JUFA 全日本大学サッカー連盟

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【第29回ユニバーシアード競技大会(2017/台北)】準決勝戦(vsメキシコ)マッチレポート(監督・選手コメント)
2017/08/28
 3大会ぶりの決勝進出をかけ、ユニバーシアード日本代表は27日(日)、準決勝でメキシコと対戦。前回の光州大会ではイタリア、前々回のカザン大会ではフランスに準決勝で敗れており、この準決勝を超えることが、ここ数年の日本の課題だった。

 これまでの試合と同様、ターンオーバー制で準決勝のイタリア戦とメンバーを大きく変えてメキシコ戦に臨んだ日本。イタリア戦が6-0と大勝だっただけに気の緩みが心配されたが、「スタッフの中でも"選手は大人だから大丈夫"という手応えはあった」と宮崎純一監督。その言葉どおり、試合は立ち上がりから日本が積極的にゴールを狙う展開に。開始早々には中野誠也がゴール前まで攻め込み、シュート。8分には、右サイドの岩武克弥から崩して、脇坂泰斗、中野とつないでゴールを狙うが、これはメキシコGKが好セーブ。12分にも、セットプレーのチャンスからセンターバックの宮大樹が合わせるなどたびたびチャンスをつくるが、なかなかゴールまでは至らない。右サイドの松田天馬、左サイドの三笘薫に加え、FW旗手怜央がアクセントなって、立て続けにメキシコゴールに迫る日本。しかし、メキシコも徐々に反撃を開始。前半も半ばを過ぎると日本からボールを奪う回数が増え、バイタルエリアでボールを丁寧につなぎ、チャンスをうかがう。

 メキシコのパスワークとフィジカルコンタクトの強さに苦戦していた日本だったが、30分を過ぎると再び攻撃のリズムを取り戻す。34分には旗手から中野と崩して、最後は右サイドバックの岩武が飛び込む決定的なシーンを迎えるも、これはGKがセーブ。38分にも柴戸海からのキックに中野が走りこんでシュートを放ち、40分には脇坂が中央突破からシュートを放つが、これはGKの正面に。立て続けに攻撃を仕掛ける日本だったが、ゴールにはあと一歩届かず。無得点で試合を折り返すと思われた44分に試合が動いた。
 前半終了間際、メキシコの選手が負傷してピッチ外に。相手が10人となった隙をついて三笘がドリブルで独走。「ボールを受けた瞬間、スペースが空いていたので、いってやろうと思った」という三笘を止めようと、メキシコのDFがペナルティエリア内でファウルをおかす。「ペナルティエリアに入れば、何かあるだろうと思っていた」(三笘)との狙いどおり、日本がペナルティーキックを獲得する。これを三笘自身が右足で決め、45+1分のアディショナルタイムに日本が待望の先制点を得る。

 「前半のうちに1点をとったことで楽になった」とDFの岩武が振り返ったように、先制点を得たことで波に乗った日本は、後半開始早々の50分にも追加点をマーク。松田の右からのスルーパスに旗手選手が反応。ゴール前にクロスを送ると、これを中野が合わせて2-0とリードを広げる。

 2点差を追う形となったメキシコはこの直後、前半終了間際に負傷退場した5番のMALDONADO Miguel Ange、ハーフタイムに交代した15番のCAMPOS Raul Alejandro続き、 9番のHERNANDEZ Luis Rodolfoを下げ、早くも3枚目の交代カードを切る。しかし58分には、交代したばかりの10番・LEON Y V.M. Jorge Antonioが動いた。GK小島亨介の弾いたボールを、豪快なダイレクトボレーで叩き込んでメキシコが1点を返す。

 1点差に迫ったメキシコは一気に攻勢に出るが、日本もボールを奪ってから素早く攻撃を展開。中野が何度となくゴール前に抜け出すなど、双方がチャンスをつくり、どちらに追加点が入ってもおかしくない状況に。そんな中、試合を決定づけたのは日本の3点目だった。76分、ファーの内側を狙うように巻き気味に放った、脇坂泰斗の左コーナーキックがそのままゴールイン。日本が3-1とメキシコを突き放す。日本はその後もメキシコにゴールを許さず、3-1のまま試合終了。6度目の優勝をかけて、3大会ぶりの決勝進出を決めた。


 決勝戦は29日(火)の20時(日本時間21時)キックオフで行われる。対戦相手は前々回・カザン大会の優勝国、フランス。この大会では6度対戦しており、イタリアとともに"よく知った相手"だ。対、戦戦績は5勝1敗と相性はいいが、日本同様にユニバーシアードに向けたチームをつくってくる。カザン大会では日本の攻撃力を警戒し、徹底して引いて守る戦い方でPK戦まで持ち込み、日本を下した。準決勝でもスコアレスドローのままPK戦で勝ち上がっているだけに、油断のならない相手だ。

