JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
『2025年度第49回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』1回戦マッチレポート
2025/09/04


 大学サッカー夏の全国大会、『2025年度 第49回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』が、9月3日に宮城県、岩手県の各地で開幕した。全国9地域を代表する32チームが一堂に会し、トーナメント方式の本大会で“大学夏の王者”を目指す。

 近年の気温の上昇を考慮し開催地を東北の地に、日程も9月上旬に移して4年目を迎える本大会。未だ残暑厳しい中で行われた1回戦では、2連覇を狙う昨年度王者の阪南大学がまさかの初戦敗退となった。
 波乱含みのスタートとなった今年度の総理大臣杯だが、1回戦では全16試合中、6試合が延長またはPK戦にもつれ込む接戦となった。

 熱戦の結果、2回戦進出を決めたのは、東北、中国、四国の3地域の代表が初戦敗退に。また関東・関西の王者がともに1回戦で姿を消すこととなった。2回戦に進んだのは北海道1、北信越1、関東7、東海1、関西4、九州2の計16チーム。はたしてベスト8に残るのはどの地域、どのチームとなるのか。注目の2回戦は9月5日(金)に開催される。


1回戦 全結果・トーナメント表









マッチレポート




大阪経済大学 2(1-0)0 鹿屋体育大学
 @セイホクパーク石巻フットボール場



 関西地区第6代表の大阪経済大学は九州地区第6代表の鹿屋体育大学と対戦。立ち上がりは「相手が想定していたのとは違うシステムできた」(大経大・大石篤人監督)こともあって鹿体大がゴール前に攻め込むが、「10分くらいかかったが、自分たちが何をやらなければならないのか整理ができた」と同監督。試合を落ち着かせると23分、相手GKがこぼしたボールを小林拓斗が流し込んで先制点を挙げる。「ウチはシュートを打ち切る、クロスを上げ切るといったところを徹底しているがそれが今日のゴールにつながった」(同監督)。後半に入ると鹿体大も攻撃のギアを上げるが、大経大も冷静にこれを跳ね返しゴールを割らせない。逆に85分、大経大は水永直太朗がボックス内で倒されペナルティーキックを獲得する。キッカーは大隅颯。そかし大隅のシュートは鹿体大GK・重松陽が弾き出して得点ならず。絶好の得点機を逸した大経済大だったが、終了間際の89分には水永がGKとの1対1の場面ですかさずゴール前に上がってきた宮地陸翔に横パス。これを冷静に流し込んで大経大が試合を決定づける2点目をマーク。大経大が待望の本大会初勝利を収めた。


日本大学 1(0-0/0-0/0-0/1-0)0 富士大学
 @七ヶ浜サッカースタジアム

 関東地区第7代表の日本大学は、地元・東北代表で一昨年度王者の富士大学と対戦。試合は後半に入ると日大が押し込む時間帯が続いたものの決めきれず0-0のまま延長戦へ。すると107分、日大は五木田季晋が自ら獲得したペナルティーキックを決めて先制。これが決勝点となり日大が2回戦進出となった。


駒澤大学 4(2-0)1 新潟経営大学
 @セイホクパーク石巻フットボール場

 関東地区第10代表の駒澤大学は北信越地区第2代表の新潟経営大学と対戦。試合は早い時間帯に動いた。9分、駒大は新経大の最終ラインでのルーズなパス回しを見逃さず、猛然とプレスをかける。すると新経大のパスが前線にいる駒大・渡邉幸汰の足元へ。渡邉は冷静にGKの頭上を狙い先制点を挙げる。駒大は前半終了間際の44分にも、髙橋修斗が最終ラインで相手からパスを奪うと前線でひとり待つ渡邉へとパスを入れる。これを受けた渡邉は30メートル以上をドリブルで突破。最後に切り返しで相手DFを置き去りにすると冷静にシュートを放ち追加点。2-0で前半を終えた。後半も駒大の勢いは止まらず後半開始早々の48分、今井拓人と明石梓希のコンビネーションプレーでショートカウンターを仕掛け、最後は木村匡吾が蹴り込んで3点目。新経大を突き放した。だが新経大も57分、塚越優也が鮮やかなドライブシュートを放ち1点を返す。2点差を詰めたい新経大だったが、逆に79分、石川大也がゴール前で落としたボールを今井が流し込んで4点目。再びリードを3点差に広げ4-1でフィニッシュ。駒大が2回戦進出を決めた。


日本体育大学 2(1-1)1 阪南大学
 @七ヶ浜サッカースタジアム

 阪南大は8大会ぶりの出場となる関東地区第4代表の日本体育大学と対戦。序盤の16分に櫻井文陽のスルーパスに抜け出した山田晃市が先制点を決めたものの、35分には日体大・井上斗嵩にミドルシュートからのゴールを許し同点に追いつかれる。阪南大は後半、C大阪内定の金本毅騎が4本のシュートを放つがゴールには至らず。逆に65分、日体大はゴール前に抜け出した大久保元泰がGKとの1対1を制して追加点。逆転に成功した日体大がそのまま2-1で逃げ切り、2回戦へと駒を進めた。


