)くんのようにプロで活躍するというのが理想です。



上田綺世(ベストFW/法政大学・FW・2年)コメント


 チームとして「4年生のいちばん長い冬にしたい」という目標があって、それが達成できたのはよかったと思います。個人的には、青柳燎汰選手にすごくお世話になったので、その恩返しをしたいという気持ちでこの大会に臨んでいました。決勝戦ではゴールできませんでしたが、結果的には優勝できて、彼も笑って終われたようなので、僕としてはすごく満足しています。(決勝点を挙げたディサロ選手は)そんなにたくさんのゴールを挙げる選手ではありませんが、ここぞというところ、チームがいちばん助けてほしいところでゴールしてくれる選手だと僕は思っていて。記者会見で言ったとおり、最後の最後に決めてくれたので、やはり"もってる男だな"と思いました(笑)。
 ベストFWについては、チームに貢献すべく必死にやったその結果だと思うので、やはりチームに感謝したいと思います。去年の大会に比べれば手応えはありましたが、もっともっとチームが求める結果のところで、チームを助けられたら、とは思いました。僕自身の目標はできるだけたくさん点をとること。毎試合毎試合点結果に関わり、チームを助けることが僕の描くいいFW像です。その夢に向けてひとつずつ進んでいきたいと思います。



前谷崇博(法政大学・4年・DF)コメント


 この大学4年間は、思いっきり真正面から壁にぶつかって、何回も跳ね返されたという4年間でした。でも真正面から受け止めたからこそ学べたこともあるし、逃げずに自分に向き合い続けた4年間だと思います。「絶対にプロになるぞ」と意気込んで入学した、1年生の最初の公式戦で退場して……。試合に出られない時期もあって本当に悔しかったのですが、今となってはいい経験だと思っています。来年からは社会人となりますが、同じように壁にぶつかることはあると思うし、そういう壁に、自分らしくぶつかって、こうして終わるときに「いい経験だったな」と思えるようにしていきたいと思います。
 自分にとっては今日が競技サッカーとしては最後の試合。この大会はずっと覚悟をもって試合を臨んでいたので、どのような結果になろうと悔いは残らないサッカーをしてきたつもりです。今日の試合も後悔は一切はありません。