 しかし「チームは今、本当に優勝に向かってひとつになっている」と中野。日本はこれまで、決勝戦に進出した場合はすべて優勝で大会を終えている。今大会でもその"勝利の法則"どおりにフランスを退け、6度目の優勝で金メダルを持ち帰りたい。



【監督・選手コメント】

■宮崎純一監督

 まずは決勝進出という、ここ2大会の課題をクリアできて安心しています。メキシコは大変歴史があるチームですし、これまで戦ってきたチームの中では、きちんとサッカーをやっているチームという印象がありました。ですから、どうしても攻められる展開が出てくるのはやむをえないところです。今日は、90分の中で勝負をしなければいけない試合になると思っていました。
 (先制点をとった)三笘は、カナダ戦でのラフプレーで怪我をして、2戦ほど間が空いていました、彼としてはもっともっとやりたいという気持ちが募った、そのタイミングでの先発出場だった。だいぶ固くなってはいましたが、前半最後の最後にやってくれました。あのゴールでチームにも非常にいい効果が出ました。相手の隙をついて、思い切ってプレーした三笘をほめたいです。
 準々決勝、準決勝と勝ち上がってきたチームは、メンタルでも体力でもレベルの高いチームです。簡単に点を取らせてくれないし、守らせてくれない。1失点はしましたが、それをこじあけて勝てたことは大きいと思います。


■三笘薫(筑波大・MF・2年)

 次につなげるという目標が達成できてよかったと思います。個人的には、カナダ戦で怪我をしてチームに迷惑をかけてしまったので、今日はしっかりと結果を出したいと思っていました。ペナルティーキックを獲得したシーンは、ボールを受けた瞬間にスペースが空いていたので、「いってやろう」と思いました。ペナルティエリアの中に入れば何かあるだろうとも思っていました。
 PKは、(中野)誠也さんがいつも蹴っているので最初はどうかと思ったのですが、誠也さんがボールを渡してくれて「いけよ」と言ってくれたので。ここは自分で蹴ろうと(決めました)。
 ドリブルでいつも練習しているところが出せたのはよかったのですが、世界を相手にすると最後の判断のところでひっかかってしまう。それは自分でも感じました。ドリブル以外のところはではミスも多く、簡単に失ってしまうシーンもあったので、自分の課題として持ちかえりたいし、決勝でもそこをしっかり見極めてプレーしたいと思います。


■中野誠也(筑波大・FW・4年)

 点を取れたこともうれしいのですが、動きのスムーズさなど、この試合で自分が本調子に戻ってきたと感じられたことが、いちばんの収穫です。涼しくなってきたというのもあるかもしれませんが(笑)。
 4月のリーグ戦からずっと試合が続いていて、天皇杯3回戦が終わったあともジュビロ磐田の練習に参加して、これまでに感じたことのないような疲れがあったのは事実です。ただ、この大会に入ってからはターンオーバー制で少し休ませてもらったし、体を動かす部分でもいいときの自分に近くになってきたと感じました
 今日は何がなんでも勝つ、という強い気持ちで臨んでいたので、それがゴールにつながりました。このチームの結成当時から監督やコーチが日頃から言われている「日本を背負って立つ」という言葉や、ユニバーシアードで優勝するという目標に、ようやく自分たちがついていけるようになったのかもしれません。『デンソーカップチャレンジサッカー刈谷大会』では優勝を逃すなどして悔しい思いもしました。けれどあれがあったからこそ、今の自分たちがあるとも思います。自分でも優勝できるイメージがあるし、チームは今、優勝という目標に向かってひとつになっていると感じています。


■岩武克弥(明治大・DF・3年)

 今日は(自分が対峙する)メキシコの8番が攻撃の起点となると聞いていたので、特に守備を意識しました。メキシコはボール以外のところでのプレーがうまかった。球際でも、最後に足が残って削られることがありました。ただ、ファーストラウンドで戦ったウルグアイに比べたらまだいいほう。汚さはウルグアイのほうが上でした。
 前半のうちに先制して、守備の人間としては楽になりましたが、2点とったあとに1点を入れられたところは、まだまだ甘いと思いました。決勝戦のような厳しい試合ではもう1点くらい入れられるだろうし、ディフェンスとしては無失点で終わりたかったのが残念です。
 自分は立ち上げからのメンバーではないですが、この1年間、多くの試合に出させてもらっている。だからこのチーム唯一のサイドバックの専門職ということで、誰と組んでもいけるように考えています。サイドハーフにはいろいろなタイプがいるので、みんなと話し合いながらこの大会に臨みました。海外の選手相手ということもあって足の長さなどの問題はありますが……。個人的には、1対1ではしっかり抜かれないというところが、今のところはうまくいっていると思います。
 最後は宮崎監督を胴上げしたいという気持ちもありますし、日本代表としてしっかり優勝して、大学サッカーをアピールして帰りたいと思います。


【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=679

【フォトレポート】
https://goo.gl/photos/VVytjBUxeoBUzfyY9