IPU・環太平洋大学 0(0-0/0-0/0-1/0-0)1 中央大学 @遠野運動公園 陸上競技場

 中国地区第1代表とIPU・環太平洋大学と関東地区第5代表・中央大学の試合は両チームスコアレスのまま延長戦に突入。中大は94分、交代出場の淵上涼太がミドルシュートを決めて0-1で勝利した。


日本文理大学 0(0-0)1 札幌大学
 @遠野運動公園 多目的広場

 九州第4代表の日本文理大学は北海道第1代表の札幌大学と対戦。札幌大は後半に入ると攻勢を強め、77分にはコーナーキックからのこぼれ球を櫻井廉が押し込んで先制する。その後、札幌大は保坂善里が2枚目の警告を受けて退場に。ひとり少ない状況となったが、最後まで先制点を守りきって2回戦へと駒を進めた。


立命館大学 0(0-0)1 東洋大学
 @遠野運動公園 陸上競技場

 天皇杯では、大学チームとしては初となるJ1クラブに連勝という快挙を成し遂げた関東地区第2代表の東洋大学。しかし関西地区第3代表・立命館大学との対戦は、ともにゴールネットを揺らすことなく0-0のまま90分が経過。だが延長戦に突入かと思われた90+1分、東洋大は荒井涼が中盤でボールを奪うとドリブルで相手をかわして前線へ。ペナルティーエリア直前でゴール前にクロスを入れると、柏内定・山之内佑成がトラップでボールを収め、そのまま右足を振り抜いてゴール。終了間際の一撃で東洋大が辛勝した。


中京大学 2(2-0)0 高松大学
 @遠野運動公園 多目的広場

 東海王者・中京大学と中国王者・高松大学の試合は早い時間帯にスコアが動いた。まずは19分、中京大が右サイドから切れ込んで放ったシュートが相手DFにあたりオウンゴールに。思わぬ形で先制点をあげた中京大だったが、その7分後の26分、折出幸大が右サイドから入れたクロスを、森田尚人が流し込んで追加点。中京大が2-0とリードを広げる。その後も中京大が試合を優位に進め、高松大にゴールを許すことなく2-0で勝利を収めた。


桐蔭横浜大学 4(0-2)2 福山大学
 @いわぎんスタジアム Bグラウンド

 関東地区第6代表・桐蔭横浜大学は中国地区第2代表・福山大学に2点を先取される展開に。福山大は34分に廣戸蒼大がミドルシュートを突き刺して先制すると、前半終了間際の45+1分にも廣戸がこの試合2点目となるゴールを決めて追加点を挙げる。2点のリードを許す形で前半を終えた桐蔭大は、ハーフタイムに3人を選手を一気に変える大胆采配に出る。しかしこれが奏功し、後半開始早々の49分に交代出場の櫻井勇斗が池田柚生の左からクロスを頭で押し込んで1点を返す。桐蔭大は65分にも池田のコーナーキックを、今度は髙橋泰輝が頭で合わせて追加点。さらにその2分後、櫻井がこの試合2点目となるゴールを決めて桐蔭大が逆転に成功。桐蔭大はアディショナルタイムにもオウンゴールで1点を加え、4-2でタイムアップ。後半、怒涛の攻撃で得点を重ねた桐蔭大が初戦突破を果たした。


北海道教育大学岩見沢校 0(0-1)4 関西大学
 @いわぎんスタジアム Aグラウンド

 大量4ゴールで北海道地区第2代表の北海道教育大学岩見沢校を下したのは関西地区第4代表の関西大学。関西大は序盤の9分、三木仁太のクロスから黒沢偲道が鮮やかなボレーシュートを突き刺して先制する。その後は関西大が圧倒的にボールを保持しながらも攻めあぐね0-1で試合を折り返した。前半は1ゴールに留まった関西大だが、後半に入ると開始早々の47分に追加点。三木のクロスを逆サイドにフリーでいた兎澤玲大が冷静に合わせてスコアを0-2とする。さらに関西大は60分、上原壮がペナルティーエリア内に切れ込んでマイナスのパスを入れると、これを堀颯汰が押し込んで3点目。その6分後にも淺田彗潤のパスに黒澤が合わせてゴール。黒澤が試合を決定づける4点目、そしてこの日2点目となる得点を決めて関西大が0-4で勝利した。


常葉大学 1(0-1/1-0/0-0/0-0/2PK4)1 筑波大学
 @いわぎんスタジアム Bグラウンド

 東海地区第3代表・常葉大学は関東地区第8代表の筑波大学と対戦。試合は18分、筑波大・大谷湊斗がGKとDFを次々と抜き去ると右足を振り抜いて先制する。筑波大が1点をリードして前半を終えたものの、常葉大も後半序盤の59分に反撃。中島楓太の左からのクロスに梅木翔斗が合わせて同点に追いついた。試合は1-1のまま延長戦するが決着がつかず、PK戦へともつれこんだ。PK戦では筑波大、常葉大ともにひとり目のキッカーが失敗。2人目は両チーム成功するが、常葉大3人目のシュートは遥かにバーの上。筑波大は4人目も成功し、筑波大がPK戦2-4で辛勝を収めた。


