大学サッカー夏の全国大会『2025年度 第49回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』は9月5日に2回戦を迎え、初戦を勝ち抜いた16チームがベスト8を目指して激突した。
2回戦に残った16チームの内訳は北海道1、北信越1、関東7、東海1、関西4、九州2。他地域との対戦がほとんどを占める中、唯一の同地域対決となったのが駒澤大学と日本体育大学の試合は、2部の駒大が1部の日体大に勝利。また関東地区代表と関西地区代表の"東西対決"は、日本大学と大阪経済大学に勝利した一方、関西大学が桐蔭横浜大学に大勝し、東西それぞれ1チームずつが2回戦を突破した。その他では中央大学が札幌大学に、また東洋大学が中京大学に勝利し、関東2チームが準々決勝へ。関西では京都産業大学が福岡大学に勝利、関西学院大学は九州産業大学を下して、こちらも関西2チームがベスト8進出を決めた。昨年の準決勝と同カードとなった筑波大学と新潟医療福祉大学の対戦は新医大が2点を先取して勝利。筑波大は昨年の雪辱を果たせなかった。
この結果、北海道、東海、九州のチームが姿を消し、残ったのは北信越1、関東4、関西3の8チームとなった。関東・関西以外では唯一北信越地区代表の新医大が生き残り、関西地区代表の関西大と対戦。昨年に続く決勝進出を狙う。一方で関東と関西は、奇しくも準々決勝での潰し合いとなった。関西は関学大と京産大が直接対決。関東は日大と駒大、中大と東洋大が激突。確実に地域代表がベスト入りを果たすが、戦い方をよく知る同地域のチーム相手にどう試合を展開するかも見どころとなる。準々決勝は9月7日(日)に開催。全4試合はすべてYouTubeの公式チャンネルにてライブ配信予定だ。
1回戦 全結果・トーナメント表
マッチレポート
大阪経済大学 1(1-2)2 日本大学
@セイホクパーク石巻フットボール場
関西地区第5代表・大阪経済大学と関東地区第7代表・日本大学の"東西対決"は、立ち上がりから日大がボールを握り大経大陣地に迫る。日大は16分にコーナーキックを獲得。すると植木颯のキックがオウンゴールを誘発して日大が先制点を挙げる。日大は10分後の26分にも大久保帆人が右サイドから攻撃を仕掛け、ゴール前に入れたボールを五木田季晋が倒れ込みながらも押し込んで追加点。0-2とリードを広げる。対する大経大も35分、小林拓斗が右サイドから入れたクロスに対し、ゴール前が混戦となったところを下崎琉宝が押し込んで1点差に詰め寄る。だが、後半は両チームなかなかシュートまで持ち込むことができず、結局1-2のままタイムアップ。日大が勝利し、2大会連続の準々決勝進出となった。
駒澤大学 1(0-0)0 日本体育大学
@セイホクパーク石巻フットボール場
2回戦で唯一の同地域対決となった、関東地区第10代表の駒澤大学と関東地区第4代表・日本体育大学の"関東対決"。昨年2部に自動降格となった駒大だが、代わりに1部昇格を果たしたのが日体大。"因縁"ともいえる相手だ。カテゴリーが違うとはいえ、互いによく見知っているだけに、ともにチャンスを作りながらも決めきれない。日体大は後半頭から甲府内定の松山北斗を投入するなどして攻撃のギアを上げるがゴールを割ることはできず、スコアレスのまま試合は後半も半ばへ。すると76分、駒大は左サイドバック・新垣陽盛がゴール前に入れたクロスを今井拓人が体勢を崩しながらもシュート。これは日体大GK・原田眞透が防ぐものの、こぼれ球を後藤康介が押し込んでゴール。その後は日体大も怒涛の攻撃を仕掛けるが、駒大が先制点を最後まで守りきり1-0で試合終了。駒大が勝利し、3大会ぶりとなるベスト8進出を決めた。
