JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
【レポート】『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』決勝戦レポート
2018/09/11

 夏の大学サッカー日本一を決める、『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』の決勝戦が、9月9日(日)にキンチョウスタジアムで行われた。8月31日(金)に開幕し、全国9地域・24大学が参加した本大会だが、決勝戦に残ったのは関西第2代表の大阪体育大学と、関東第4代表の明治大学。3年ぶりに"東西対決"となった。




大阪体育大学 0(0-1)2 明治大学



 「相手が1枚うわ手でした」。

 試合後、大体大の松尾元太監督はそう試合を振り返った。試合の立ち上がりは、大体大が積極的に攻撃を仕掛ける展開になった。「最初の入りは悪くなかった」と松尾監督。むしろ「今大会では一番高いい位置でボールを奪えたし、積極的にボールをもつことや、ゴール前まで行く形はできていた」(同監督)。10番・末吉塁、20番・西田恵の両サイドからの突破に加え、9番・林大地、13番・古城優の2トップが前線でボールを収める。しかし13分、8番・堀内颯人のシュートはサイドネットを揺らすのみ。23分に9番・林が左サイドから切り込んで放ったシュートも、ゴールにはいたらない。

 「最初の10分、15分は相手も前に推進してくるだろう。それを受け止めるのではなく、積極的にセカンドボールを拾いに行こう」(栗田大輔監督)。試合前にそう話をしていたという明大は、次第に鋭いカウンターからゴールを狙い、24分には31番・森下龍矢から9番・村田航一とつないでシュート。GKの弾いたボールを24番・狩土名禅が押し込むが、こちらもわずかにゴール右にそれる。一進一退の攻防戦を繰り広げる中、やがて「押し込んではいるけれど、決めきることができない。そこからカウンターでペナルティエリアに侵入される回数が増えてきた」(松尾監督)と大体大が感じ始めた時間帯に試合は動いた。

 41分、明大は右サイドバックの12番・中村帆高が一気にサイドからペナルティエリア内に切り込んで、24番・狩土名へとパス。これを前線に上がってきたボランチの6番・安部柊斗がシュートを放つ。このシュートは相手DFに跳ね返されるものの、こぼれ球を再び左足で突き刺しゴール。安部の、準決勝戦に続く2試合連続ゴールで明大が先制する。

「あの時間帯の失点。"やはり明治だな"と思った」(大体大・松尾監督)

 後半に入ると、明大はチャンスメーカーで得点にも絡む18番・小柏剛を投入。「本来のFWで入れようと思ったが、狩土名の調子が非常によかったので」(栗田監督)10番・小野雅史をボランチの位置に下げて、18番・小柏を左サイドへ。主導権を握ると、「戦略的には、サイドからの攻撃を徹底した」(同監督)という展開で大体大を圧倒し始める。大体大は64分に、7番・浅野雄也をピッチに送り出して流れを変えようとするが、明大も71分に31番・渡辺悠雅、20番・佐藤凌我のふたりを一気に投入。その6分後の77分には、交代したばかりの20番・佐藤が期待に応えて結果を出した。

 大体大にコーナーキックを与えた明大だったが、そのクリアボールを拾った18番・小柏が一気にカウンターで前線へ。9番・村田がボールを受けて放ったシュートは相手DFにクリアーされるものの、そのこぼれを拾った22番・佐藤が右足を振り抜き、明大が2点目を挙げる。「試合に出たら、ワンタッチでゴールを狙えと言われていた」(22番・佐藤)という狙いどおりのゴールで、明大が大体大を突き放した。

 大体大は81分には3人の選手を一気に交代させ、センターバックの4番・菊池流帆を前線に押し上げるパワープレーに出るが、「無失点にはこだわっていた」という明大の堅固な守備を崩せずタイムアップ。「今年の4年生は優勝の歓喜も、決勝で負ける悔しさも知っている」(栗田監督)という4年連続決勝進出の明大が、7年ぶりの優勝を狙う大体大を下して2年ぶり2度目の優勝を果たした。





