JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『2019年度 第68回全日本大学サッカー選手権大会』1回戦マッチレポート
2019/12/13


 『2019年度第68回全日本大学サッカー選手権大会』がついに開幕し、1回戦の8試合が12月11日(水)に行われた。



高松大学 1-4 中京大学
 @浦安市運動公園陸上競技場



 四国リーグで優勝し、今大会が初出場となる高松大学(四国地区代表・初出場)と、優勝を目標に掲げる中京大学(東海地区第3代表・2年ぶり40回目)の一戦。

 試合は序盤から動いた。中京大は13分、ペナルティーエリア付近でボールを受けた10番・東家聡樹がシュートを放つと、ボールは相手に当たってそのままゴールに吸い込まれる。幸先のいい形で先制点を挙げた中京大はその直後の15分にも、ペナルティーエリア内での崩しから最後は9番・西口黎央が右足を振り抜いて追加点を奪う。さらに38分には、ペナルティーエリア内でボールを受けた9番・西口がまたもや右足一閃。直後の39分にも11番・久保藤次郎が相手のパスをカットし、そのまま前線へと持ち込んでゴールをゲット。中京大が攻守両面で高松大圧倒し、前半を4-0で終えた。

 後半は互いにチャンスを作り出すも、ゴールを奪えないままアディショナルタイムに突入。90+3分に高松大の20番・蓬莱優比がヘディングシュートで意地の一点を返すも反撃はここまで。前半に大量4得点を挙げて試合を優位に進めた中京大が1-4で勝利し、2回戦に駒を進めた。




びわこ成蹊スポーツ大学 2-1 福山大学
 @浦安市運動公園陸上競技場



 今夏の総理大臣杯をベスト8の成績で終え、再び全国の舞台へ戻って来たびわこ成蹊スポーツ大学(関西地区第3代表・2年ぶり4回目)と、2年ぶりの出場となったインカレで18大会ぶりの勝利を目指す福山大学(中国地区第2代表・2年ぶり11回目)の一戦。

 立ち上がりから両チームともにチャンスを作るが、先制点を挙げたのはびわこ成蹊スポーツ大学。13分、裏に抜け出した8番・佐藤諒がシュートを放つと、これが相手に当たりそのままゴールへ。その後は、互いにセットプレーからチャンスを作るが、得点につなげることができない。

 1-0のびわこ大リードで迎えた後半の74分、裏に抜け出したびわこ大の18番・井上直輝がペナルティーエリア内で倒されてペナルティーキックを獲得。これを自身で決め、びわこ大が2-0と福山大を突き放す。対する福山大は81分、18番・原田啓史のコーナーキックからボールを繋いで、最後は2番・塚本和輝のヘディングシュートで1点を返すが、同点にまではできず、2-1のまま試合終了。びわこ大が勝利を収めた。




鹿屋体育大学 3-4 新潟医療福祉大学
 @川口市青木町公園総合運動場陸上競技場



 今大会で11年連続出場となった鹿屋体育大学(九州第2代表・11年連続23回目)と、近年、北信越地区で圧倒的な強さを見せている新潟医療福祉大学(北信越第1代表・3年連続6回目)の一戦。

 試合は鹿体大のゴールラッシュから始まった。まずは12分、鹿体大は10番・藤本一輝がペナルティーエリア内でファウルを受けペナルティーキックを獲得すると、自身でこれを決め鹿体大が先制する。続く3分後の15分、10番・藤本のドリブルから11番・西村光明がこぼれ球を決めて追加点。さらに17分には、左サイドの13番・平岩諒大がチャンスを作って10番・藤本につなぐと、最後は16番・根本凌が右足で決めて3-0に。10番・藤本が3得点に絡む活躍で、医福大を圧倒した。しかしここから医福大の猛反撃が始まる。30分には、10番・シマブクカズヨシのドリブルから25番・小森飛絢が左足でゴールネットを揺らし、1点を返す。その後は得点こそなかったものの、次第に医福大がリズムをつかみ、前半が終了する。

