JUFA 全日本大学サッカー連盟

全日本大学選抜
全日本大学選抜トレーニングマッチ U-21日本代表 対 全日本大学選抜 マッチレポート(監督・選手コメント)
2018/01/13
 2019年にイタリア・ナポリで開催される第30回ユニバーシアード競技大会での優勝を目指す全日本大学選抜。1月4日、5日の2日間にわたる初合宿の仕上げとして、5日の午後には同年代の代表であるU-21日本代表とのトレーニングマッチが行われた。

 日本は4-4-2の布陣で試合に臨み、GKは1番・オビ パウエルオビンナ、DFは右から22番・三国スティビアエブス、5番・山川哲史、3番・村松航太、6番・黒川圭介。中盤は20番・渡邊陽、7番・安部柊斗のダブルボランチに右サイドを14番・紺野和也、左サイドを三笘薫、2トップには13番・小柏剛と10番・旗手怜央が入った。

 全日本大学選抜(以降大学選抜)は序盤、U-21日本代表(以降U-21)の勢いに押され気味だったが、次第に落ち着いてボールを回し始め、右サイドの14番・紺野の突破を中心にチャンスを作り始める。大学選抜は7番・安部、20番・渡邊らがボールを保持すると、両サイドを使ってU-21ゴールに迫る。25分には、7番・安部が奪取したボールを14番・紺野、9番・三笘とつないでU-21のディフェンスラインを乱した。

「試合前に思っていたより、差はないと思った」(14番・紺野)との言葉どおり、大学選抜は次第にボールを奪うシーンが増加。その勢いのまま先制点を挙げたのは36分だった。右サイドバックの22番・三国からのボールを、10番・旗手がスルー。9番・三笘が13番・小柏につないでシュートを放ったが、これはU-21のGK、1番・小島亨介がブロック。しかしこぼれ球を「たまたま自分の前にボールがきた」という9番・三笘が蹴り込んでゴールを決めた。
 しかし、U-21もこのままでは終わらず、42分にキャプテンマークをつけた17番・神谷優太が、鮮やかな無回転のミドルシュートを決めて同点に追いつく。昨年12月のU-20代表タイ遠征ではチームメイトとしてプレーをしていたGKの1番・オビにとっては「彼がミドルシュートが巧いというのはわかっていたのに」と、悔やまれる失点となった。

 1-1で迎えた後半、両チームメンバーを大きく入れ替えてスタートした。大学選抜は右サイドバックに2番・真瀬拓海、センターバックに18番・森岡陸を投入。中盤に16番・橘田健人、17番・井上健太、8番・鳥海芳樹を投入。両サイドを起点に攻撃の形を作るが、決定機を作るまでにはいたらず、両チーム一進一退の攻防が続いた。

 大学選抜はGKを1番・オビから12番・佐藤久弥に交代すると、7番・安部に代えて14番・紺野、10番・旗手に代えて13番・小柏を再投入。中盤をコンパクトにして試合の流れを引き寄せようとするが、U-21代表の粘り強いディフェンスラインを崩し切れずタイムアップ。決定的なチャンスこそ作られなかったものの、追加点を決めきれずに1-1のドローで、初のトレーニングマッチを終えた。

 試合後、選手たちは口々に「正直勝ちたかった試合」と悔しさをにじませたが、松本直也監督は「相手のゴールに迫るシーンもあり、ただ守備に追われたゲームではなかった」と試合内容を評価。「もちろん勝てればよかったが」と前置きをしながらも、同年代の“格上”代表であるU-21代表に対して「特に攻撃の形では、少し自信になったかと思う」と手応えを感じた様子だった。
 全日本大学選抜はこの試合後一度解散し、2月16日から開催する『第32回デンソーカップチャレンジサッカー 熊本大会』に向けて再招集。2019年のユニバーシアード競技大会に向けて本格的なチーム作りにとりかかる。今回の合宿は、『AFC U-23選手権中国2018』に参加するU-21日本代表への“壮行試合”の意味合いもあり、「当初は予定されていなかった」(松本監督)が、「前後半を通して守備や球際、切り替えの部分を表現してくれて、ゲームとしての収穫は大きかった」というように、チームの立ち上げの試合としては実りあるものとなった。

□松本直也監督

――この合宿の意図と狙いを教えてください。

 (次のユニバーシアード競技大会に向けたチームとしては)最初の合宿だったので、選手にはまず、ベースとなる部分を話しました。大学選抜という、大学の代表としての意義や活動の内容、その位置づけを話したうえで、今回集まった大学選抜は東京五輪と同年代なので(全日本大学選抜で活躍することは)チャンスにもなる、と。チームとしてはユニバーシアードでの優勝が目標ですが、個人としてはその次のステップまで考えてほしい。今回の強化合宿は、本来組まれる予定ではなかったのですが、U-21日本代表側からぜひ(トレーニングマッチを)と声をかけてもらって実現しました。自分たちも東京五輪代表世代であると意識づけさせるためにも、またチームの出発点としてもいいタイミングの合宿になったと思っています。