明治大学・栗田大輔監督


 一戦一戦を戦っていこうと今大会に臨んだことが、優勝という結果につながったと思う。今日の試合について、大阪体育大学さんは個々の能力の高いチームだと感じていたので、試合の入りに押し込まれることは想像していた。相手がメンバーを準決勝と大きく変えてきたのも想定どおり。それならば、うちは最後のところで体を張って守り、ただ相手の攻撃を受け止めるのではなくセカンドボールを積極的に拾おう、という話をした。
 2年前は経験がない中での初優勝だったが、今年はキャプテンの2番・岩武克弥を中心にまとまって、勢いのある強いチームを作れた。明大は例年、25名程度が関西にきて、残りは(合宿所のある)八幡山で練習をしている。ただし決勝戦のみ関西にくるので、今日はチームとしても一体感があったと思う。
 総理大臣杯優勝はうれしいが、あくまで今年1年間の中での通過点。今週末に始まる関東リーグ戦、そしてインカレでの優勝を目指したい。




大阪体育大学・松尾元太監督


 初戦の福岡大学、準々決勝の駒澤大学、そして準決勝の中京大学。いろいろとタイプの違うチームと戦ってきたが、常に自分たちより技術的にクオリティーの高いチームを戦って、今日の試合も含めていい内容で戦ったという印象はない。今大会で成長もさせてもらったが、日本一を獲るには自分も選手もまだまだ足りない、もっと成長しなくてはならないと気付かせられた大会。そう学べたことがいちばんの収穫。学びの多い大会だった。




安部柊斗(明治大学・3年)


 今年は自分のゴールで優勝という結果に貢献できたことがうれしい。一度右足で打ったシュートは相手DFに跳ね返されたが、もう一度、今度は自分の左足の前にきたのでインステップで押し込んだ。試合前、コーチに「ボールは、ゴールできると信じている人間の前に転がってくる」と言われたので、前に詰めていた。本当にその言葉どおりのゴールになった。




佐藤凌我(明治大学・2年)


 去年の大会はケガ人が出て急遽チームに同行したがほとんど出番がなく、悔しい思いをした。今年も初戦と準決勝しか出番がなかったが、今日は出られたらワンタッチでゴールを狙えと言われたし、サイドからどんどんクロスがくるから飛び込めといわれて、本当にそのとおりにボールが来た。シュートは入るまでは「ちょっと上すぎたかな」とヒヤっとしたが、入ってよかった。




岩武克弥(明治大学・4年)


 1日1日ずっとやってきた自分たちのサッカーには自信があった。立ち上がりは向こうが簡単に、ワンタッチでつないできて、それに対して自分たちは少しつなぐことにこだわりすぎていたのかもしれない。ただ、リーグ戦でも苦しい展開はあったし、そこにしっかり耐えられればチャンスはあると思っていた。これまでも、攻められている時に点を取れている。そうしたことも自信につながったと思う。




村田航一(明治大学・4年)


 得点力という面では課題が残ったが、自分の強みである前線からのプレス、あたりの強さ、駆け引きといったところから出せたと思う。単純にフィジカルの部分では負けることはあるが、今日も相手の4番・菊池選手にハイボールなどでは負けていても、何度か駆け引きをすることで競り勝つことができた。あとはリーグ戦に向けて、得点力を磨いていきたい。




狩土名禅(明治大学・2年)


 今日はスカウティングどおり相手の背後のスペースを狙うことを意識していた。得点シーンも、練習でやるパターンのひとつ。後ろに安部さんが来ているのはわかっていたし、自分のところにシュートコースはなかったので、そのまま安部さんに任せた。正しい判断だったと思う。自分が点を決めることはなくても、決勝の舞台に立てて、明大が勝って優勝できたことがうれしい。






【試合結果詳細】
  http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=845

【フォトレポート】
  ○大阪体育大 対 明治大

  ○表彰式