中央大学 3(0-0)0 札幌大学
@遠野運動公園 多目的広場
1回戦では延長戦までもつれこんだ関東地区第5代表・中央大学だが、2回戦では北海道地区第1代表・札幌大学相手に快勝を収めた。試合が大きく動いたのは序盤の22分。札幌大の齊藤尽が著しく不正なプレーで退場となってしまう。数的優位にたった中大は猛攻を仕掛けるが、札幌大の粘り強い守りを前にゴールネットを揺らすことができないまま前半が終了する。攻めあぐねる中大だったが後半開始早々の50分、コーナーキックからチャンスを作ると混戦の中でボールを受けた横山俊介がゴールに蹴り込んで待望の先制点を挙げる。さらにその3分後にも新鉄兵が追加点を決めリードを広げる。札幌大も54分に3人を一気に代えて守備を固めるが、中大は63分、倉上忍のグラウンダーのクロスを新が蹴り込んでダメ押しの3点目。その後も試合を圧倒した中大が3-0で快勝し、準々決勝へと駒を進めた。
東洋大学 3(3-0)1 中京大学
@遠野運動公園 多目的広場
関東地区第2代表・東洋大学と東海王者・中京大学の試合は、早い時間にスコアが動いた。まずは開始早々の2分、東洋大は最終ラインから放たれたロングパスに髙橋輝が反応。エンドラインギリギリで折り返しゴール前にボールを入れると、逆サイドから上がってきた湯之前匡央がこれを突き刺して東洋大が先制する。これで勢いに乗った東洋大はその後もアグレッシブに攻撃を仕掛け、19分には鍋島暖歩の右コーナーキックを徳永崇人が頭で合わせて追加点。さらにその5分後にも、山之内佑成がペナルティーエリア前で相手DFからボールを奪いチャンスを作る。宮本新、鍋島とボールをつなぎ、再び山之内が入れたグラウンダーのクロスに湯之前が合わせて3点目をマーク。天皇杯でもJ1クラブから連続ゴールを奪った湯之前の2得点で、東洋大が前半だけで3-0とリードを広げた。しかし後半に入ると試合は次第に中京大ペースに。前半はほとんど東洋大陣内に入れなかった中京大だが、屋嘉比奏汰らが攻撃を仕掛けて得点機をうかがう。すると56分、中京大は屋嘉比のスルーパスに増崎康清が抜け出し一気にゴール前へ。切り返しで相手DFをかわすと、ゴール右隅にシュートを突き刺して1点を返す。その後も攻勢を強める中京大だったが、東洋大も冷静にこれを対処し中京大に2点目を許さない。試合は3-1でタイムアップ。中京大の奮闘及ばず東洋大が勝利し、4大会ぶりのベスト8入りを決めた。
桐蔭横浜大学 1(1-1)4 関西大学
@いわぎんスタジアム Bグラウンド
もうひとつの"東西対決"、関東地区第6代表・桐蔭横浜大学は関西地区第4代表・関西大学と対戦。前半はどちらも五分五分の展開となったが、先制点を挙げたのは関西大。24分、関西大は藤谷温大の浮き球のパスに淺田彗潤が合わせて先制。しかし桐蔭大もその6分後、池田柚生の左コーナーキックを髙橋泰輝が頭で合わせて試合を振り出しに戻した。1-1で迎えた後半、関西大は早めの選手交代で試合の流れを引き寄せる。54分に黒沢偲道を投入すると、64分には先制点をあげた淺田と堀颯汰の2トップを梅野雄大、兎澤玲大へと2枚代え。するとその直後の66分、関西大はコーナーキックからチャンスを作ると三木仁太が個人技で持ち込んで勝ち越しの2点目。その2分後にも、宮川大輝からのパスを真田蓮司がダイレクトで決めて追加点。関西大がわずかな時間で1-3とリードを広げた。桐蔭大もその直後に杉本英誉と久永瑠音をピッチに送り出して巻き返しを図るがなかなかシュートまで持ち込めない。逆に82分、関西大は桑原航太のクロスに真田が頭で合わせてダメ押しの4点目。後半、複数ゴールで桐蔭大を突き放した関西大が、2019年以来5大会ぶりとなる準々決勝進出を果たした。
