JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『2019年度 第68回全日本大学サッカー選手権大会』準々決勝戦マッチレポート
2019/12/20


 『2019年度 第68回全日本大学サッカー選手権大会』の準々決勝4試合が、12月16日(月)に行われた。



明治大学 1-0 筑波大学 @味の素フィールド西が丘



 圧倒的な強さで中京大学を下して初戦を突破した明治大学(関東地区第1代表・11年連続19回目)と、関東リーグでは1勝1敗と、王者・明大と互角の戦いを見せた筑波大学(関東地区第6代表・4年連続38回目)の一戦。

 前半は終始明大ペースで試合が進んだ。明大が迎えた最初のチャンスは、筑波大のGK30番・阿部航斗が好セーブ。その後も明大は6番・瀬古樹と9番・安部柊斗のダブルボランチを中心に、ボールを散らしてサイド攻撃を展開。何度となくチャンスを作るが、筑波大の4番・山川哲史を中心とした堅い守りを崩しきれず、0-0で試合を折り返した。

 前半はシュートゼロと押し込まれる時間の多かった筑波大だが、後半に入ると次第にボールを保持。すると54分、筑波大は23番・知久航介のキックに11番・和田育が反応。抜け出そうとしたところを、4番・川上優樹が倒して、筑波大がペナルティーキックを獲得する。キッカーは10番・高嶺朋樹。しかし、ゴール右を狙ったシュートを明大のGK21番・加藤大智が弾き、筑波大は絶好の得点機を逸してしまう。絶体絶命のピンチを脱した明大は、動揺の見える4番・川上を下げて7番・中村健人を投入。システムを4-4-2から3-2-3-2の3バックに変え、体勢を整えて攻勢を強める。すると筑波大は62分に7番・三笘薫を投入。それを追うように明大も10番・小柏剛をピッチに送り込むなど、両チーム"切り札"を入れて勝負に懸けた。この交代をチャンスに結びつけたのは明大だった。84分、明大は7番・中村健人が左サイドでボールを受けると、ゴール前へとクロスを上げる。そのクロスに走りこんだ2番・中村帆高が頭で合わせ、ゴール左隅にシュートを叩き込む。先制を許した筑波大は7番・三笘の突破などでチャンスを作るが、得点には届かず1-0で試合終了。厳しいプレスと攻守の切り替えの早い、見応えのある関東対決は、リーグ王者の明大に軍配が上がった。

 「筑波大とウチのプライドがぶつかりある、素晴らしいゲーム。今年の大学サッカーの中でも1、2を争う内容の試合だったと思う」。試合後、明大の栗田大輔監督はそう試合を振り返った。ともに複数のJ内定者とユニバーシアード代表を擁する、優勝候補同士の直接対決。栗田監督は「内容的には明大がボールを支配したが、筑波大は際の所での集中力が切れなかった」とライバル・筑波大のプレーを評価した。後半はPKを献上するなどピンチもあったが「失点は覚悟していた」と栗田監督。そのうえで「こういうゲームは意外性をいかに出せるかが勝負の分かれ目になる」としてシステムを変更。これに選手たちも応えたことで勝利を引き寄せた。

 一方、「押し込まれるのも想定内。そういうゲームプランで試合に臨んだが、見事にやられた。明大さんを褒めるしかない」と言うのは筑波大の小井土正亮監督。「どちらがミスをするか。そしてどちらが仕留めきるか」という試合だったが、「強い。その一言に尽きる」ときっぱり。エースの7番・三笘薫を後半に投入し勝負に懸けたが「2回、3回は相手をはがしたが、それ以上に明大さんは守備も攻撃もすごかった」と関東王者の実力に脱帽していた。





関西学院大学 1-0 立正大学
 @川口市青木町公園総合運動場陸上競技場



 関西代表として関東の大学には負けられない関西学院大学(関西地区第2代表・2年連続22回目)と、2回戦で接戦を制した勢いのままに勝ち上がりたい立正大学(関東地区第3代表・初出場)の一戦。

 試合は関学大がボールを保持してペースを握った。関学大は18番・山田剛綺がシュートを放つなどしてゴールを狙うが、立正大も13分にコーナーキックを獲得してからは、徐々に反撃を開始。24分には、右からのクロスに10番・人見拓哉が合わせてゴールネットを揺らすが、これはオフサイドの判定でノーゴールに。さらに27分、7番・梅村豪がシュートを放つも、これはわずかに枠の外へ。両チームなかなか得点にはいたらず、スコアレスで試合を折り返した。

 後半も両チーム激しく攻守を入れ替えながらゴールを狙うが、なかなか枠をとらえきれない。試合は0-0のままアディショナルタイムに突入。すると90+4分、関学大の29番・山本悠樹のシュートが決まったかと思われたが、前半の立正大同様、オフサイドの判定でノーゴールに。結局、スコアレスのまま勝負は延長戦に持ち越された。

 ようやく試合が動いたのは延長戦前半の109分。途中出場の関学大26番・木村勇大がゴール前で粘り、20番・山下諒にパスを送る。これを受けた20番・山下は、ワンタッチでシュートを突き刺し、ついに関学大が待望の先制点を挙げる。勢いに乗る関学大はその後の試合を優勢に進め、立正大の攻撃を防ぎきって1-0で試合終了。初出場の立正大は、猛攻を仕掛けながらも悔しい2回戦敗退となった。一方の関学大は関西勢で唯一ベスト4入りを果たした。




桐蔭横浜大学 2-1 法政大学 @柏の葉公園総合競技場



 初出場のインカレで初戦を制した桐蔭横浜大学(関東地区第2代表・初出場)と、4得点を挙げる好スタートを切った昨年度王者・法政大学(関東地区第4代表・4年連続31回目)の一戦。