――練習はかなりハードで実戦を意識した内容になっていました。

 選手たちには「時間は短いけれど、トレーニングの中でインテンシティ、プレー強度は求める」という話をしました。日本代表が求めているデュエルの部分や、球際、切り替えといったベースがなければ始まらない。戦術的な確認という意味でも、ベースとなる部分をしっかりやることが必要でした。大学選抜というチームは、大学生の中では“受けて立つ”立場です。けれど今回は公式戦ではないにせよ、U-21代表という“格上”のチームと対戦するわけですから、プレー強度は求めないといけない。それは、五輪代表やフル代表でもベースにしているところですから。あとはU-21代表のタイ遠征での映像などを見ながら、短いなりにも組織をつくってどう戦うか話し合いなりました。短いなりに、選手たちはこちらの意図を消化して試合に臨んでくれたかな、と思っています。

――U-21代表との試合内容について。

 もう少し(U-21代表に)やられるかと思っていましたが、ベースの部分――守備や球際、切り替えといった部分を、前後半通してみんなが表現してくれました。そこは非常に大きい。本当ならもう少しボールを動かしたかったのですが、前半には三笘のゴールがあり、ほかにも相手のゴールに迫るシーンが多くありました。こちらも負けていなかった。ただ守備に追われるようなゲームにならなかった。攻撃の形という部分でも、自信になったかと思います。もちろん、勝てればもっとよかったとは思いますが。逆に失点の部分は、技U-21代表のような技術のある選手には、隙を見せたら一発で決められるという典型のようなもの。そういう甘さも感じましたが、ゲームとしての収穫は大きかったと思います。

□旗手怜央(FW・2年・順天堂大学)

 勝ちたかったけれど、勝てなかった。ただ、内容的には互角以上のものがあったかと思います。手応えはあったので、あとは結果がついてくればよかったのですが。合宿期間は昨日と今日の2日間しかありませんでしたが、松本(直也)監督の言っていた「球際を厳しくいこう」という部分は、みんな意識を統一してできていたと思います。
 今日は前(トップ)だったので、前を向いて仕掛けて、ゴールを決められればいちばんよかったのですが……。(ゴールのためには)自分からもっと仕掛けていかないといけない、と思いました。たとえば(相手を)抜きにいくのではなく、(シュートを)打てるときには打つ。今日は(相手を)外しながら打つ、というところは意識していたし、このゲームでは、それがある程度できたと思っています。
 昨年末のU-20代表のタイ遠征に行ったものの無得点で帰ってきて、インカレでは点を決めて。「大学ではその得点力はずば抜けている」みたいに記事には書かれますけど、「大学では」と言われるようではいけないと思う。最後に五輪で戦うのはプロや、世界に出て行くような人ばかり。もっと追求していかなければならない、と思いました。

□オビ パウエルオビンナ(GK・2年・流通経済大学)

 正直、勝ちたかったです。あの失点以外は、そんなに危ないシーンはつくられていない。だから、あそこさえ止められていれば勝てたのに、という思いはあります。こちらもけっこうチャンスをつくっていたし、ゲーム自体はすごくよかった。僕たちとしては、次につながるいい試合ができたと思います。
 失点シーンについては、神谷選手はミドルシュートが巧いというのはわかっていたのにやられてしまった。あの時間帯はふんわりしたファーを少し意識しすぎていて、逆にニアにズドンと決められてしまった。もっとディフェンスと連携して、守らなければならなかったと思いました。

□紺野和也(MF・2年・法政大学)

 自分的にはもう少しできたのでは、という気持ちはあります。ドリブルについては、何回かチャレンジして通用した部分はありますが、急遽言われたこともあって、後半に(交代で)出た時などは体が動かなかった。もっともっとやらないといけないな、と思いました。ただ、試合前に自分が思っていたより、(U-21代表と)そんなに差はないのかな、とも思いました。それでもやはり、ひとつひとつの足下のプレーなどは、プロの選手のほうが巧い。2人、3人にとマークされる中でもドリブルで抜いて、数字を残していかないとプロにはなれないと思うので、マークを受けてアシストや点が取れる選手になれればと思います。

□三笘薫(MF・2年・筑波大学)

 結果は引き分けでしたが、勝てるチャンスがあっただけに勝ちたかった。けれど集合して2日目にしては、チームとして機能できていたのではないかと思います。自分のゴールは、たまたま自分の前にボールがきたという感じ。落ち着いてゴールを見られたのはよかったのですが、その前にあったシュートチャンスのほうを仕留めきれないと、今後レベルが上がった時にやっていけない。もっとシュートに対する意識を高めていきたいと思います。
 昨年末のU-20代表のタイ遠征では、守備の意識を高めていかなければいけないと痛感しました。これからは大学での練習や試合でも守備を意識していくことで、少しでも代表に近づけるのではないかと思います。ただ、今日の試合でも守備の部分はまだまだです。(相手に)寄せるところや(ボールを)切るところ、奪いきるところをもっと増やさないといけない。そうした部分でも評価を上げたいと思います。