JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
「平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会」準決勝マッチレポート
2016/12/17
 12月15日(木)に、2016年大学サッカーを締めくくる『平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)の準決勝が行われた。関東・関西を代表する強豪4校の、決勝進出に向けた熱い戦いが繰り広げられた。



○準々決勝で優勝候補・明治大学との激戦を制した大阪体育大学(関西地区第3代表)と、PK戦の末に前回王者・関西学院大学を下した日本体育大学(関東地区第3代表)の一戦。

 東西の体育大対決となったこの試合は、序盤から両者が激しくぶつかり合った。いつも通りの素早いパス交換からリズムを作って大体大を崩しにかかる日体大に対し、大体大は鋭いカウンターで応戦するが、なかなかシュートまで持ち込めない。均衡が破れたのは37分。日体大30番・瀧本高志が中央で、右サイドを突破した4番・輪笠祐士からのクロスを受けて7番・川戸大樹へとラストパス。これを7番・川戸が右足でシュートし、日体大が先制。0-1で試合を折り返す。日体大は前半、2枚のFWが体を張ってボールを収め、攻撃の起点となり、試合を優位に進め。
 しかし、後半は両者点の取り合いになった。まず大体大は62分、右からの直接フリーキックに5番・秋山拓也がヘディングで決めて同点に。キャプテンのゴールで試合を振り出しに戻す。一方の日体大も77分、4番・輪笠からの浮き球パスを受けた17番・平川元樹がドリブルで切れ込んでから右足のシュートを決め、1-2と再びリードする。このまま日体大の勝利かと思われた後半アディショナルタイム、日体大10番・高井和馬がペナルティーエリア内で相手選手を倒し、ペナルティーキックを献上。大体大10番・池上丈二が落ち着いてこれを決め、再び試合を振り出しに戻した。だが残されたラストワンチャンスに、日体大は4番・輪笠が奪ったボールを素早く前線にフィード。30番・瀧本が頭でそらしたボールは、10番・高井の元へ。「自分が(大体大に)PKを与えてしまったので、絶対に自分で点を取り返そうと思っていた」という10番・高井はドリブルでゴールへと突き進み、左足を振り抜いてゴールネットを揺らした。この勝ち越しゴールが決勝点となり、2-3で日体大が接戦を制し勝利を手にした。
 ゴールを奪い合うシーソーゲームを、執念のゴールで勝利した日体大は、関東リーグ2位、3位を争った筑波大学との決勝戦に駒を進めた。10番・高井が累積警告により出場停止となり「彼のおかげでリーグ3位になったといってもい。この状況で決めるのか、というところでゴールできる選手」(鈴木政一監督)という攻撃の主軸を決勝の舞台で失ったのは痛いところだが、「日本一の夢はチームメイトに託した」とい10番・高井の想いを受け、35年ぶりのインカレ優勝を目指す。一方、2度追いつく粘り強さを見せるも勝利には及ばなかった大体大。延長戦も視野に入れて準備をしていたが、あっけない幕切れで3年ぶりの優勝の夢は断たれ、3位でインカレの舞台を後にした。


○6年ぶりのベスト強入り、2試合で7得点と勢いに乗る筑波大学(関東地区第2代表)と、2回戦、準々決勝ともに逆転勝ちを収めるなど勝負強さを見せる阪南大学(関西地区第1代表)との一戦。

 試合の立ち上がりは阪南大が主導権を握っていたものの、徐々に筑波大が安定したポゼッションで自らのペースを作っていく。前半20分には、左サイドから15番・長澤皓祐、8番・吉田直矢らのトリッキーなパス回しでスルスルとゴール前へ。安定かつ速いパス回しから最後は6番・鈴木徳真の鮮やかなミドルシュートで筑波大が先制する。追いつきたい阪南大だが10番・山口一真、11番・外山凌、13番・前田央樹を中心とした攻撃は、3番・小笠原佳祐、5番・鈴木大誠の2年生センターバックコンビを中心とした筑波大DFに完全に シャットアウトされてしまい、決定機をつくることができない。
1-0で迎えた後半、またしてもゴールネットを揺らしたのは筑波大だった。52分、絶好の位置でフリーキックのチャンスを得ると、25番・西澤健太が蹴ったボールは壁に入った阪南大DFの手に当たり、ハンドの判定でPKを獲得。これを11番・中野誠也がきっちりと決める、11番・中野の3試合連続ゴールで筑波大がリードを2点に広げる。さらには90分、中央で筑波大がボールを奪取すると、途中交代で入った20番・三笘薫が、柔らかいボールタッチでパワープレー気味の阪南大の裏にできたスペースに抜け出してGKと1対1に。そのまま冷静にシュートを放ち、ダメ押しの3点目。筑波大が3-0と快勝を収めた
 筑波大は13年ぶり9回目の優勝を懸け、8年ぶりに決勝に進出。対戦相手は同じく関東地区第3代表の日本体育大学となった。「互いによく知っている間だけに、ちょっとした隙が勝負を分ける」と指揮官の小井土正亮監督は警戒する。今季の対戦成績は1分け1敗と負け越しているが、"3度目の正直"でタイトルを引き寄せたい。
 一方の阪南大は、昨年度のインカレ準優勝校としてリベンジに臨んだが2年連続決勝進出ならず。インカレ初優勝は、来年度以降のチームへと託された。



 12月18日(日)に行われる決勝は、12:00より浦和駒場スタジアムで行われ、日本体育大学対筑波大学の対戦カードとなった。
 昨年大会ファイナリストの関西学院大学と阪南大学は、2年連続での決勝進出とはならず、決勝は日体大と筑波大という関東対決となった。ともに今年度、関東1部リーグに復帰してきたばかりの2校で、選手たちにとっては初のインカレ決勝となる。12月7日(水)から開幕したインカレも、ついにラストマッチを迎える。勝利の女神はどちらにほほ笑むのか。