 関東リーグ2位と4位の関東勢対決。今季のリーグ戦では1勝1敗、スコアも2-1と互角の争いを演じた両者だが、準決勝への勝ち上がりを懸けた3度目の対戦も激しい展開となった。

 先にゲームを動かしたのは桐蔭大。16分、コーナーキックを得た桐蔭大は、11番・下村司の蹴ったボールを3番・遠藤凌が頭で合わせて先制する。対する法大はボールを動かしながら好機を窺うも、桐蔭大の集中した守りに阻まれてゴールに近づけないまま前半が終了する。

 法大は流れを変えるべく、ハーフタイムに8番・紺野和也と23番・関口正大の2枚の交代カードを一気に切る。フレッシュな2人がピッチに送り出されたことで勢いを強めた法大だったが、試合を動かしたのはまたも桐蔭大。後半序盤の55分、5番・岩下航が法大ゴール前で相手GKとDFのルーズな処理からボールを奪うと、そのままシュートを突き刺して追加点。相手の隙きを見逃さなかった桐蔭大がリードを2点に広げた。しかし、このまま終われない法大も、78分には20番・佐藤大樹が倒されてペナルティーキックを獲得。これを自身で決めて1点を返すも反撃はここまで。桐蔭大が隙きのない試合運びで法大の連覇の望みを打ち砕き、初出場ながらベスト4入りを果たした。




中央大学 6-1 大阪体育大学 @AGFフィールド



 2回戦で仙台大学との接戦をものにした中央大学(関東地区第5代表・7年ぶり35回目)と、5番・田中駿汰を日本代表選出で欠きながらも、関西王者の実力で初戦を危なげなく突破した大阪体育大学(関西地区第1代表・7年連続22回目)の一戦。

 準決勝進出をかけた一戦は、中大が予想以上の強さを見せつける結果となった。大体大は2回戦で2得点を挙げた10番・林大地と11番・高橋一輝の2トップのコンビネーションからゴールに向かうが、中大の3番・深澤大輝と6番・今掛航貴が球際で強さを見せこれを防ぐ。すると12分に中大に先制のチャンス。右サイドで28番・荒木遼太がボールを落とすと、これを拾った5番・中村亮太朗がゴール前にクロスを入れる。最後は25番・高窪健人がヘディングシュートを決めて、中大が先制する。勢いに乗った中大は19分、16番・髙岸憲伸の右コーナーキックに、18番・松本大輔がニアで合わせて追加点。わずかな時間でスコアを2-0とした。まずは1点を返したい大体大だったが、中大の5番・中村や10番・加藤陸次樹にことごとくセカンドボールを回収されて、チャンスを作れない。またエースの10番・林は、中大の3番・深澤と激しくマッチアップするなどしてゴールに向かえない。結局、中大が2点をリードして試合を折り返した。

 後半の立ち上がりは2点を追う大体大が主導権を握り、57分には10番・林が自らチャンスを作り決定機。しかしこれは中大のGK21番・坪井湧也がファインセーブを見せてゴールならず。直後の58分には7番・西田恵がシュートを放つが、これも21番・坪井に阻まれる。大体大が押し込む時間が続いたが、スコアを動かしたのは中大のほうだった。中大は68分、5番・中村の左コーナーキックに、またもや18番・松本がニアで合わせて追加点。リードを3点差に広げる。3点のビハインドを負い攻めるしかない大体大は26番・三輪大智を下げて19番・野寄和哉を投入。前がかりになった大体大に対し、中大は冷静に対応。3番・深澤が裏のスペースにボールを送ると途中出場の9番・小山駿が胸トラップから冷静に決めて4点目。大体大は89分に19番・野寄のシュートのこぼれ球を、9番・アフラギマハディが決めて1点を返すが、中大は攻撃の手を緩めない。アディショナルタイムに突入した90+1分には、26番・鈴木翔太が自ら獲得したペナルティーキックを決めて再び4点差に突き放すと、90+5分には26番・鈴木のクロスに9番・小山が合わせて勝負あり。終わってみれば6-1の大勝で関西王者を下した中央大学が、前回出場した2012年を超えるベスト4進出を決めた。






 準決勝は浦和駒場スタジアムで明治大学と関西学院大学、NACK5 スタジアム大宮にて中央大学と桐蔭横浜大学がそれぞれ対戦することとなった。

 地方勢が準々決勝で敗退し、関東・関西勢だけで行われた準決勝。今大会優勝候補筆耕の明治大学は、同じく関東代表の筑波大学と対戦。今期リーグ戦では一度敗れている相手にこの試合でも苦戦を強いられた明大だが、終了間際の84分に決勝点を挙げるなど、関東王者らしい強さでベスト4に進出。前回大会覇者・法政大学も桐蔭横浜大学との関東勢対決となったが、初出場の桐蔭大に終始リードを許し準々決勝で敗退となった。一方、関東勢と関西勢の"東西対決"では、関西学院大学が延長戦までもつれこんだうえ初出場の立正大学を下して勝利。関西勢唯一の生き残りとなった。対照的に関西王者の大阪体育大学は、6-1というスコアで中大に大敗を喫する結果に。準決勝からは日本代表の5番・田中駿汰が合流可能だったが、願いは叶わず準々決勝敗退となった。

 インカレも残るところあと3試合。ベスト4が対戦する準決勝戦は関西地区代表として唯一勝ち上がった関学大と関東地区代表の3校で争われる。ファイナリストを目指し、さらにレベルの高い戦いが見られるに違いない。