筑波大学 1(0-0)2 新潟医療福祉大学
@いわぎんスタジアム Bグラウンド
前回大会の準決勝と同カードとなったのは関東地区第8代表・筑波大学と北信越地区第1代表・新潟医療福祉大学。昨年はスコアレスドローのままPK戦で新医大が決勝に駒を進めた。その雪辱を果たすべく試合に臨んだ筑波大だったが、先制したのは新医大。後半序盤の54分、田澤夢積のマイナスのパスを受けた高足龍がペナルティーエリアの外から左足を振り抜いてゴールネットを揺らす。先制点を得て勢いに乗った新医大は、62分にも上之平暉羅がDFの間をぬって前に抜け出した吉田晃盛にパス。吉田の狙いすましたシュートが突き刺さり、新医大が0-2とリードを広げた。2失点を喫した筑波大は、次々と選手を入れ替えて攻撃のギアを上げるがどうしても決めきることができない。終了間際の90分に小林俊瑛がヘディングシュートを決めて1点を返すが反撃はここまで。昨年の準優勝校・新医大が、昨年に続き筑波大に勝利して次戦に駒を進めた。
関西学院大学 3(0-0)2 九州産業大学
@WACK 女川スタジアム
ともに1回戦では延長・PK戦までもつれこむ熱戦を繰り広げた、関西地区第6代表・関西学院大学と九州地区第3代表・九州産業大学の試合は後半に大きくスコアが動いた。前半は関学大が優位に試合を進めながらも決めきれず、両チーム無得点のまま後半へ。すると後半始まってすぐの51分、中山大耀が約25メートルの位置からのロングシュートを決めて九産大が先制する。1点のビハインドを負った関学大だが、60分に相手のカットボールを奪った小西春輝が前線にもちあがり、そのままミドルシュートを決めて同点に追いつくと、その3分後にも小西が自ら頭で落としたボールをコントロールシュート。小西の連続ゴールで逆転に成功した関学大はさらに4分後、三宅凌太郎がペナルティーエリア左外からのドライブシュートを直接決めて追加点。関学大がわずか7分間に3点を奪い、九産大を突き放した。対する九産大も74分、平古智也がペナルティーエリア外からミドルシュートを突き刺して1点差に詰め寄るが九産大の反撃はここまで。その後は関学大が1点のリードを守り切り3-2で勝利。関学尾が決勝進出を果たした2023年度大会以来となる上位進出に向けて大きな一歩を踏み出した。
福岡大学 0(0-0)1 京都産業大学
@WACK 女川スタジアム
一昨年のインカレの準々決勝でも激突した九州地区第1代表・福岡大学と関西地区第2代表の京都産業大学。その試合では、2点を先取した京産大が退場者を出しながらも福岡大に逆転を許さず、京産大が準決勝に進出。3年ごしのリベンジを誓う福岡大だったが、前半はどちらも多くのチャンスを作れないまま0-0で試合を折り返した。スコアが動いたのは後半開始早々の46分。相手GKが前に出ているのを見た京産大・田代紘が、ハーフウェーライン手前から超ロングシュートを放つ。これはGK・山田陽介が防ぐものの、こぼれたボールを山村朔冬が蹴り込んで先制する。思わぬ失点を喫した福岡大は58分に3人の選手を一気に代えるなどして試合の流れを引き寄せようとするが京産大もこの1点を最後まで守りきり0-1で試合終了。福岡大のリベンジならず、京産大が昨年果たせなかった"2回戦の壁"を突破し初のベスト8入りを果たした。