新潟医療福祉大学 0(0-0/0-0/0-0/0-0/4PK2)0 流通経済大学
 @いわぎんスタジアム Aグラウンド

 1回戦最大の注目カードと目されていたのが、昨年度準優勝チーム、北信越第1代表・新潟医療福祉大学と関東チャンピオン・流通経済大学の試合。しかしどちらも最後まで決めきれずスコアレスのままPK戦に突入。PK戦では新医大の3人目のキッカー、横浜FC内定の細井響のシュートが大きく枠を外すと、続く流経大3人目のキッカー・奈須琉世のシュートを新医大GK・加澤宙也がストップしイーブンに。だが新医大は4人目が成功したのに対し、流経大は松永颯汰のシュートがGKに止められ2人連続で失敗。新医大は5人目の折原優介が冷静にシュートを決めて4-2で2回戦へ。関東王者の流経大は初戦敗退となった。


関西学院大学 2(1-1/0-0/1-0/0-0)1 産業能率大学
 @セイホクパーク石巻フットボールフィールド第1

 関西地区第6代表・関西学院大学と関東地区第3代表・産業能率大学の試合は、産能大が12分にコーナーキクから柴山優汰が決めて先制。しかし関学大も前半終了間際の45+1分、棟近禎規がコントロールショットを突き刺して先制に追いつく。だが後半は両チームとも決定力に欠きこちらも延長戦へ。関学大は延長前半に篠原駿太がペナルティーエリア内に切り込んだところを倒されてペナルティーキックを獲得。これを三宅凌太郎が冷静に沈めて逆転に成功。2-1で初戦に勝利した。


九州産業大学 1(0-1/1-0/0-0/0-0/4PK3)1 静岡産業大学
 @WACK 女川スタジアム

 九州地区第3代表・九州産業大学と東海地区第2代表・静岡産業大学の試合は22分に動いた。コーナーキックを起点にチャンスを作ると、池田亮介の入れたクロスを無田春斗が滑り込みながら押し込んで静産大が先制点を挙げる。しかし九産大も後半開始早々の47分、最終ラインから一気にカウンターを仕掛けると緒方孝起のスルーパスに中山大耀が走り込んでゴール。試合を振り出しに戻すが、延長戦でも追加点は生まれず勝敗はPK戦に委ねられた。PK戦では静産大のGK・鈴木天結が九産大2人目のキックをストップ。しかし静産大は4人目・5人目のキッカーが連続で失敗。2人目以外は全員成功させた九産大がPK戦4-3で2回戦に駒を進めた。


福岡大学 2(2-0)1 八戸学院大学
 @セイホクパーク石巻フットボールフィールド第1



 九州王者・福岡大学と東北王者の八戸学院大学の試合は、立ち上がりから福岡大が攻め込む展開となった。福岡大は19分、稲田翼のコーナーキックを葭岡遥来が頭で合わせて先制すると、その2分後にも山田蒼のスルーパスに抜け出した芳野凱斗が鮮やかな切り返しで相手を振り切りシュートを放つ。これが決まり福岡大が2-0とリード。「風の影響があったので、前半はしっかり押し込んでいく」(福岡大・児玉進二監督)との狙いどおり、八学大にシュートを1本も打たせないまま前半が終了した。しかし福岡大が風下に回った後半は、一転して八学大のペースに。だが八学大も攻撃を仕掛けるものの決めきれない。終了間際の90+2分、栗澤陸がゴールに蹴り込んで1点を返すが反撃はここまで。リードを守りきった福岡大が初戦に勝利した。


慶應義塾大学 0(0-1)4 京都産業大学
 @WACK 女川スタジアム

 関西地区第2代表の京産大は関東地区第9代表の慶應義塾大学と対戦。京産大は立ち上がりから試合を優位に展開し、12分にはコーナーキックを起点にチャンスを演出。皿良立輝のクロスに小野成夢がダイビングヘッドで先制点を挙げる。京産大は後半に入るとさらに攻勢を強め、68分に皿良が強烈なシュートをゴール右隅に突き刺して追加点。その3分後にも、伊藤翼が前線まで一気に突破。放ったシュートは相手GKに阻まれるもののこぼれ球を高川諒希が拾い、最後は山村朔冬が左足を振り抜いて0-3と慶大を突き放す。京産大は71分にも前に出てきたGKの弾いたボールを拾った皿良が、無人のゴールにシュートを叩き込んでダメ推しの4点目。皿良はこれで2ゴール1アシストの活躍となった。後半だけで19分、合計で28本ものシュートを放った京産大が相手に1点も許さず0-4で快勝した。