 後半も医福大のペースで試合が進み、54分には8番・塚田裕介のミドルシュートがポストを直撃するなど惜しいシーンも。すると58分、その8番・塚田が鮮やかな直接フリーキックが決めて追加点。スコアを3-2とし、その差を1点とした。続く65分には、10番・シマブクが得意のドリブルで前線まで一気に突破、そのまま個人技から左足を振りぬき、3-3と試合を振り出しに戻した。試合は完全に医福大ペースとなり、終盤の86分にはついに逆転弾。11番・佐々木快からキャプテンの9番・矢村健にパスが通ると、GKの位置を見ながら左足で押し込みゴール。これが決勝点となり試合終了。劇的な逆転を成し遂げた医福大が、関東第2代表・立正大学の待ち受ける2回戦へと駒を進めた。

 立て続けに3失点を喫する状況に、ハーフタイムの医福大のロッカーには佐熊裕和監督の檄が飛んだ。「特に4年生、主将の9番・矢村には」強い調子で叱責したという。「たぶん前半は、大丈夫だという気持ちが強すぎたのだと思う」。と佐熊監督。「先制されて、追いつかないといけないという気持ちからポジションをずらす。そしてまた失点する」という悪循環。ただ「言えばわかると思ったので、ハーフタイムにはポジションと攻撃の確認をした」。佐熊監督は「3失点からの逆転はどうか」と思ったというが、前半に1点を取っていたことと「選手たちが諦めていなかった。まだやれると思っていた」ことに活路を見出した。結果は劇的な逆転勝利で、2回戦進出を決めた。





東北学院大学 0-3 東海学園大学
 @川口市青木町公園総合運動場陸上競技場



 リーグ戦で準優勝し12年ぶりのインカレ出場を決めた東北学院大学(東北地区第2代表・12年ぶり23回目)と、東海リーグを制した東海学園大学(東海地区第1代表・2年連続5回目)の一戦。

 試合は、立ち上がりから東園大が主導権を握った。東園大は4番・白川大吾廊と11番・榎本啓吾の両サイドを中心に攻めるが、キャプテンの5番・古澤航平を中心とした東学大の粘り強い守備を崩し切ることができない。それでも35分、14番・児玉駿斗のロングボールに対して相手がミスをおかすと、それを見逃がさず、28番・加藤大貴がボールをキープ。そのままシュートを決めて東園大が先制する。28番・加藤は40分にも決定機を作るが、これは東学大GK1番・鈴木悠真に阻まれ2点目とはならず。しかし東学大は耐える時間が長く、前半のシュート数はわずか1本に抑えられた。

 後半も依然として東園大のペースで試合は進み、10番・神谷椋士や14番・児玉が絡みながら追加点を狙う。すると56分、11番・榎本が倒されて東園大にフリーキックのチャンス。これを14番・児玉がファーサイドに直接決めて追加点。「蹴った瞬間、決まったという自信があった」という14番・児玉のゴールで0-2とリードを広げた。さらに67分には試合を決定づける3点目。右サイドから11番・榎本がクロスを上げると、これを4番・白川がヘディングで叩き込んで勝負あり。反撃しい東学大は21番・菅井大翔、28番・市瀬充規といった攻撃陣を投入して状況を打開しようと試みるが、東園大のGK1番・岡田寛太が最後まで守りきり、ゴールを許さずにタイムアップ。東園大が東海王者の実力を見せつける快勝を収めた。

