JUFA 全日本大学サッカー連盟

全日本大学選抜
『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)サッカー男子日本代表』直前合宿レポート
2019/06/24

 7月5日から始まる『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』に向け、ユニバーシアード代表が6/16~6/19につくば市内で国内最終合宿を行った。

 6/7に最終メンバーが発表され、初めての招集となった今合宿。16日夜には『第47回トゥーロン国際大会 2019』に参加中のGKオビパウエルオビンナ(流経大)、DF田中駿汰(大体大)、MF三笘薫(筑波大)、FW旗手怜央(順大)、『CONMEBOLコパアメリカブラジル2019』に参加中のFW上田綺世の5名を除く15名が集結した。

 翌17日に、今合宿唯一の2部練習日。それぞれのトレーニングは短い時間ながら、凝縮したメニューが組まれそれぞれが課題に取り組む。全日本大学選抜として海外遠征や試合をこなしてきた選手も多く、筑波大の選手を相手にしたミニゲームでも、絶妙なコンビネーションを見せる選手たち。最後にメンバーに加わったMF山本悠樹(関学大)は、最初のほうこそうまくボールに絡めないシーンもあったが、次第にチームにフィットし自分のプレーをアピールしていた。また夜には『トゥーロン国際大会』に参加していた4選手が合宿に合流し、合宿は上田をのぞく19名で行われることになった。






 18日の午前中は、柏レイソルとのトレーニングマッチを実施。立ち上がりは柏に主導権を握られたものの、次第にボールを奪い攻撃を仕掛ける。しかし一瞬の隙を突かれ20分に失点を喫して0-1で前半を終了。「課題が出た前半」(松本直也監督)を0-1で終える。
 だが守備を建て直して臨んだ後半の60分、FW林大地(大体大)がペナルティエリア前で柏選手に倒されてフリーキックを獲得。するとMF山本がフリーキックを直接沈めてユニバーシアード代表が同点に追いつく。さらに74分には、MF金子拓郎(日大)が起点となって突破口をつくると、中村帆高(明大)が右サイドを突破。ゴール前に挙げたクロスを、MF山本がダイレクトで決め2-1と逆転に成功する。その後は柏のPKを献上するピンチもあったがゴールを許さず、84分には金子が得意のドリブルで右サイドからペナルティエリアに切り込むと、エンドラインギリギリまで粘ってゴール前へとパス。これを児玉駿斗(東園大)が押し込んでダメ押しの3点目をゲット。後半3得点を挙げたユニバ代表が、国内最後のトレーニングマッチで3-1の逆転勝利を収めた。








 合宿最終日となった19日は、体力測定とASE(Action Socialization Experience)活動を行った。体力測定では50メートル走のタイムや跳躍力などを測定。その後はグラウンド近くの"野性の森"に移動し、3チームに分かれてASE活動を行った。ASE活動とは、アスレチックフィールドに設けられた様々な課題をクリアーするために、グループ内で話し、アイデアを出し合うなどして人間関係を深め、問題解決能力を向上させる取り組みだ。過去のユニバーシアードもこのASE活動を実践しており、大会前の"最後の仕上げ"ともいえる。

 ASE活動で提示される課題は、いずれもメンバーの工夫とアイデア、そして全員の協力、信頼がなければクリアーできないものばかり。たとえば全員が細長い「下駄」のような細木にのり、それぞれがロープを操って前進するという課題では、最初に全員の一体感が要求される。すると次に声を出して指示することが禁じられ、選手たちはアイコンタクトとジェスチャーで動き出しのリズムを取るなどしてコミュニケーションを深める。すると今度は目隠しが用意され、アイコンタクトもできない中でいかにコミュニケーションを取るかをその場で全員が考え、実践するといった具合だ。

 3メートル近い壁を全員が乗り越えるという課題では、ほかの人がジャンプ台になる、ジャンプするときに下にいる人間が支えるといったアイデアで最初の数人は無事にクリアー。しかし最後のひとりをどうやって上にあげるのか、といったところでほとんどのチームが苦戦。身体能力だけではクリアーできない課題に、それぞれのチームが工夫をこらしてチャレンジしていた。

 また高さのある木の杭から後ろ向きに倒れるという課題では、倒れてくる人間を支える仲間との信頼関係が重要に。選手たちは「怖い怖い」といいながらも支えてくれるメンバーを信じて、この課題にチャレンジしていた。







 ASE活動を終え、ユニバーシアード代表の国内合宿は全行程を終了。ユニバーシアード代表は1週間後にイタリアに出発し、現地で7月5日に行われるグループリーグの初戦・アルゼンチン戦に向けて最終調整に入る。


選手コメント(トレーニングマッチ後)


金子拓郎(MF・4年・日本大)


 3点目のアシストは、自分としても得意な形。もちろんゴールは狙っていましたが、仕掛けることは自分の特徴。いつも意識して出すようにしています。試合については、前半はプレスのかけかたがうまくいかなかった。途中でシステムを4-1-4-1にしたが、修正しきれないままズルズルといってしまった感じです。後半は、チーム全体で前からいくことを意識していたこともあり、押し込む時間帯が長くなった。そこはよかったと思います。
 本大会でも先制されることはあると思うし、今日の試合で逆転勝利できたのはいいことだと思います。もちろん、後半のようなプレーを前半からできるのが理想ですが、苦しい時間帯もチーム全員で戦い、優勝を目指したいと思います。


山本悠樹(MF・4年・関西学院大)


 フリーキックは自分か(児玉)駿斗が蹴ることになっていて、最終的にはじゃんけんで決めました。あの距離のフリーキックには自信があったし、相手は壁がうまく作れずに空いている感じだったので、普通に巻けば入るかな、と。そういう意味では狙いどおりの得点でした。2点目は、(金子)拓郎がうまいこと展開してくれて、(中村)帆高がいいところを見てくれていた。だから、自分は落ち着いて当てるだけでした。もちろんいいコースに蹴れたとは思うけれど、帆高がいいところを見てくれていたのが大きい。この合宿は、大会に向けてチームとして合わせる期間だと思うので、お互いのいいところを出せたような得点だったのは、よかったと思います
 後半にサイドでプレーしたときは、相手の嫌なところでボールを受けたり、前を向いてロングボールを入れる、両ワイドを使って仕掛ける、みたいなシーンを多く作れたと思います。ただ前半にボランチで出場したときは、押し込まれる時間帯が長かったこともあって、守備の強度のところに課題が出てしまいました。もともと自分の課題ではあったのですが……。小井土(正亮)コーチにも指摘されたし、そのとおりだったと思います。ボランチで入ったときにどうやって前に配球をするか。そしてサイドに入ったときには、どうやって攻撃に関わっていくか。そういった部分はまだまだ改善の余地があると思います。この数日間、所属する大学では経験できないレベルのサッカーを経験させてもらいました。チームが勝つことはもちろんですが、それとともに自分がどのように成長していくか。いろいろな課題が見えたし、通用する部分も見えたゲームだったので、次の糧にできればと思います。