 昨年も東海王者として本大会に臨みながら、初戦敗退となった東園大。安原成泰監督は「インカレで負けた悔しさは、インカレでしか晴らすことはできない」と選手たちを鼓舞してピッチに送り出したという。しかし立ち上がりは固さのほうが勝り「ただボールを動かすだけで崩すことができていなかった」。そこであえて大きい展開を試みてリスクを減らし、東園大らしいパスサッカーを取り戻したという。「去年のチームにはモンスター級のドリブラーが多数いたが、今年はそこまでではない。だからこそ全員攻撃、全員守備で挑みたい」と安原監督。FWの28番・加藤が足指の怪我で交代するアクシデントもあり「骨折の可能性もある」と不安要素はあるが、「加藤だけではなく、(リーグ戦でチーム最多得点の)神門滉人も怪我でいないし、怪我人が多すぎる」と苦笑い。2回戦で関西学院大学と対戦することになったが「同じようなタイプのチームだから、スキルの差が勝負どころになるだろう」と意気込んだ。





北陸大学 0-1 常葉大学
 @柏の葉公園総合競技場



 北信越地区第2代表として4年振りに出場の北陸大学(北信越地区第2代表)と、3年連続出場の常葉大学(東海地区第2代表・3年連続12回目)の一戦。

 先にペースを掴んだのは北陸大。9番・長島グローリー、15番・矢島芽吹を中心にサイドから攻撃を仕掛けてチャンスを作る。対する常葉大は我慢する時間が続いたが、前半の終盤に差し掛かるころから、徐々に反撃を開始する。しかし両者譲らず、スコアレスで試合を折り返した。

 後半に入ると常葉大は交代選手が躍動し、主導権を握り始める。23番・岸孝宗郎のクロスバー直撃のシュート7番・犬塚諒も持ち前のテクニックで相手を翻弄するが、どうしてもゴールを割ることができない。90分が過ぎ、スコアレスのまま延長戦に突入するかと思われたアディショナルタイムの90+3分、ついに試合が動く。常葉大はコーナーキックのチャンスを得ると、これに1年生の24番・加藤隼登が頭で合わせ、ついに均衡を破られる。結局、このゴールが決勝点となり試合は終了。常葉大が終了間際の劇的なゴールで勝利を収め、桐蔭横浜大学の待つ2回戦へと駒を進めた。




福岡大学 3-0 北海道教育大学岩見沢校
 @柏の葉公園総合競技場



 今季九州リーグ3連覇を果たした福岡大学(九州地区第1代表・3年連続43回目)と、インカレ常連校の北海道教育大学岩見沢校(北海道地区代表・6年連続9回目)の一戦。

 試合は攻守の切り替えの早い、タフな戦いとなった。試合が動いたのは17分。福岡大は10番・梅田魁人のクロスを8番・大熊健太が頭で合わせて先制する。その後は北教大も22番・下田友也の高さを活かした攻撃で何度となく決定機を何度も作るが、後半開始早々の49分、福大の7番・井上健太を倒してペナルティーキックを与えてしまう。福大はこれを7番・井上自身が決めて追加点。北教大は点差を2点に広げられてしまった。北教大はその後も攻め続けたが、試合終盤の84分には福大の14番・今田源紀がポストの跳ね返りに詰めてダメ押しの3点目。結局、北教大は1点も奪うことなく、3-0でタイムアップとなった。リーグ3連覇と、九州王者の力を遺憾なく見せつけた福大。次戦は前回王者である法政大学と対戦する。




宮崎産業経営大学 0-4 IPU・環太平洋大学 @AGFフィールド



 6年ぶりのインカレ出場となった宮崎産業経営大学(九州地区第3代表・6年ぶり3回目)と、中国リーグでは勝点差14をつける圧倒的な優勝を果たしたIPU・環太平洋大学(中国地区第1代表・7年連続7回目)の一戦。

 立ち上がりは両チーム攻めあう展開となった。環太大の10番・赤木直人と7番・田中翔が巧みなコンビネーションで宮産大のディフェンスラインを翻弄すれば、宮産大も10番・野川稀生と7番・甲斐史也がドリブルで環太大のサイドを崩す。しかし徐々に環太大のペースとなり、9分には環太大の10番・赤木が放ったシュートをGKがストップ。そのこぼれ球に7番・田中が反応し、環太大が先制する。追いつきたい宮産大は13番・宇津元伸弥にボールを集めるが、試合の流れを変えることができない。一方の環太大も多数のチャンスを活かしきれず、1-0のまま前半は終了した。

 後半開始後は、宮産大がテンポのいい攻撃で環太大ゴールに迫るが、環太大もGKの1番・上田諒が好セーブを見せてピンチを乗り切る。すると50分、10番・赤木が豪快なシュートをゴールに突き刺し、追加点を決める。また、57分には7番・田中が10番・赤木からのクロスに合わせて3点目。宮産大を突き放した。環太大は最後まで攻撃の手を緩めず、83分にも途中交代の13番・岡本奈也が試合を決定づける4点目を挙げ、0-4でタイムアップ。0-4と環太大が完勝し、初戦突破を果たした。




仙台大学 3-0 桃山学院大学 @AGFフィールド



 全国大会常連校である仙台大学(東北地区第1代表・19年連続36回目)と、粘り強く戦い関西地区の最後のインカレ出場権を掴み取った桃山学院大学(関西地区第4代表・2年連続9回目)の一戦。

 立ち上がりは仙台大が主導権を握った。22分、仙台大は8番・嵯峨理久が右サイドを崩してクロスを上げると、これが桃山大のフィールドプレーヤーにあたり、オウンゴールに。思わぬ形で先制した仙台大だったが、36分にも2番・藤田一途がオーバーラップし、上げたクロスを10番・松尾佑介が折り返したところでゴール前が混戦状態となる。だが、桃山大のGK31番・瀧浪朋生が弾いたこぼれ球を、8番・嵯峨が押し込んで追加点。リードを2点に広げた。その後。仙台大は横浜FC内定の10番・松尾を中心に左サイドから攻撃を展開。桃山大も長崎内定の9番・毎熊晟矢を起点にカウンターやセットプレーからゴールを狙うなど、プロ内定者が躍動するが、ともに得点まではいたらず2-0のまま前半が終了した。

 桃山大は後半開始と同時に10番・若山修平を投入。反撃の狼煙を上げると、果敢に仕掛けてチャンスを作る。しかし仙台大も65分、8番・嵯峨からのパスを受けた11番・岩渕弘人がGKとの一対一を冷静に決めて勝負あり。桃山大は前半同様、9番・毎熊を中心に攻撃を展開するが、決定的なチャンスをつくれないまま試合は終了した。3-0と完勝した仙台大は2年連続の2回戦進出。次戦は中央大学と対戦する。






 2回戦は、12月14日(土)に味の素フィールド西が丘にて明治大学と中京大学、びわこ成蹊スポーツ大学と筑波大学が、浦安市運動公園陸上競技場で新潟医療福祉大学と立正大学、関西学院大学と東海学園大学が対戦する。また、柏の葉公園総合競技場で桐蔭横浜大学と常葉大学、福岡大学と法政大学が、AGFフィールドにてIPU・環太平洋大学と大阪体育大学、中央大学と仙台大学の試合が行われる。

 1回戦から熱い対戦が繰り広げられた。鹿屋体育大学と新潟医療福祉大学の一戦は、前半序盤に鹿体大が3点を先取するも、医福大が不屈の精神で4点を奪い獲り、逆転に成功。昨年に続き2回戦へと駒を進めた。一方、初出場の高松大は、中京大に1-4で敗退となった。

 2回戦からは、いよいよ「アミノバイタル?」カップ、総理大臣杯、関東大学リーグ戦3つのタイトルを獲得した、"夏の王者"明治大学が登場。また関西リーグを制覇した大阪体育大学、昨年度覇者の法政大学が初戦を戦う。1回戦に勝利した地方勢が、シード校相手にどこまで奮闘をみせるか。また関東では、初出場となる桐蔭横浜大学、立正大学のフレッシュな顔ぶれにも期待したい。
4年生にとっては大学サッカー最後の公式戦となる本大会。4年間の想いをこめ、そして有終の美を飾るべく奮闘する選手たちの姿をその目に焼き付けてほしい。